気象変化で160年の謎解決。フランクリン隊の遭難船見つかる

気象変化で160年の謎解決。フランクリン隊の遭難船見つかる 1

「百年近く前のツタンカーメン王墓発掘以来の大事件」と、フランクリン遠征の著書多数の英考古学者ウィリアム・バターズビーさんも大興奮!

1845年、海洋探検家ジョン・フランクリンはカナダ北極圏の伝説の北西航路(大西洋と太平洋を北米北岸沿いに結ぶ理論上の航路)で乗組員129名と共に消息を絶ちました。船は氷に閉ざされ、フランクリンはそれっきり帰らぬ人に。

ところがなんと、150年以上の歳月を経てキングウィリアム島沖の海底でその船がついに見つかりました!

遭難船捜索のため探検隊を派遣し、執念で2隻のうち1隻を探し出したのは、カナダのスティーヴン・ハーパー首相です。なぜカナダはそこまでこの老朽船にこだわるのか? 答えは「気象の変化」にあります。

といっても、ハーパー首相は保守系で頭の硬いアンチ科学派とよく叩かれる人ですし、別に気象変化のことはそんなに気に病んでいないんです。氷が溶ければカチンコチンの危険な北西航路も貴重な航路になりますよね? そうなればフランクリンの大昔のオンボロ遭難船を早いとこ見つけといた方が係争中の領土領有権を主張する面でなにかと有利に働くウシシ…という大人の計算が働いてのこと。ロマンのかけらもありゃしません。

遭難船はなぜ北西航路に閉ざされたまま、何百年も出てこれなかったのか? その答えは、そんな航路自体そもそも存在しなかったからです。全部凍ってたんです。今は気象変化のお陰でそうでもありませんけどね。

2008年には最初の商用船が北西航路を航海しました。今では豪華クルーズ出航の話まで出ています。

カナダ政府のパークス・カナダ(カナダ国立公園管理局)がフランクリン遭難船捜索に乗り出したのも、この同じ2008年のこと。捜索の模様をSlateにKat Long記者はこう書いていますよ。

捜索活動は、高度なサイドスキャンソナーと遠隔操作の水中探査機を駆使して行った。

考古学者たちが海底に何か船の手がかりになるものがないか探してみる。が、何km探しても手がかりはゼロだった。

地上班はイヌイット族の案内人たちと一緒に、フランクリン安住の地を示す手がかり求めて石ころだらけの海岸線をしらみ潰しに当たってみた。すると、まるでじらすかのように食べ物の缶詰、歯ブラシ、人骨が見つかったのだ。

こうして本日晴れてハーパー首相自らが「今年のビクトリア海峡探検でカナダ最大の謎のひとつが解けた。こんなに喜ばしいことはない」と、フランクリン謎の失踪船発見のニュースを発表したのであります。首相はこの一連の捜索活動ではものすごく現場主義のアプローチで、自分でも捜索船に2泊していたので、喜びもひとしおの様子。

それにしても地球温暖化もそこまできたか、との思い再びですね。ちょっとした上下変動程度のことじゃなく、それまで伝説だった航路が現実になって、経済が変わり、国際関係も変わる、ぐらいの大変化。気象の変化はあらゆるものに触手を伸ばし、歴史を遡って19世紀の幽霊船をも照らし、今のこのいくぶん暖かい世界に蘇り影響を与える――諸行無常でございますね。

source: BBC, Slate

Top image: フランクリン船はHMSエレバスとテラーの2隻。これはHMSテラーが北海探検で氷に乗り上げたシーンの木版画。今回見つかったのがどっちかはまだ証拠不十分で不明。Creative Commons

Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(satomi)