iPhone 6/iPhone 6 Plusのディスプレイ、モバイル液晶で最高の評価

2014.09.26 23:00
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アップルは再びモバイルディスプレイの牽引役に。

iPhone 6iPhone 6 Plusに関して発表前から大きく話題になってきたのが、そのディスプレイサイズです。従来の4.0インチから、4.7インチと5.5インチにそれぞれ成長しました。

が、ディスプレイの評価やコンサルティングを手がけるDisplayMate TechnologiesがiPhone 6とiPhone 6 Plusのディスプレイを徹底的にテスト・分析したところ、サイズ以外にもさまざまな点でiPhone 5sから進化しているようです。同社社長のRaymond Soneira博士も、「ベスト・モバイル液晶ディスプレイ」だと太鼓判を押しています。

以下、Soneira博士によるiPhone 6とiPhone 6 Plusのディスプレイテストの解説を抄訳してお届けします。


iPhoneディスプレイの歴史


アップルのiPhone、そしてiPadは、最近までモバイルディスプレイの最先端にいました。高性能IPS液晶やsRGB 100%の色域、フル24ビットカラーをいち早く取り入れ、画像や写真の画質・パフォーマンスを高めていました。スティーヴ・ジョブズとアップルは、ディスプレイ品質をマーケティングの中心的テーマとして打ち立てました。

彼らのもっとも有名かつ野心的なイノヴェーションは、2010年のiPhone 4におけるRetinaディスプレイでした。解像度とピクセル密度(PPI)が従来から倍増し、視力1.0の人でもピクセルを見分けられないほど精細なディスプレイでした。それは技術的にもマーケティング的にも優れていて、競合他社はただその後塵を拝するばかりでした。

ただその後、iPhoneディスプレイの進化は停滞し始めました。2011年のiPhone 4sのディスプレイはiPhone 4と同じままでした。2012年のiPhone 5では色域がsRGB 100%に広がり、ディスプレイサイズが3.5インチから4インチになりました。2013年のiPhone 5sはまた同じディスプレイでした。もっとも革新的だったiPhone 4のディスプレイ誕生以来、もう4年になります。

その間、他のメーカーが着々と追い上げて来ました。最近ではアマゾン、グーグル、HTC、Huawei、LG、そしてサムスンが非常に革新的なディスプレイを採用しています。iPad miniのRetinaディスプレイは色域がsRGB 100%でなく63%になったため、アマゾンのKindle Fire HDX 7、グーグルのNexus 7との比較では大差の3番手となってしまいました。

そして2014年、アップルはiPhone 6とiPhone 6 Plusで再びディスプレイを大幅に強化してきました。停滞していた4年分のキャッチアップがあり、ディスプレイサイズの大型化はそのひとつに過ぎません。

DisplayMateではiPhone 6とiPhone 6 Plusのディスプレイについて詳細なテスト・分析を行いました。サムスン Galaxy S5やGalaxy Note 4、HTC Oneなど他社のフラッグシップ機搭載の液晶ディスプレイ・有機ELディスプレイに対してもこれまで同じ分析をしており、比較が可能です。


テスト結果ハイライト


前置きはこのへんにして、以下に測定結果をまとめていきます。詳細はこちらの表にまとまっていますが、以下それぞれの項目について解説していきます。


・フルsRGBの色域と絶対色精度

2013年のiPad miniではsRGBが63%に下がっていましたが、新iPhoneではsRGB 100%を維持していることがわかりました。新iPhoneディスプレイの色域は、標準規格であるsRGBとRec. 709それぞれにおいて非常に精確です。厳密にいうと、iPhone 6ではほぼ完ぺきな99%、iPhone 6 Plusでは101%を計測しました。結果についてはこちらにグラフがあります。

高い絶対色精度を実現するには、ディスプレイには精確な色強度スケールとホワイトポイントが必要です。iPhone 6・iPhone 6 Plusのディスプレイは色強度スケールのガンマ値が2.22と非常に精確でしたが、ホワイトポイントは色温度7,300K前後と、基準値となる6,500Kよりどちらも青みがかっていました。それでも非常に良好な結果で、ホワイトポイントの色温度7,461KだったiPhone 5より改善してもいます。

絶対色精度を数値で表すと、iPhone 6は2.6JNCD(訳注:JNCDは色の誤差を表すDisplayMate独自指標で小さいほど良く、3.0以下は目に見えないとされる)、iPhone 6 Plusは3.1JNCDとなりました。こちらに結果をグラフ化したものがあります。どちらも非常に良く、これまで我々が計測したモバイルディスプレイの中でもっとも正確な部類に入ります。おそらく、通常の家庭にあるTVよりかなり高精度です。


