世界一きれいなスマートウォッチ、Moto 360レヴュー

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「アップルがデザインしたスマートウォッチみたいだ」とよく言われる「Moto 360」。

今年グーグルがAndroid Wear発表時にチラ見せした段階から華麗に成長を遂げ、ついにデヴューです。さすが1,300点からの公募を勝ち抜いたデザインとあって、歴代スマートウォッチでは群を抜く美しさ

現状Android Wear最高峰のウォッチではありますが、これで今度出るApple Watchに対抗しうるのか? 実機をとっくり見て参りましょう。

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これは何?

Android(4.3以降)フォンとペアリングできるスマートウォッチ。サブ画面みたいなものですね。電話、テキスト、メールが入ると表示され、音声コマンドで返信できます。大事なことを必要なタイミングで表示してくれるGoogle Nowのカードも使えて、ターン・バイ・ターンの道順表示、単語や文章の翻訳、健康管理のセンサも一式入ってて、おまけに美デザイン。

どんな人が使うの?

Androidフォンユーザ。

最先端テック=マストハヴな人。

生産性向上ジャンキー。

ランナー。

自転車野郎。

腕時計はめる人。

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デザイン

ズーランダーばりのモデル顔…いや、ほんとに恐ろしくカッコいいです。これはその辺のデザイン通、テック好き、その他大勢の人に手当たり次第見せて歩いてもみんな同じ反応でした。出しゃばらず程よく控え目。なんだけど、周囲の人が目ざとく気づいて「ソレ何?」って聞いてくるぐらいにはクールという。

往時の高級アナログ腕時計を彷彿とさせる存在感。ひたすらシンプルでクリーン。Moto 360の本体を覆うのは、細めのステンレススチールのベゼルで、右のちっちゃなボタンを除けば完全なる円です。標準の革ストラップとの組み合わせでも充分満足できますよ。

前面と中心は明るくて、美しく、 フラット。真円の320×290ピクセルのバックライト付きLCDディスプレイは、直径1.56インチ(3.9cm)。他のAndroid Wearウォッチほど薄くはありませんが、丸い画面なので大きく感じます。ずっと明るくて、外歩きのときは目立ちます。とても厚いコーニング製ゴリラガラス3で覆われているので、がっちり堅牢な手応えを感じるガラスの質感です。モトローラがデザインしたウォッチのさまざまな表情を見せるにふさわしい舞台と言えましょう。

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画面のボトムに入るこの黒い余白もんのすごく不評なんですけど、ここにはAndroid Wear初のアンビエントライトセンサとディスプレイ専用ドライバーが入ってます(だからベゼルがこんなに細くなった)。確かにパンクしたタイヤに見えんこともないけど、これがあるお陰で自動で画面が明るくなったり暗くなったりするので。少なくとも読むのは楽ちんです。気になるのも使って最初の30分ぐらいで、あとはたま~に気づくぐらい。操作性が損なわれることはありませんよ。

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背面は滑らかな光沢仕上げの円形プラスチックです。ワイヤレス非接触充電器(クレードルさえも美しい)で充電できるので、つるんと滑らか。電気接点を妨げるヘンな割れ目は一切ありません。

真ん中には心拍センサが入ってます。これは近年出た「ミオ・アルファ(Mio Alpha)」や「Basis」バンドといった心拍モニターと同じパルスオキシメーター技術を採用してます。

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発売時のカラーは、黒とステンレススチールの2色(素材はどっちもステンレススチールです)。黒ウォッチには黒バンド、ステンレススチールのウォッチには「限定エディション」のダークグレイのバンドが在庫の続く限りついてきます(その後はライトグレーになる)。黒とステンレススチールのメタルバンドも価格50ドルで数ヶ月以内に発売。

モトローラ製のバンドがどれもピンとこない人は市販の22mmのバンドに交換すればOKです。まあ、モトローラの人は、合わないバンドもあるので純正使うか、時計・ジュエリーのお店で交換してもらうといいよって話してました。

