ラリー・エリソン「オラクルはCIAのプロジェクトから始まった」

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「うちの製品を一番最初に買ってくれたのは中央情報局(CIA)だった。一番最初のバージョンはOracleバージョン2.0と名づけた。バージョン1.0なんて呼んだって買うやついないからね。そしたらなんとCIAが買ってくれたんよ」

9月28日、サンフランシスコの年次カンファレンスOneWorldの基調講演でラリー・エリソン会長は満場の聴衆を前にこう語りました(ハイライト映像には入ってないけど…)。

ちょうど先日ギズが「VOXのオラクル社史の記事にはCIAのCの字も出てこない、すんげー不自然」と書いたばかりなので(以下に翻訳続きます)、それもあったのかな?

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オラクルという社名が1977年に初めて受注したCIAプロジェクトのコードネームだったことは余りにも有名だ。

が、Voxはオラクル紹介記事でそのことには一切触れず、単に「オラクル創業は1970年代後半」、「大企業と中規模の会社の業務管理を支援する製品ラインを売った」と書いてるだけなのだ。嘘じゃないよ! でも、オラクルがずっと国家機密安全保障産業の主要プレイヤーだった事実にも触れてないし、今の国民監視国家のツールの開発を支援することで共同創業者のエリソン氏が巨万の富を築いた事実もスルーというのは、なんか変だ。

「商用データベース製品の需要を見越して(エリソン氏は)会社を創業し、1977年オラクルとなった」とあるだけで、「CIAがリレーショナル・データベースを所望したから」という肝心な部分はごっそり欠落している。これでは逆に悪目立ちしてしまうではないか。

別にアメリカ政府の事業をやること自体は隠すようなことではない。大企業にデータベースが必要なように、CIAだってそりゃデータベースは必要だ。オラクルは政府のあらゆるレベルのあらゆる形態の事業を請け負うことで毎年何十億ドルもの収益をあげている。一番最近の例では大失敗に終わったオレゴン州健康保険取引所、あれもオラクルだ(州が開発費2億4000万ドル[264億円]を投じた事業だったが使いものにならなくてサイトは閉鎖に。州は先月オラクルを詐欺・汚職で訴えた)。

このVOXの記事ではピンとこないと思うが、エリソン氏は国家が国民を巨大なデータベースで一元管理すればテロがなくなるという強い信念の持ち主なのだ。特に9.11テロ後はそのことをよく公言していた。国民全員に光彩スキャン、指紋採取、手のひらスキャンなど義務づけ、生体認証付きの国民IDカードを配り、それをデータベースひとつで管理する、というものだ。2002年1月NYタイムズに氏はこんな風に書いている。

国民ができる一番のテロ対策は、いろんな政府のデータベースにたまってる情報をすべてひとつの国家保安データベースにコピーすることだ。技術的に開発はさほど難しいことではない。警察が抱える何百ものデータベースから情報を単一のデータベースにコピーすればいいだけの話だ。国家保安データベースは数ヶ月もあればできる。

かくして、エリソン氏は「全部ここを見れば一発で見れるデータベース」の実現に向け脇目も振らず邁進した、インフラ実現に必要な技術の大半は無料で配って。まあもちろん、サーヴィスとシステム管理費は政府に請求するわけだが。

Jeffrey Rosen氏が2004年の本「The Naked Crowd: Reclaiming Security and Freedom in an Anxious Age」で書いているように、オラクルの事業は9.11テロを境に大繁盛した。2003年にはオラクルのライセンス収入のうち米政府からの収入は実に23%、約25億ドル(2743億円)にも達した。

Rosen氏が取材したオラクル社員のうちDavid Carney氏は元CIAのナンバー3だった人物だす。32年勤続のCIAを定年退職し、オラクルに抜擢された。肩書は9.11テロ攻撃のわずか2ヶ月後に創設された「Information Assurance Center」のヘッドだ。

「こんなこと言うとアレだが、ある意味、9.11でビジネスは少しやり易くなった。9.11の前は脅威がある、問題があるって自分で騒がなきゃだめだったからね」とCarney氏は語る。テロ攻撃前の夏には説明に行っても、政府のトップも民間セクターのトップもじっと座って話なんか聞いてくれなかったのだという。「それが今はみんな身を乗り出して聞いてくるんだ!」

今から思えば、それは間違いだったのかもしれない。最近は国民もだいぶ懐疑的になってる。スノーデンが暴露した国民監視体制の実現にオラクルが積極的に関与したのでないと善意に解釈したとしても、オラクル製品には「リークし易い」という別の懸念材料もつきまとう。

「全商用データベースの中でもオラクルのものは最もセキュアでない」と、ついこないだもイギリスのセキュリティの専門家のDavid Litchfield氏がロイターに語っていた。今はみんなオラクルのもの使ってるのだから、国家安全保障の面でも顧客機密保持の面でもこれは由々しき問題だ。

同書の中でエリソン氏はRosen氏にこう誇らしげに語っている。 「基本オラクルのデータベースはあらゆる物事の追跡に使われている。おたくの銀行、当座残高、預貯金残高の情報もオラクルのベータベースに保存されている。航空券予約の情報もオラクルのデータベースに保存されている。アマゾンで買った本の情報もオラクルのデータベースに保存されている。Yahoo!のプロフィールもオラクルのデータベースに保存されているのだ」

まあ、同社がCIAの事業で生まれたことや、ずっと政府と太い繋がりがあるという記述がないことぐらいで驚くのは変かもしれないけれど、9.11後にエリソン氏が打ち出した事業目標の話や国家保安インフラの話も抜きでオラクルの解説記事書くなんて。僕だったらあり得ないなあ。

Image: Oracle CEO Larry Ellison delivers a keynote address December 4, 2001 at the Oracle Open World Conference via Getty

Matt Novak - Gizmodo US[原文

(satomi)