・輝度、明るい場所での性能

モバイルディスプレイは明るい環境光の中で使われることが多く、それによって画像の色やコントラストが失われ、画質が落ち、スクリーンが見にくくなります。明るい場所でも使えるディスプレイの条件は、輝度が高いことと、反射率が低いことです。iPhone6もiPhone 6 Plusも、その両方を兼ね備えています。輝度はそれぞれ550 cd/m2(輝度の単位、ニッツとも)以上となっており、我々が計測したスマートフォンの中でももっとも高いもののひとつで、2013年にテストしたフルHDのスマートフォンよりも相当高くなっています。

反射率(小さいほど良い)はiPhone 6/iPhone 6 Plusともに4.6%で、我々が計測したものの中で最小に近く、2013年発売のフルHD液晶スマートフォンと比べると非常に小さい値です。高輝度・低反射率によって、iPhone 6とiPhone 6 Plusは明るい環境でのコントラストレーティング(輝度÷平均反射率)がそれぞれ121、123と、計測した中で最高レヴェルを実現しています。


・カタログスペックを超える性能

今回複数のiPhoneディスプレイをテストしましたが、すべての端末において、明るさ、コントラスト比、色域、色強度スケール、全体的なキャリブレーションが同じ値でした。これは異例なことですが、全ディスプレイが細部まで自動化された工場でキャリブレーションを受けているためだと考えられます。

アップルはディスプレイスペックを今も公開している数少ないメーカーのひとつです。彼らはiPhone 6、iPhone 6 Plus両方の標準の輝度は500 cd/m2としています。が、我々はiPhone 6で558 cd/m2、iPhone 6 Plusで566 cd/m2を計測しました。つまり標準とされるものより約12%ほど大きな値で、カタログスペックより実際の方がかなり良い値ということです。通常逆の場合の方が多いので、これは素晴らしいことです。

アップルはまた標準コントラスト比をiPhone 6では1400:1としていますが、実際は1591:1でした。iPhone 6 Plusでは標準が1300:1であるのに対し、実際は1451:1でした。いずれも13%良い値になっており、なおかつ我々が知るモバイル液晶の中では最高の値となっています。


・電力効率

iPhone 6とiPhone 6 PlusはiPhone 5とほぼ同じディスプレイ電力効率です。いずれも今もっとも電力効率の良い低温ポリシリコン(LTPS)のバックプレーンを使っていることを考えると、予想通りです。が、我々がテストした2013年のフルHD液晶スマートフォンよりも10%高効率で、それはピクセル密度の違いによる部分もあります。

液晶ディスプレイの電力効率はコンテンツと関係なく一定ですが、有機ELディスプレイでは画像コンテンツの平均画像レヴェル(APL)によって効率が変わってきます。たとえば現在の有機ELディスプレイと比較すると、液晶ディスプレイは白の多い表示(たとえばテキストの画面)において相対的に電力効率が高くなります。逆に写真や動画などAPL50%の混合画像コンテンツにおいては、最新のOLED Galaxy Note 4のディスプレイはiPhone 6とiPhone 6 Plusのディスプレイより21%効率的でした。一方、100%APLつまり完全に白い画面では、iPhone6とiPhone 6 Plusのほうが45%効率的でした。


・視野角性能

スマートフォンは主にひとりで見るものですが、ひとりであっても持ち方は色々と変わるので視野角性能はやはり重要です。通常の視野角は最大30度以内ですが、テーブルでや机に置いて見るときはもっと大きくなります。

iPhoneにおけるディスプレイ性能の進化は、視野角にも表れています。iPhone 6とiPhone 6 Plusは、iPhone 5または他の液晶ディスプレイよりも高い視野角性能となっています。特に重要なのは、視野角30度でもコントラスト比と輝度が下がらないこと、色変化も非常に小さかったことでした。


・ヴューイングテスト

iPhone 6とiPhone 6 Plusの色と画質は非常に良く、精確です。ホワイトポイントはどちらもあえてやや青寄りになっていますが、絶対色精度と色強度スケールはすべて「非常に良い」または「素晴らしい」の範囲でした。

DisplayMateのテストは非常に厳しいものですが、さまざまなディスプレイを見てきた私の目からみても、画質判定のためのキャリブレーション写真は美しいと思えました。ただしこれは周りが明るくないときだけです。明るい環境での性能については最後に詳述します。


判定:ベスト・スマートフォン液晶ディスプレイ


・iPhone 6 Plusは最高の性能

DisplayMateの徹底テストの結果、iPhone 6 Plusは我々がテストした中で最高性能のスマートフォン用液晶ディスプレイです。有機ELディスプレイを含めても、iPhone 6 PlusはDisplayMateの指標ですべて「非常に良い」または「素晴らしい」の評価が付いた2つ目のスマートフォンディスプレイです。ただし視野角があるときの輝度の変化は例外ですが、これは液晶ディスプレイにはつきものの問題です。iPhone 6 Plusは、液晶ディスプレイ性能のレヴェルを1段高めました。

iPhone 6 Plusは以下の液晶スマートフォンディスプレイ性能の指標において過去最良と並ぶか、記録更新しています。それは輝度のピーク値、スクリーン反射率、コントラスト比、高環境光でのコントラスト比、色強度スケールとガンマ値、イメージコントラスト、視野角がある場合の輝度変化の少なさ、色です。一方、優れてはいるものの記録に届かなかった指標は、解像度(1920 x 1080、最高は2560 x 1440)、PPI(401PPI、最高は538PPI)、絶対色精度(3.1JNCD、最高は2.1JNCD)でした。


