Airbnbに居座り人発生。シェアエコノミーって大丈夫なの?

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とりあえず100万ドル(約1億円)保証でカヴァー…?

先週米国カリフォルニア州で、Airbnbで借りた部屋に料金を払わず居座り続けているユーザの存在が発覚しました。そんなの強制的に放り出せないの?と思ってしまいますが、法的に強制退去させるには最長6ヵ月ほどの手続きと数千ドル(数十万円)の費用がかかるそうです。

Airbnbは基本的に、ごく普通の個人が個人に対し部屋を有料で貸し出す仕組みです。借主も貸主もちゃんとルールやマナーを守れる人ならこんなトラブルは起こらないはずですが、中には悪質なユーザもいるってことです。

Airbnbに限らず、この種の個人対個人の製品・サーヴィスとお金のやりとりは「シェアエコノミー」として爆発的に広がっていますが、そこには上記のように思わぬ落とし穴があります。シェアエコノミーでは現状どんなトラブルがあって、どんな対策が取られているんでしょうか?

Airbnbのホラーストーリー

まず冒頭のAirbnbの件では、居座っているユーザー・Maksym PashaninとDenys Pashaninの兄弟は最初からお金を払わなかったわけではありません。44日間の予約を取って、最初の30日間はおとなしく賃料を払っていたんです。

でもその後、カリフォルニア州では借主が30日以上賃料を払っていれば保護されることを盾に、残り14日分の賃料を払わなくなったのです。さらにその後も出て行く気配がなく、貸主のCory Tschoglさんが電気を止めると警告すると「電気を止められたら1日1,000~7,000ドル(約10万~70万円)稼いでいる仕事に支障をきたす」「貸主による恐喝や怠慢、悪意のあるミスを告発する」と逆に脅しをかけてきました。こうなるとTschoglさん側から正式かつ大がかりな立退き要求をする必要があり、それが完了するには最長6ヵ月かかるというわけです。

AirbnbはTschoglさんからの協力要請に対し最初はやる気のない対応でしたが、度重なる依頼でようやく積極的になりました。彼らはPashanin兄弟のために別のホテルを手配するから出て行くように提案しましたが、応じられないままです。

今週になって、問題のPashanin兄弟はクラウドファンディングサイトKickstarterでも詐欺まがいの行為をしていることがわかりました。ゲームを作るといって4万ドル(約400万円)近い資金を集めたのですが、今年6月のリリース予定日が来ても出資者に何の通知もせず、7月になってようやくプロジェクト延期の通知を出したと思ったら「姉妹プロジェクト」として新たに2万5,000ドル(約250万円)を目標に出資を募ろうとしているんです。きっと顔面の皮膚がスイカみたいに分厚いんでしょうね。

これほど悪質ではないにしろ、Airbnbではゲストがものを盗んだり部屋をめちゃめちゃにしたり乱交パーティを開いたり、逆にホストがルール違反していたためにゲストが部屋から追い出されたり、といった「ホラーストーリー」があちこちで語られています。

ライドシェアサーヴィスでは?

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シェアエコノミーのもうひとつのポピュラーなサーヴィスとして、LyftUber Xといったライドシェアがあります。プロが運転するタクシーではなく、一般の人の普通の車をアプリから呼んで乗せてもらい、料金やチップを支払うサーヴィスです。

Uber XでもLyftでも、すでに何回も交通事故が起きています。事故はライドシェアに限らずどんな車でもタクシーでもつきものですが、気になるのはそのときの対応です。米国では十数の州が、「ライドシェア利用時の事故では保険が下りない場合がありうる」と警告を出しています。

UberやLyftはそれに反論してはいます。でも、2013年9月にUber Xで車に乗っているときに事故に遭い、まだ保険金が下りていない人がいるのも事実

事故だけでなく、たとえばLyftの運転手がストーカー化したりUber Xの運転手が乗客の持ち物を盗んだりもしています。そして運営する会社の対応は「運転手は独立した個人事業者なので我々にはコントロールできない」というものだったのです。

各社の対策

個人間のやりとりの安全性を担保するために昔から使われている対策は、ユーザ相互の評価システムです。AirbnbにもLyftにもUberにも、たいていのシェアサーヴィスにはこの機能があります。シェアする側・される側両方にとって相手側を判断するために役立つだけでなく、ルールやマナーを守るためのインセンティヴともなります。

またUberやLyftでは、ドライヴァーに対してバックグラウンド・チェック(身元調査)を行い、犯罪歴や交通事故・違反履歴の調査をして問題のある人物は排除しています。

さらに不測の事態には、AirbnbもUberもLyftもそれぞれ最大100万ドル(約1億円、ただし日本のAirbnbでは8,000万円)の保証金を出すとしています。ちなみに掃除などの軽作業を個人に頼めるTaskRabbitでも、最近同じような100万ドルの保険金提供を始めました。この手のサーヴィスで「何かあったとき」に支払われる金額の上限は100万ドルが相場になりつつあるようです。

たとえばAirbnbでゲストに部屋をめちゃめちゃにされたホストには2万4000ドル(約240万円)がすぐに支払われたり、ゲストが部屋を追い出された場合には返金してくれたりという対応もされています。

ただ、もしかしたら100万ドルを超える被害にあう人もいるかもしれないし、事故や犯罪にあったらお金で取り戻せないものを失う可能性もあります。冒頭のAirbnb居座りのケースも、数ヵ月分家賃収入がとれなくなりそうとか弁護士費用がかかるという金銭的なことよりも、タチの悪い人と数ヵ月にわたってやり合わなければならないストレスのほうが負担としては大きいんじゃないでしょうか。

もちろん従来のホテルやタクシーなどでもトラブルはあります。ただ、シェアエコノミーサーヴィスにおいては、シェアする側とされる側、そして運営会社の責任範囲がまだ曖昧な部分があり、前例も少ないです。なので万一何かの被害にあったとき、誰がどう責任を取るかでもめて宙ぶらりんになる可能性がある、というリスクは意識しておいたほうがよさそうです。

自衛は可能?

では具体的にどんなことに気をつければいいのでしょうか? 米Gizmodoの兄弟サイトLifehackerがAirbnbを使うゲスト側の注意点をまとめていたものが、シェアされる側の心得として参考になりそうです。

まずAirbnbのように事前に相手の評価を確認できるサーヴィスでは、あらかじめ相手が信頼できる人かどうかをレヴューで確認しておくことが大事です。予約の時点で直接電話で話したり、過去に同じ人のサーヴィスを受けた人から感想を聞いたりして、なるべく実態把握してから当日を迎えるほうが安心です。

そして何かあったときすぐ連絡できるように、運営会社の連絡先をすぐに見られる状態にしておくと良いです。実際に事件が起きてしまったときは、写真など被害の証拠となるものを極力押さえておくことです。

金銭的にも労力的にも低コストで、温かいサーヴィスが受けられたり、ムダになっていた資産を活用できたりするシェアエコノミーがこれからも広がっていくことは間違いありません。必要なのはやたらにリスクを恐れることではなく、リスクを理解しながら利用すること、ですね。

Photo: Airbnb

source:Valleywag, Scientific American, NBCNews, AirBnB, Uber, Lyft

(miho)