アマゾンが1000億円で買収するTwitchってどこがそんなすごいの?

アマゾンが1000億円で買収するTwitchってどこがそんなすごいの? 1

今年最大のゲームと騒がれた「全世界でプレイするポケモン赤」。

あのむずい「チャット直打ちコマンド世界同時集計で操作するプレイ実況中継」で人気のTwitchが、大方の予想通りアマゾンに買収されることが決まりました。買収額9億7,000万ドル(約1,000億円)。

Twitchは今や米国ではピーク時のネットトラフィックの第4位を支配するサーヴィスです。グーグルも10億ドルで買収を持ちかけてるって噂だったんですけど、YouTubeとTwitchでは独占臭もありますしね。競り勝ったアマゾンは動画部門に超強力な人寄せパンダゲットということになります。

「ん? そんな会社あったっけ?」、「こんな無名のスタートアップに1,000億円も払うの!?」と驚く向きもあるかもですけど、ギズ的にはむしろ数十億ドルはってでも買う会社が出なかったことの方が驚きです。

Twitchはゲーム(だけ)の会社ではない

Twitchがここまで成長したのは確かにゲームプレイ動画配信のお陰だし、それはもうプレイ実況のメニューなら山ほど揃ってます。

でもひと口にゲームのストリーミングと言ってもTwitchは、「家に呼ぶから行ったのにあいつ絶対触らせてくれねえんだよなー」的SNESエミュレータとは違うんです。数の規模が違う。

QZが書いているように、例えば「LoL(リーグオブレジェンズ)シーズン3」プレイ実況の視聴数は3,200万人で、2013年ワールドシリーズ視聴者(1,500万人)のなんと倍。

ポケモン全世界同時操作プレイの「Twitch Plays Pokemon」なんかもメニュー画面主体の映像を世界8万人が視聴したんですよ。同時に。何日も何日も。

しかし、Twitchのすごさは、ゲーマーの数ではなく、あれだけの数の熱いゲーマーを支えるフレームワークにあります。これまでにも動画ストリーミングのサイトはUstream、YouTubeなどありましたけど、実行が粗くて安定性に欠けたせいか、見せ場がなかったせいか、ここまでスケールできたのはTwitchが最初なんですね。

ライブストリーミングである以上、完璧ということはないのですが、Twitchは本当にバランスが絶妙です。どのゲームも楽しくて、安定感があって、いつ覗いても何か見たいものがある感じ。今は「eスポーツ」が爆発的に成長してることだし、この強みを他の分野に応用したら結構いろんな展開ができそう。現に7月にはスティーブ青木のライブ中継もやってますし、当然そういうことも考えているでしょう。

Netflixが大容量食いの陽なら、Twitchはチャンネルサーフィンの陰。動画の未来形がストリーミングなら、Twitchはストリーミングの真ん中にある会社なのです。

Twitchは大きいイベント(だけ)の会社ではない

ゲームのトーナメントを3200万人が視聴するというのもすごいことだし、世界何万人がゲームボーイのボタンを1回に1個ずつ押す壮大なコラボでゲームを前におし進めるっていうのもすごいことですけど、Twitchはそれだけじゃありません。Twitchは駆け出しのゲームライターがファンと触れ合う場であり、学校に馴染めないティーンが引っ越して離れ離れになった昔の友だちと一緒に「スタークラフト2」を観る場でもある。要するにコミュニティなんです。

昔ながらのソーシャルネットワークとは違うかもしれませんけど、魅力は共通するものがあります。そして横の広がりもすばらしくて、ユーザーはMinecraftのマイワールド共有したい人から、過去の栄光を取り戻したいフレッド・ダーストまでさまざまです。ツイッターも友だちと密に繋がりつつセレブを大っぴらにストーキングできるところが素晴らしいですけど、Twitchはもうテーマが最初から組み込まれているので、熱烈なファン同士がツーカーで繋がれるメリットがあります。

ソーシャルネットワークは作ろうと思って作れるものではありません(それはグーグルが一番よく知っている)。どこに湧くかわからないところがある。その点、Twitchはどのゲームのストリーミングを覗いてもチャットで盛り上がってるので、企業は喉から手が出るほど欲しいところでしょう。問題は刈り入れのタイミングですが、これは雪だるま式に成長が加速する前段階で、尚且つ一般の人にはまだそれほど注目されてない段階がベスト。まさに今のTwitchがそれなのです。

Twitchはなんにでも潰しが効く

グーグルもさぞかし欲しかったことでしょう。あのYouTubeの比じゃないTwitchのライブストリーミング技術の完成度、Google+の比じゃない超エンゲージングなコミュニティを見て涎垂れまくりだったことは想像に難くありません。YouTubeにTwitchを加えたら鬼に金棒です。グーグルはネットの動画のキングとなって、Android TVもバーンと出して飛翔できたはずなのに…トホホ…。

逆にアマゾンはゲーム×TV視聴ドッキングのTwitchを得ることで、Fire TVの脆弱なゲーム部門もグンと強化できますね。Amazonプライムのストリーミングも対費用効果ではNetflixと遜色ないものにジワジワ追い上げてきています。そこに盤石のストリーミング技術と視聴者数百万人を加えたら、そのうちAmazonプライム・コンサートなんてのも夢じゃないですね。

表に出てないだけで、アマゾンとグーグル以外にも興味を示した会社は絶対あったと思いますよ。アップルもTVのセットトップボックスへのゲーマー取り込みに躍起のようだし、マイクロソフトも自社製コンソールから動画を簡単にストリーミングできるよう当初から取り組んでます。

10億ドルのお金をポンと出せる余裕があって、Twitch買収に名乗りをあげない企業があるとしたら、それは感覚どうかしてるよなあって思うのだけど。それはギズの考えであって実際には、ベゾス一生一度の鮮やかな盗塁劇だったのかもしれませんね。

Press Release:Amazon, Twitch

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Eric Limer - Gizmodo US[原文12

(satomi)