216億円がパー。アンタレス空中爆発の映像と素朴な疑問5つ

打ち上げ発射から10秒後、底部爆発で落下を始め、安全担当官が空中爆破ボタンを押した瞬間の映像です。

民間ロケット初の惨事となったアンタレス爆発事故。翌日、現地メディアはどこも朝刊1面でこの瞬間を伝えました。

前日には軌道下の規制水域にボートが侵入し、打ち上げを1日延期していたこともわかっています。この火炎の下に誰もいなくて本当に良かった…。NASAは「破片はとても危ないので、絶対持ち帰らないように!」と呼びかけていますよ。

爆発したのは何?

爆発したのはオービタル・サイエンシズ社が開発したシグナス補給船運用3号機(Orb-3)を打ち上げるアンタレスロケット(こちらも同社開発)です。

オービタル社はスペースシャトル退役後の民間ロケット開発を請け負う2社のうちひとつ。事故後の声明で「大西洋上の発射台0Aから東海岸時間6:22 pmに打ち上げた直後、突発故障に見舞われた」事実を認めました。「物損はワロップス島の南端地域に限られる」とのことです。

競合Space Xのイーロン・マスクCEOも「一日も早い復旧を願ってます」とツイート

被害額は推定2億ドル(216億円)。同社の打ち上げ台はここだけなので、復旧まで商売打ち上げはゼロということに…。どの程度の損傷か気になりますね(UPDATE: 事故はNASAが19億ドル(2071億円)で委託した打ち上げ計画8回のうち3回め。その契約には影響がなさそうです。ただ原因究明まで1年以上打ち上げを見合わせる可能性も出てきました)

ちなみに「爆破ボタンを押した」というディテールはNASAが事故後の記者会見でポロッと明らかにしたものですが、ボタンを押したのがどの時点だったのか、詳しいタイムラインは不明です。(UPDATE: ABCの続報では6秒で異常探知、指令破壊コマンド送信は14秒後とのことです。ご指摘ありがとうございます

何が積まれていたの?

あの中には国際宇宙ステーション(ISS)への物資が積まれていました。NASAの積荷目録(via SpaceFlightInsider)にはこうあります。

実験関連機器 727kg

クルー支給品 748kg(うち食料は617kg)

機体のハードウェア 637kg(うちJAXA供出分は約30kg)

スペースウォーク用機材 66kg

コンピュータ機器 37kg

日本のJaxaの「きぼう」船外実験プラットフォーム用の道具も積まれていました。ああ、もったいない…。

ISSは大丈夫?

となると気になるのはISSクルーの物資が間に合うかどうかですが、宇宙飛行士のChris Hadfieldさんはこんな風にツイートしています。

水、酸素、食料は重要な必需品。次の再供給隊の打ち上げはロシアで明日。@SpaceXは12月。

ちなみにこのロシアのソユーズの方は翌日、無事宇宙に飛び立ちましたよ。NASAもISSクルーの方は心配ない、と言ってます。

あの炎は何?

オービタル社のFrank Culbertson GMによると、第1段階の燃料は液体酸素とケロシンで、大体はすぐ燃え尽きてしまうんだそうな。第2段階の燃料は固体燃料推進剤です。爆発であの煌々と燃えていたのはたぶんこっちの方だというお話です。

宇宙船には毒性が極めて高いヒドラジン、四酸化二窒素も搭載されていたそうですよ? NASAが野次馬に持ち帰るなと警告した理由がなんとなくわかりますね。

原因は?

詳しいところは不明です。世界中の人が同じ映像を眺めて「5月の実験で爆発した第1段階のロケットエンジンAJ26が怪しい」とかいろいろ推測している段階。「バッド・アストロノマー」の愛称で知られる天文学者のPhil PlaitさんがSlateに考えられる原因をまとめてますが、NASAもオービタル社も言及は避けました。

今後事故調査委員会が中心となってテレメトリ解析、映像と残骸の分析を進めていきます。

Jordan Kushins - Gizmodo US[原文

(satomi)