BitTorrent初の試み、トム・ヨークが有料で新アルバムを配信

BitTorrent初の試み、トム・ヨークが有料で新アルバムを配信 1

音楽業界を変えていく力になるか。

レディオヘッドのトム・ヨークが、新アルバム「Tomorrow's Modern Boxes」を発表しました。彼はそれをファンに直接届ける手段として、BitTorrent経由で実験的に販売しています。それはトム・ヨークだけでなく、BitTorrentにとっても新たな挑戦となります。

「Tomorrow's Modern Boxes」はBitTorrentの「バンドル」として6ドル(約650円)で販売されます。バンドルとは音楽に歌詞や動画などのファイルもセットにしたもので、BitTorrentがこの2年ほど実験してきたプログラムです。通常、たとえば、1曲か2曲は無料なのですが、その先は「ゲート」の向こう側にあり、メールアドレスなどの情報を送ればフルにアクセスできるという仕組みです。ユーザは通常のBitTorrentファイルと同じように、任意のクライアントを使ってBitTorrentプロトコルで「バンドル」を受け取れます。

さらに「Tomorrow's Modern Boxes」は、BitTorrent史上初めて「ペイ・ゲート」、つまり有料のゲートを使っています。音楽と動画各1ファイルは無料で、6ドル払えばその先が聞けるようになっています。またそれとは別に、180gヴァイナルとロスレスファイルフォーマットの曲がセットで48ドル(約5,200円)のデラックスパッケージもあります。

BitTorrentのWebサイトにはこんな言葉があります。

我々は実験として、新ヴァージョンのBitTorrentを使ってトム・ヨークの新レコードを配信しようとしています。(略)これは、このシステムが社会を振り向かせるような仕組みかどうかを確かめるための実験です。もしうまくいけば、この仕組みは作品を生み出す人がインターネットコマースのコントロールを取り戻すための有用な手段となりえます。音楽や動画、その他何らかのデジタルコンテンツを作り出す人が、自分自身でそれを売ることができます。勝手に立っている門番をバイパスするということです。Torrentの仕組みでは、サーバへのアップロードやホスティングのコスト、クラウドの煩雑さは不要です。それは自己完結型の、埋め込み可能な店舗なのです。

かなりの野望のようですが、まったく勝算のない試みでもなさそうです。トム・ヨークが曲の新しい売り方を試すのはこれが初めてではなく、ファンの人ならレディオヘッドが2007年にアルバム「In Rainbows」をダウンロード販売し、その際価格はユーザが自由に付けられる方式にしたのを覚えているかもしれません。そして多くのファンはきちんとお金を払ったんです。今回のトム・ヨークのバンドルもたくさん売れるんじゃないでしょうか。

ただ、もっと無名のアーティストも含めてこれらのやり方がうまくいくかどうかはまだわかりません。でも、作り手と受け手がよりフラットにつながってムダな中間コストを減らしていきたいという思いは両者に共通していて、今後もこの種の議論や試行錯誤は続いていくことでしょう。

source:Tomorrow's Modern Boxes and BitTorrent

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文

(miho)