グーグル自走車が「まだ」できないとてもシンプルなこと

グーグル自走車が「まだ」できないとてもシンプルなこと 1

人間ってやっぱりすごいぜ。

自走する車、それが未来のある姿なのは間違いないでしょう。長いこと話し続けられ、開発され、もうあと1歩というところまで来ています。が、そのもうあと1歩は思っている以上に大きなもののようです。例えば、我々人間が道路に出るためにクリアすべき免許の試験、これに、現段階ではグーグル自走車が受かることはまずないでしょう。

マサチューセッツ工科大学が、グーグル自走車をレヴューし、まだクリアできない点に焦点をあててレポートしています。最新科学が詰め込まれたグーグル自走車ができないこと、それは我々人にとっては実にシンプルで平凡でありふれたことなのです。安心すべきなのかわかりませんが、人間がマシンにとって代わられるのはまだまだ先の話のようで…。

さて、どんなことがグーグル自走車にとって困難なのでしょう?

お天気

運転するのは、何も晴れた気持ちのいいドライヴィング日和だけではありません。雨が降る日も、風がふく日も、雷が轟く日だって車は道を行くわけです。我々人間は、雨が降ればスリップに注意し、雪や氷の塊をよけスムーズにレーンを進んでいきますが、自走車はまだそれが難しいわけで…。難しいどころか、雪なんてとんと苦手なレヴェル。グーグル自走車は、まだ雪深い道でのテストは行なっていません。MITのレヴューに対して、グーグルのChris Urmson氏は、現段階では、安全面の理由からそこまでのテストは行なえていないとコメントしています。

道の凸凹

道に凹みがあれば、ちょっとしたハンドル操作でそれを避けるのはどんな運転手でもやることでしょう。ホルダーのコーヒーがこぼれないため、後ろで寝ている赤ちゃんを起こさないため、タイヤを守るため、いろいろなことのためにちょっとハンドルをきるわけです。が、グーグル自走車は道の凹みを認識することができません。マンホールのフタが外れてぽっかり穴が空いていても認識不可。認識できるのは、きちんとカラーコーンがたてられているところだけなのです。

グーグルに載ってない道

自走車というのは、予想外知識外のことに関してパッと判断するのが苦手です。この代わりといっちゃなんですが、そのために人間が集めた膨大なデータがあり、これがあらかじめ事前に検討されているわけです。グーグルのストリートビューよりも何千倍も詳しく細かい地図を自走車は頭にいれている、と思えばその莫大なデータがちょっとは想像できるでしょう。

ですが、自走車のための下準備というのがもうそりゃ大変。MIT曰く「複雑な事前準備が必要です。車が通る正確なルート、詳細な地図。そして、特殊なセンサーで集めたデータがメートルごとにコンピュータ、そして人間により検証されます。グーグル地図と比べても、これはより大変な努力なわけで…」

加えて残念なのは、現段階では自走車のために作られたデーターは米国内の道路のほんの一握りにすぎないということ。もちろん、その数は年々増えていくでしょう。今、全てを完璧に把握しとけというのは酷な話でしょう。しかし、これは電気自動車が抱える問題に通じているところがあります。つまり、準備されているエリアからでて、どこへでも好きなところへ行く、これが難しいという問題ですね。

工事中

とりあえず、先述の雨道雪道、凸凹道路、データにない道は運転できないことはわかりました。ならば、データにある毎日使う道ならば大丈夫かというと、残念ながらそうでもないのです。道路には絶対工事がつきもの。工事のための一時停止、レーン変更、一方通行、回り道など、予想外の準備していないことが山積みです。

もちろん、いくつかはグーグル車のセンサーで認識&対応できるでしょう。いつもはない場所でも、止まれの標識自体を認識させることはできるわけですから。グーグルがデータにないストップ標識もほぼ確実に認識できるし、例え認識できずとも周辺環境をモニタリングしているので止まることができると言っているとMITはいいます。しかし、ね…、もし見逃してもってな時点で工事中の場所ではすでに危険なわけです。

人間

自走車にとって1番の問題はやはり人間。自走車は、目の前でなくサイドにいる人間を認識して対応するのが苦手なのです。Urmson氏自身も、道の横で「止まれ」の標識を持っている警察官がいても認識できないと認めています。

これは、歩行者、自転車、交通整理をする警察官などなど、考えられるいろいろな場面が苦手だということ。あくまでも現時点の話であって、ここも今後変わっていくのでしょうが。

渋滞改善になる?

さて、上記の問題点が近い将来全て解決されたとしましょう。エンジニアが自走車に全てを教え込み、問題クリアしたとしましょう。例えそうなっても、実はまだ最大の問題とも言えることが残っているのです。それは、渋滞

人間が運転しようが、電気で走ろうが、自走車だろうが、物理的に同じ道を走るわけで、パーキング場所も必要なわけで。将来、自走車が当たり前の世の中になって、互いを認識しダンスのように互いを除けて、信号なんて必要がない世界になったとしても、物理的なスペースがいることに変わりないわけです。そこは、誰が運転しようとしまいと決して変わらないこと。

さて、そもそも安全性はあがる?

自走システムの登場で、Volvoは2020年までに自社の車での衝突事故はなくなるとしています。人間はマシンよりも、多くのことに簡単に意識を奪われやすく、ハンドルからも手が離れてしまいます。米国では毎年3万3,000人が交通事故で命を落としています。が、この中から人為的ミスの事故をのぞいても、まだ3,300人の命は失われてしまうのです。

もちろん、3万3,000人が3,300人になれば大きなステップアップです。しかし、見方を変えれば、バスの事故での死亡者数のまだ60倍もあるのです。すると、真に安全な移動方法を追求するならば、人やマシン関係なく自家用車をやめて公共交通機関を使うのが1番ということになってしまいます。

何千という予想外のことが起き、雨が降り、凸凹があり、工事が発生するこの複雑な世の中を、自走車がスムーズに運転できるまで、まだまだしばらくは自分でハンドルきってブレーキを踏む必要がありそうです。Urmson氏は、現在11歳の彼の息子が免許を取る年になるまでには、グーグルの自走車が道に出て欲しいと願っているそう。

自走車、あと1歩はまだまだ遠いよ。いいか悪いかはさておき、まだ遠いよ。

Robert Sorokanich - Gizmodo US[原文

(そうこ)