「立体コピー」でZINEをつくったら、グラフィックの新しい可能性が拓けた

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ギズモードのクリエイティヴ担当、グラフィックデザイナーのハイロックでございます(勝手に)。

僕はこれまでブランドのロゴだったり、キャップのワンポイントマーク、ショップロゴデザインだったりと、多種多様、さまざまなデザインを手がけてきました。そして今、自分の20年のデザインワークをまとめようと思っていたところ。

そんなところにちょうど、コニカミノルタの立体コピーという技術を使わせていただけるチャンスが巡ってきました。

立体コピーがどんな技術か、かんたんに説明すると、

・「立体コピー」とは、黒でプリントした部分が盛り上がり立体的な表現ができるコニカミノルタの技術である。

・立体化したい原稿を、専用のコピー機を使ってカプセルペーパーと呼ばれる特殊な用紙にコピー、それを専用現像機にとおして熱を加えることで、原稿の黒い部分が膨張し浮き上がる。

・もともとは点字原稿などを立体的にコピーして、視覚障がいの方への情報伝達をサポートするために開発されたが、最近では新たな活用方法も模索されている。

というもの。

うん、これはちょっと面白そう。

自分の作品が立体的になるというのも面白いし、白黒しか使えない制限も、逆に、立体的な表現をするうえでプラスに働きそう。デザイナー魂も燃えてきます。

この技術を使った製作の可能性は無限にあるわけですが、どうせだったらこの立体コピーを使って自分のデザインワークを一冊の「ZINE」としてまとめてみようと思いつきました。

ZINEとは、いわゆる出版社を通さない個人出版物のこと。誰でも気軽に作ることができるクリエイティヴな本です。

立体コピーで「ZINE」を作ろう

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今回のZINEのために用意したデザインを持って、コニカミノルタさんのオフィスへ。パソコンからデータをコピー機に転送し、カプセルペーパーと呼ばれる特殊な用紙に出力していきます。

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この工程は普通のプリンター出力の作業と全く同じ、紙が特殊なだけですね。

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これがプリントされたもの。まだ「立体化」されていません。

はい、そしてこの工程が「立体コピー」のキモとなります。先ほど出力した用紙にをかけます。ラミネーターをかけるような感じで、うぃ〜〜〜〜んと紙が吸い込まれていきます。

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出口から出てきた時には、このように。

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もうちょっとアップにするとわかりやすいですかね。立体というと、3Dプリンターのような立体造形を思い浮かべてしまうかもしれませんがこちらの立体コピーは、Tシャツの発泡プリントのようなあくまでも2Dの延長で、ポコっと膨らむ感じ。

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別のデザインも、

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同じ要領で全てのページを仕上げます。

そうしたらここからは製本の作業です。出力したものを本のサイズに合わせてカッターで裁断していきます。実は今回のZINE製作でこの作業が一番たいへん。気合でやるしかない…。

最後に2穴パンチで穴を空けて、プラファスナーという文具で閉じます。地味な作業なので作業風景は割愛。

そしてZINE、完成!

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ジャジャーン!!

世界で一冊のわたくしハイロックのアートワークをまとめたZINEが完成です。これはちょっと嬉しい、感動!

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「DESIGNE ARCHIVES 1999 - 2014」MADE BY HIROCK

立体コピーを使った制作物を作る際のコツとしては、デザインの段階で、細い線や潰れそうな細かい箇所を予測して、線を太らせたり、ある程度決意してデザインから外してしまうこと

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最後の熱を加える工程は、熱の強さが10段階あり、最初はレベル8でやってみました。つづけてやっていくうち、今回の僕のデザインでは、もともとが立体化を考えていない細かいデザインだったので、少し弱めたレベル6が最適とわかり、そちらに変更。

ただこれは、モチーフによって変えていく必要があり、簡単な図形だったら強めのレベルで、思いきり膨らませるほうがこの立体コピーの魅力が引き出せるでしょう。

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熱を強く加えれば、膨らみも強く、細かい箇所は潰れてしまうことになります。熱を弱めれば、細かい箇所は綺麗に見えますが、膨らみが弱いということになります。このバランスを考えて熱のレベル調整をしていくのが立体コピーの最大の鍵であることがわかりました。

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触れて感じる「立体コピー」の可能性

今回は少しアプローチが違いましたが、この技術の最大の魅力は、目からの刺激だけではなく、触ることにより、本当にそのものに触れているような不思議な感覚が得られること。

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例えば、この写真のように、手形とか。

手形といえば力士の手形色紙をよく目にしますが、それを立体化してしまうのです。感触がとてもリアルだし、指紋はもちろん、手にできた豆もくっきりわかります。

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力士だけでなく憧れのスポーツ選手に擬似的に触れたり、家族や友人などの手形に触れたりすることで、その感触が離れた距離を埋めるのに役立つかもしれません。これを使ったら2020年の東京五輪では、きっとおもしろいことができるんじゃないでしょうか。

そのほかにも色々考えられます。釣り場に設置して、立体魚拓に使ったり、飲食店のメニューにしたり、子供の絵本なんかでもおもしろい。

今まで自分がやってきたデザインは、単に目に見せて完結するもの。そこに「触る」という行為が加わることで、まったくデザインするアイデアが変わってきます。

特に最近は、どのジャンルにおいても紙出力が減って、スクリーンの中だけのデジタルクリエイションに置き換わってしまっています。こういう技術を一つのきっかけとして、もっともっとリアル世界にカタチある、触れるクリエイションを残していきたいと感じたZINE制作でした。

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source: コニカミノルタ

(ハイロック)