・iPhone 6も同等、ただピクセル数が残念

iPhone 6のディスプレイは他の点ではiPhone 6 Plusとほぼ同じ性能ですが、ピクセル総数は100万ピクセルほどです。100万というのは、iPhone 6 Plusのピクセル総数が約210万ピクセルであること、他のハイエンドスマートフォンにおいては210万~370万ピクセルが実現されていることを考えると、非常に少ないです。

326PPI、1334x750あるのでHD Retinaディスプレイの名には値しますが、もっと解像度を高めればメリットは数多くあります。たとえば画像が元々作られた端末からスケールを変えて別のディスプレイで表示される場合、ディスプレイのピクセル数がなるべく多いことが重要です。ほとんどの画像でこのリスケーリングが必要で、特に細かいテキストやグラフィックスがある場合は、解像度が高くなった場合でも低くなった場合に重要です。リスケールした画像は、210万画素のiPhone 6 Plusで見るほうが、100万画素のiPhone 6で見るより、並べてみるとそれとわかる程度からかなりはっきりとベターでした。2倍のピクセルがあることで、見た目にはっきりと分かる違いが生まれるのです。リスケールしなくても、細かいテキストやグラフィックスはiPhone 6 Plusのほうがよく見えました。

iPhone 6のディスプレイはそれでも非常に良いディスプレイで、ほとんどのユーザーはその性能に満足するでしょう。ただ、アップルが「ベスト」ではなく「十分満足」レヴェルに甘んじてしまったのは残念です。iPhone 6 Plusとの差別化のためにあえてそうしたのかもしれませんし、利益改善のためかもしれません。でもiPhone 6のディスプレイ解像度がもし1920 x 1080だったら、それは本当にトップになっていたでしょう。

以下の表は、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plusのテスト結果からの抜粋です。結果全体はこちらに膨大なデータが公開されています。


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他のスマートフォンディスプレイとの比較


iPhoneで使われている液晶ディスプレイと、サムスン Galaxy S5などで使われている有機ELディスプレイは、モバイルディスプレイの2大勢力です。それぞれの技術は大きく違っていて、それぞれ強みがあります。

DisplayMateが測定してきたモバイル液晶ディスプレイの中では、iPhone 6とiPhone 6 Plusがベストです。一方、有機ELディスプレイの中ではGalaxy S5とGalaxy Note 4がベストです。iPhone 6は4.7インチ解像度は1334 x 750、ピクセル密度は326PPIで、比較対象となるのは5.2インチ・1920 x 1080・432PPIのGalaxy S5です。iPhone 6 Plusは5.5インチ・1920 x 1080・401PPIで、比較対象は5.7インチ・2560 x 1440・518PPIのGalaxy Note 4です。

以下、各リンクはDisplayMateの測定結果に飛びます。詳細に比べたい方は、それぞれ別タブで開いて比較してみてください。

iPhone 6・iPhone 6 Plusテスト結果
サムスン Galaxy S5テスト結果
サムスン Galaxy Note 4テスト結果
2013年発売フルHDスマートフォンテスト結果


モバイルディスプレイの次なる課題


現状、あらゆるディスプレイスペック判定や工場でのキャリブレーションは、完全な暗闇である0ルクスを基準に行われています。でもモバイルディスプレイが(TVも)暗闇で使われることはほとんどありません。多少の環境光でも画質に大きな影響します。たとえば色域がsRGB 100%といっても、それは0ルクスのときにしか言えません。一般的なオフィスの明るさである500ルクスでは、環境光の反射で色が100%からたいていは80%くらいまで失われます。イメージコントラストも大きく影響されます。そして周りが明るいほどそれはひどくなります。

そのため次の液晶ディスプレイにおける最重要課題は、明るい環境での画質や読みやすさの改善です。キーとなるのはディスプレイの色域と色強度スケールを環境光レヴェルにあわせて自動かつリアルタイムで調整する機能の実装です。また液晶には、広い色域の実装のために量子ドットが必要となります。こうした明るい環境でのパフォーマンス戦略の具現化に成功するディスプレイやその技術、メーカーが、次世代モバイルディスプレイのリーダーとなるでしょう。


Dr. Raymond Soneira - DisplayMate Technologies - Gizmodo US[原文
(miho)

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