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使ってみた印象

機能の面では、Moto 360も先に出たAndroid Wearウォッチとほぼ同じです。 腕を上げると画面が起動し、「オーケー、グーグル」と時計に向かって喋れば音声コマンドで操作できます。グーグルが今必要と思われる情報を表示してくるGoogle Nowのカードは上下スワイプで切り替えが可能で、もっと読むか無視するかは左右スワイプで選べちゃいます。現段階でスマートウォッチが「生活必需品だ」って答える人もいないと思いますが、便利かって聞かれたら答えはYES。もんのすごく便利です。

Android Wearのウォッチ持ってると、普段よりポケットから携帯取り出す回数が目に見えて減ります。テキストメッセージ読んでささっと返事送るのも、今やほぼ全部ウォッチで済ませてます。新着メールもポケットに手を伸ばさなくてもすぐ読めるし。

ターン・バイ・ターンの道順も腕時計がブルブルッと震えた時だけチラッと一瞥して曲がればいいので、携帯かざしながら歩くよりずっと自然です。ジョギング中に体の状態確かめたり楽曲切り替えるのも全部ウォッチ。「ベニー・ヒルってまだ生きてるんだっけ?」と急に気になり出した時もウォッチ。「空港のどのゲートに行けばいいんだっけ?」の確認もウォッチ。便利この上なし。

しかもMoto 360には独自の機能もあります。先ほど書いたようにAndroid Wearウォッチ初のアンビエントライトセンサ搭載なので、野外に出て眩しいときも知らぬ間に読み易い明るさに変わってるし、映画館の暗がりでは明るさを落としてくれるので、目に眩しくて他の人の迷惑になることもありません。ほんと、これは他のスマートウォッチも全部こうなるべきだよね。

Moto 360はワイヤレス充電もスマートウォッチでは初対応。ドックもこんなカッコいいカーヴの入ったデザインで、充電したいときはここにドロップするだけでOKです。コードや差し込み口を探す必要はありません。本当に放り込むだけでOKで、あとは定位置に落ち着いてチャージが始まります。

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image by Mister Gadget

上の写真では充電状況が表示されてますが、これはカッコいい時計文字盤に切り替わるので、ベッドサイドに置くと すごくクール。あんまり眩しくないのもGOODです。

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でも一番ユニークなのは、自分で設定しなくても心拍数を常時モニタリングする初のスマートウォッチだってところでしょう。モトローラが実装した専用アップでは、Android Wear標準装備の歩数計に加え、自分がどの程度の心拍ゾーンで何分過ごしたかも表示されます。心拍数は非アクティブ(40 - 92 bpm)、アクティブ(92 - 129 bpm)、激しくアクティブ(129-185 bpm)の3つのゾーンに大別されており、アップでは「1日最低30分はアクティブなゾーンで過ごす」ことを推奨しています。で、5日連続でその目標を達成できるよう、通知を送ってユーザーのやる気を喚起するのです。

具体的な数字があると「30分だったらやってみようかな」って気になるし、心拍計の方が歩数計よりずっとアクティヴィティレヴェルの読みは正確ですよね。自転車、重量挙げ、ヨガ、変わったセックスなど、人間には歩数で読めないアクティヴィティも多々ありますから。

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心拍モニタは使ってみた感じ、おおむね良好でした。難点は、肌にピッタリつけてないとうまく計れないこと。腕時計のベルトをゆるく着けるのが好きな人は読みがズレちゃうかもね。もうひとつは、進捗状況を確かめるにはモトローラのアップを起動しなきゃならないこと。音声コマンドを送るか、メニューから選ぶかしないと読めないので面倒です。Google Fitの歩数計みたいに、標準のカードに保存して表示してくれた方が百倍便利なんだけどな。目標達成まで半分を過ぎると通知がちょいちょい届き、達成すると2度めの通知がきて、おわり。せっかくの優れた機能なんだから、もっとすぐ引き出せるようにしてもいい気がしますね。

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Android Wear

次にAndroid Wear全般の感想を少々。每日使って2ヶ月経つので断言できますが、これはいいOSです。ポテンシャルもかなりある。ただ、ベータの感が否めないのも事実です。全般に安定性に欠けるので、これが開発の現段階ではAndroid Wearの悩ましいところですね。 参考になるカードがどんぴしゃのタイミングで表示されることもあるけど、そうじゃないこともあるんです。

