グーグルInbox使ってみた:ポテンシャルはある、でもまだ不安

2014.10.25 18:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


メール管理をアルゴリズムに任せられるのか。

グーグルの新メールアプリInboxは、メール専用の有能な秘書さんみたいな存在です。メールを適宜整理してまとめてくれたり、メールの中身のポイントを抜粋してくれたりするそうです。これでメールの洪水におぼれなくなるんならちょっと使ってみたいものなんですが、実際どうなんでしょうか? 米Gizmodoでさっそく試して、ファーストインプレッションを伝えています。


***


グーグルの新メールアプリInboxのニュースを聞いて、僕は最初懐疑的でした。これまで、メールの問題点を「解決」しようと、どれだけのアプリが挑戦してきたことでしょうか。Inboxは、僕らの気を引こうと押し寄せてくるプロモーションや請求書や挨拶や議論といったメールの波を整理しようとするグーグル流の手段です。しばらく使ってみたところ、たしかにポテンシャルは見られるんですが、これに自分のメールライフを預けてしまって本当に大丈夫なのか、まだ心配がぬぐえません。

Inboxアプリを立ち上げてGmailアカウントとつなぐのは簡単で、よく知ってるステップです。でもその後現れるのは、メール件名と送信者名がずらずらっと並んだ画面です。今までみたいな管理のためのキュー、たとえば日付とか時刻がありません。代わりにInboxの中のメールはもっとカジュアルに、今日、昨日、今月、その前の月…という感じに表示されます。

メールはリスト状に表示されはするんですが、従来のように時系列ではなく「バンドル」でバラバラになっています。「バンドル」はフォルダのようなもので、似たようなメッセージがそこにまとまっています。これは、Gmailで去年始まったタブと同じような感じです。

下の画像は、左がInbox、右がGmailの受信箱です。


141025_inboxfirstimp1.jpg


バンドルはInboxの主要機能のひとつですが、僕としては少なくとも現時点では、ちょっと微妙だなと思っています。この機能で自分のメールがもれなく完全にソートされて、取りこぼしがないことを信じるには、グーグルのシステムを心から信用する必要があります。SNSの細かい通知がバンドルされるのはいいですが、家族からのメールをうっかり変なところに入れてないか心配で全バンドルを探しまわるとしたら、便利とはいえません。Inboxが実際はそんなことをしないとしても、その不安感が障壁になります。ただ僕と同じようにロボットに不信感を持っている人は、バンドルをバラしちゃえばいいってだけではあります。

Inboxのもうひとつの工夫は、Mailboxみたいなジェスチャーを取り入れてることです。メールを右スワイプで「完了」、左スワイプで「スヌーズ」できます。僕はMailboxを半年使ってやめてしまったんですが、Inboxのジェスチャーのほうが良いと感じます。覚えておくべきジェスチャーのヴァリエーションが少ないし、うっかりスワイプは少ないです。また、メール削除もスワイプではしないところが良いと思います。というか、ゴミ箱に何かを送るためのオプションすらありません。Inboxは、そういう細かい意思決定を減らすためのプロジェクトなんです。

でもInboxでは、良い意味で新たに必要となる意思決定もあります。メールを「スヌーズ」して、指定の日付、時刻、または場所でポップアップさせられます。メールを「ピン」して、やらなきゃいけない仕事にフラグを立てられます。ここで「ピン」っていう曖昧な表現なのが良いと思います。「To Do」とか「要返信」とかじゃなく、ただの「ピン」なので、何かしらもう1回見なきゃいけないんだなってことがわかります。もしかしたら何か楽しいことかもしれませんしね。でもまあ、多くはそうじゃないんですけど。



他にもいろんな生産性向上ツールが埋め込まれています。メールとはまったく別にリマインダを作ることもできます。たとえば「Rubirosa(レストラン)に予約」とタイプすれば、そのレストランの電話番号を自動で調べて、電話をかけるためのオプションも表示、さらに営業時間も教えてくれます。すごくGoogle Nowっぽいので、ああGoogle Nowって他のサービスにちょっとずつ入り込む運命なのねと感じます。グーグルにつねにデータを見られてるのが気にならない人にとっては、すごく良いことだと思います。


141025_inboxfirstimp2.jpg


またInboxの大きな売りはそのデザインで、マテリアル・デザインが惜しげなく披露されてます。ただ、スマートでシャープではあるんですが、情報の見せ方はちょっとイマイチです。メールのリストをぼーっと見ても、フォントの差異がほとんどないので、何を見ているのか直感的にわかりにくいんです。

たとえば、メールの送信者と件名の行がほとんど同じように見えます。そしていつも最初に目に飛び込んでくるのは、左側に並んだカラフルなユーザーアイコンです。僕にメールをくれる人のほとんどはカスタムアイコンを使っていないので、ここに表示されるのは名前の頭文字が入った丸だけです。これではうっとうしいだけです。

Inboxは多くのことをいっぺんに表示しようとしすぎでもあります。僕のInboxはバンドルと写真、リマインダ、文書、レシートでごちゃごちゃでした。それらにすぐアクセスできるのはナイスですが、レイアウトがごちゃっとしてしまいます。表示される情報にもっと優先順位を付けてくれればいいなと思います。一番大事な情報、「誰が」「いつ」このメールを送ったかってことが、もっと真正面に来るべきです。



こう考えてくると、メールには真に改善すべき問題があるんだろうか?と疑問が浮かんでいます。スマートなメールアプリはみんな、我々を飲み込むメールの波をシンプルにしようとがんばっていますが、だいたいやり過ぎです。Inboxも、僕が今回ちょっと使ってみた感じでは、他のアプリと同様です。

ただしメールは日々つねに使っていくものなので、本当に使えるかどうかは24時間以上使ってみないとわかりません。今のところ僕は懐疑的ですが、ポテンシャルはすぐに感じられました。ただちょっとデザイン的に問題があったのと、僕自身今までの時系列のメールリストからアルゴリズムによる整理に乗り換えるのが何となく不安なんです。僕は引き続きInboxを使ってみつつ、将来的にMailboxみたいに、ゴミ箱に捨ててしまうことにならなければいいな…と思います。


Michael Hession - Gizmodo US[原文
(miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント
  • エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル|日本経済新聞出版社
  • Google Boys グーグルをつくった男たちが「10年後」を教えてくれる: ラリー・ペイジ&セルゲイ・ブリンの言葉から私たちは何を活かせるか (単行本)
  • 三笠書房
・関連メディア