なぜ人はあくびをするのか、なぜあくびはうつるのか

2014.08.07 12:30
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カラダの不思議。

赤ちゃんも犬も猫も鳥もネズミも、ヘビですらあくびをします。母親の胎内であくびをする子もいるんだそう。これまで長い間あくびの理由は謎に包まれていましたが、近年の研究で少しずつ明らかになってきました。


あくびの生理学


人があくびをするとき、あごの筋肉がストレッチされることで、頭、首、顔への血流が増加します。また脳脊髄液が脳から下方へ送り出されます。

同様に、あくびをすると副鼻腔の壁が収縮し、これが大きく口を開くことと相まって、多量の空気が鼻腔、口、副鼻腔を通って取り込まれます。


あくびの理論


人がなぜあくびをするのかについては、主に3つの理論があります。


あくびは血中酸素濃度を上げる

あくびをすると多量の空気が取り込まれるため、多くの人が当然の帰結として、あくびの目的はより多くの酸素を取り込み、より多くの二酸化炭素を排出することだと理論づけています。ただこの従来の見解を裏付けるような客観的な証拠はひとつもありません。

それどころか、1987年の研究によると、酸素や二酸化炭素の濃度上昇時に、あくびの増減は見られないことが分かっています。そのため一部の科学者たちは、あくびは血中酸素濃度を上げることとは関係ないと結論しています。


あくびは覚醒を促す

さまざまな種において、「あくびは重要な出来事や行動の変化が予期されるときに起きる」ことが分かっています。そこで、あくびは警戒態勢を強化し覚醒状態を促進するために発生するという理論が生まれました。この理論は、あくびが神経伝達物質と内分泌物レベルの変化を伴うという事実によって裏付けられています。


あくびは脳の温度を下げる

最近主張されているのが、あくびが体温を調節をするという理論。この理論は、脳の温度が3つの要素でコントロールされていることが発見されたところから生まれました。脳の温度は血流の温度と速度、そしてメタボリズムによってコントロールされています。あくびによって血流が増えますから、あくびの目的は脳をクールダウンすることだという理屈にあった仮説が立てられたわけです。

この理論は2007年の研究で最初に打ち立てられました。この研究では2つの実験が行われました。最初の実験では、被験者は鼻か口のどちらかで呼吸するように指示され、その後他の人があくびをしているビデオを見せられます。鼻から呼吸をした人はビデオにつられてあくびをすることはありませんでした。

2つ目の実験では、被験者は温かいパックと冷たいパックを交互に額に載せるように指示されました。そして同じように他の人があくびをしているビデオを見せられます。温かいパックを頭に載せた人のなんと41%がつられてあくびをしました。反して冷たいパックを載せた人のたったの9%にしかあくびはうつりませんでした。これにより研究者たちは、あくびの理由の少なくとも一部は脳のクールダウンに関係しているようだと考えています。

2010年、ネズミの脳の研究が実施され、そこではあくびの前に脳の温度の上昇が見られました。そしてあくびの直後、脳の温度が下がったのです。後続の研究によると、あくびの後の温度下降は脳全体で見られるものの、あくびの前に温度上昇が見られるのは大脳皮質だけであることが分かりました。

あくびが脳の温度を下げるメカニズムについては3つの仮説があります。1つ目の仮説は「脳の温度は常に動脈の血液より0.2℃高い」という事実に基づいています。脳の温度が血液の温度より高いため、血流が増加すれば脳内の温かい血液が押し出され、冷たい血液が流れ込むというわけです。研究者たちはクーリングプロセスをラディエーターに例えています。

2つ目の仮説も熱交換に関するものですが、この仮説では口、鼻、副鼻腔の空洞から流れ込む冷たい空気が関係してきます。この空気が温かい血液を含む静脈部分と接し、息を吐くときに血液をクールダウンして熱を取り除きます。このメカニズムは冷蔵庫の仕組みと似ています。

3つ目の仮説も冷たい空気と副鼻腔の接触に関するものですが、この場合は副鼻腔の粘膜周辺で蒸発を促進することに関係しています。このメカニズムは体が皮膚の表面の汗を使ってクールダウンする仕組みと同じです。

あくびの理由が脳をクールダウンすることだとすると、周囲の気温が上昇した場合、最初はあくびの回数が増えることになります。しかし気温が体温に近づいてきたり、それ以上になった場合には、別の方法によるクールダウンが発生するのであくびは減少します。また体温と気温が一定のレベルを下回った場合もあくびは減少します。そうでないと脳をクールダウンしすぎてしまう可能性がありますから。

この理論は2009年インコでテストされました。そして案の定、気温が上がるとあくびが増加し、ある程度の高温になると「蒸発によるクーリングメカニズム(浅速呼吸など)が頻繁になることで」あくびは減少しました。これらの発見は2011年の研究にて人間でも確認されました。

ただ、すべての人がこの温度調節理論に賛成しているわけではありません。異論を唱えている人たちは、あくびでは急激な温度の低下は見られない、あくびとクーリングの間に大きな時間差がある、哺乳類だけでなく変温動物もあくびをすることを指摘しています。


では、なぜあくびはうつるのか?


なぜあくびがうつるのかについて最も一般的な理論は、模倣共感に関連しています。この理論は、例えばあくび中に撮影した脳のMRI画像など実証的証拠により裏付けされています。そのような研究の一つで、あくび中(自分および他人の)感情を処理する脳の部位が活性化することが分かりました。これにより研究者たちは「他人の気持ちになって考えられる能力は、どれぐらいあくびがうつりやすいかの目安となる」としています。ただし、あくびの伝染は人口の60~70%でしか発生しないことは覚えておく必要があるでしょう。

この理論に付随するものとして、野生動物(インコなど)では、あくびの伝染は環境的な脅威が知覚された後に見られることが分かっています。これはサバイバルメカニズムの一環として発達したものと考えられています。グループ全体に警戒するよう促し、危険に備えるようにするわけですね。


Melissaは面白い事実に関する記事を集めた人気ウェブサイトTodayIFoundOut.comのライターです。 Today I Found Outの「 Daily Knowledge(今日の知識)」を購読したい方はこちらをクリックするか、Facebookでいいね!を押してください。YouTubeでもお楽しみいただけますよ。

この記事は、TodayIFoundOut.comの許可を得て再掲載されています。


image by Hilary Quinn under Creative Commons license

Meliissa - GIZMODO US[原文
(mana yamaguchi)

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