例えば、Android Wear装着して初めて飛行機に乗った時には、搭乗券がぴょこんとウォッチに出てきて、そのQRコードをスキャンしました。空港ではどこに行ってもタイムトラベラーの魔法でも見るような目つきで見られました。でもあれから最低5回は飛行機に乗ってるんですけど、あのカードがぴょこんと現れたのはあの一度きり。二度と出てこないんです。なんで出ないのかも謎。ドクター・フーならソーニックスクリュードライバーでなんとかするんだろうけど、ドクターじゃないしね。

この「なぜなんだぁああ」というのが、本当にもどかしいところで。全部自動もいいけど、自動で動かない時は手動でできるようにしないと。今は情報の流れを管理しようにも、自力ではお手上げです。だから結局、情報の流れそのものが使えないものになってしまう。勿体ないなーって思います。

もっと大きな問題も。携帯とペアリングが勝手に止まって、再接続拒否したまま1時間ということもあったし。音声コマンドで尋ねたら、携帯と接続が切れてないのに「接続が切れた」って答えられたこともあったし。音声コマンド待ち受け状態に見えるのに、 Moto 360にシレッと無視されたこともあったし。 しまいには「オーケーGoogle、オーケーGoogle! オオォーケェーGOOGLE!」と手首に向かって怒鳴ってるヘンな人になってました。

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女性の細い手首に巻きつけたとこ

音声コマンドはルールがやたら細かいので、自然な話し方とは別に、コマンド用の特別な言い回しを暗記しなきゃなりません(Cortanaに笑われそうだ)。アップ起動がややこしくて、アップをうっかり閉じたり画面スリープにしたりすると、好むと好まざるとにかかわらず自動でメインの画面に戻ってしまうので、また振り出しから進み直し、です。マルチタスクもできないし、戻るボタンもありません。

でもまあ、ウォッチだし、こんなもんかなーと思ってたんですよね。こないだアップルウォッチ(Apple Watch)見るまでは。発売は2015年春までなさそうですけど、あれ、いいですよね。発売段階で出揃う機能もいいし、進んだり戻ったりのナビゲーションもシンプルだし、あれが出たらAndroid Wear霞んじゃいそうだ。宣伝どおり動けばの話ですが。

スマートウォッチOSはこれまで見た中ではグーグルのがベストです。でもアップルのソフトウェアのデモを見た後では、そのOSさえベータに思えてしまいますね。もちろんアップルウォッチはまだ誰も手にしてません。グーグルもあと半年あれば今のしょうもないSH*Tを直して化けるかもしれない。ギズとしては両方ともがんばれ~と応援するばかりでございますね。

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バッテリーと性能

サムスンの「Gear Live」LGの「G Watch」はどちらもクアルコム製APQ8026のSoC内蔵、どちらもサクサクです。ところがモトローラがMoto 360に選んだのは、なぜかテキサスインスツルメンツ製OMAP 3という4年前の製品です。4年はシリコン時間(半導体業界の時間)では大昔ですよね。

正直スピードは大して差はないんですが、差を体感する場面もあります。読み込みスピードがちょい遅い。音声コマンドの認識にちょい時間がかかる。OSをスワイプするときもほんの一瞬だけ間がある。見るだけの時計ならまだしも、動かす時計となるとミリ秒の差とも言えないところありますから。悪くはないけど、改善の余地があることは明らか。

TI製OMAP 3でもっと問題なのが効率です。電池が320mAhなので、ここは省電タイプのチップが欲しいところですが、OMAP 3は省電じゃないんです。画面をAMOLEDではなくバックライトのLCDにしたのも痛い。それやこれやでMoto 360の電池もちは、これまで出たAndroid Wearウォッチの中で最短という結果に。

といっても、「悪い」ってほどではありません。最初は最悪だってあちこちで報じられたんですが、実際使ってみたら全くそんなことありませんでした

Moto 360には2つの表示モードがあります。アンビエントモードをONにしたのとOFFにしたの。ONにすると、使わない時は画面が暗くなるんですが、完全にはシャットダウンされません(ややこしいのは完全にシャットダウンされる時もあること。その時は手首をビクッと動かすだけで起動する)。 アンビエントモードをOFFにすると、使わないとすぐ真っ黒になって、「時計を見る」仕草をするか、画面タップするか、横のボタンを押すかすれば起動します。アンビエントモードはONにしてる方が若干便利な気が僕はしましたけど、好みでわかれるかもね。

アンビエントモードがONだと1回の充電で14~15時間もちます。使い方にもよりますが。 それだけもてば、朝起きてから帰宅するまで心配はないでしょう。OFFにして使えばコンスタントに24時間以上はもちますよ。実際、これ書いてる時点でもう、充電器から放して26時間半経ってるんですけど、まだ25%残ってます。アンビエントモードは便利だけどOFFにした方が電池は長くもちますね。

まあ、そんなこと言ったらサムスンとLGなんてアンビエントモードがデフォでONになってて、それでも24時間以上もちますからね。OFFにすれば2日ぐらいもっちゃう。しかもアンビエントモードにしても画面は常時ONなので、時間確かめたいときも一発です(Moto得意のアンビエントライトセンサはどっちもついてないけど)。

Moto 360は電池もちがネックで買うのパス…というほどの問題じゃないです。アップルも毎晩充電が必要という噂もあるし。が、夜、充電を忘れると翌日は大丈夫かもしれないけど、2晩連続で忘れると、それはもう完ぺきにアウトということで。

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好きなところ

とにかくカッコいい。スマートウォッチ嵌めてもヘボに見えないのは、これが初めてじゃないかな。画面はこれまで出たスマートウォッチで一番明るいです。外でも、ずっとひと目を惹きます。市販のスマートウォッチでは嵌め心地も一番です。軽くて、背面も滑らかで、革も肌触りいいです。常時心拍モニタも最高ですね。

とにかく便利。Androidユーザーはこれ1台で人生がちょっぴり楽になります。充電ドックも、これまで出たスマートウォッチでは最高です。無線充電技術「Qi(チー)」規格をサポートしてるので、Qi規格のチャージャー既に持ってる人はそれに放り込むだけで充電できます(例えば、Nokia DT-900のチャージャーで試してみたら無事充電できましたよ)。粉塵予防、防水。 画面はかっちり頑丈。つい惚れてしまうウォッチ。

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残念なところ

電池もち。言われてるほど悪くはないけど、他のAndroid Wearウォッチ2機種よりは短いです。動作も遅めなので、もっと高速・省電のチップだったらなあ。1回の充電で24時間もたせるためだけにアンビエントモードをOFFにする必要は特にありませんけどね。

他のWear watchに比べ若干厚いこと(でも丸いので服や物に引っかかることは少ない)。マイクは他のウォッチと比べて感度がやや劣ります。「OKグーグル」というこちらの声が聞き取れなかったり、 反応がなかったり。

ソフトウェアは何か悪さするヤツが中にいる気がしました。 Android Wearはベータも最終段階っていう完成度ですが、サードパーティー製アプリがなぜか90度回転しちゃったり。これは360でしか見たことない現象です(あ、でもそれが起こったのはアップ1個だけなので、アプリ単体の問題かも)。心拍数はひと目でチェックできたらもっともっと便利に使えるのに。 それか携帯やクラウドのアップと統合して欲しいです。今のままだと、せっかくのデータに行き着けない人もいそうなので。

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買い?

くどくど欠点を述べて参りましたが、これまで出たAndroid Wearではやっぱりギズのお気に入りと言わざるをえません。はめて最高、使ってグッド。Android Wearウォッチ欲しい人は「買い」です。どうぞ1個ポチしてください。きっと気に入ると思いますよ。

市価250ドル。サムスンより50ドル、LGより20ドル高い値段ですけど、これだけ魅力的なウォッチ、出すだけの価値は充分あります。

とは言うものの、まだ改善ののりしろがあることも確かで、その大部分はグーグルの肩にかかってます。アップルがこないだの発表で約束したものを全部来春までに用意できたら、Android Wearはひとたまりもありません。完全ストップ。長年Androidユーザーの僕が言うんだから間違いありません。Moto 360は最高のスマートウォッチたりえるチャンスを秘めています。現に今はもうそうかもしれない。ですがトップに君臨し続けるには、ユーザーが求めるものをひとつひとつ改善してゆかないといけませんね、桜舞い散る前に。

Moto 360はGoogle PlayMotorola.comBest Buyにて発売中。米店頭価格250ドル(約2万7,000円)。

Brent Rose - Gizmodo US[原文

(satomi)