OK Go来日インタヴュー:ネット時代に音楽をマネタイズするには「走るのを楽しめ!」

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今年、夏が始まった頃にリリースされたOK Goの新曲「The Writing's On the Wall」を含む新アルバム「Hungry Ghosts」が10月22日(水)に発売されました。OK Goと言えば、ピタゴラスイッチのような仕掛けを使ったMVでお馴染みの4人組。特殊なギミックを盛り込んだMVは、企業とパートナーシップを組んで制作されることがあります。YouTubeにアップされた動画は「カンヌ国際広告祭」でも金賞を受賞するほど。

今回ギズモードは彼らに直接話を聞いてきました。そう、彼らは来日していたのです。それもアルバムリリースに合わせた新MV撮影のために(上動画)。とはいえ、MVは公開まで完全極秘。唯一教えてくれたのは、ドコモのCM「森の木琴」で知られるクリエイティヴディレクター原野守弘さんとのプロジェクトで、ホンダのパーソナルモビリティUNI-CUBを使っていることだけでした。まさかこんなにワクワクする動画になっているとは。

2011年のカンヌ国際映画祭で話題をかっさらった「森の木琴」。どこかOK Goと同じものを感じます。

YouTubeを通して世界中のリスナーを釘付けにするクリエイティヴ・ロックバンドOK Go。彼らは一体何を考えているのでしょう?

「日本」でOK Goが仕掛けたジャパン・ギミック

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左からアンディ、ティム、ダミアン、ダン

ギズ:どうして舞台が日本になったんでしょう?

ダミアン:僕はもともと原野さんの大ファンだったんだ。数年前に、カンヌの広告祭で一緒になって「え、もしや『森の木琴』を作った人?」と大興奮して話をした。そこから、友人としても連絡をとりあい、いつか一緒に何かつくりたいとは話していたんだ。

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ちょうど、原野さんがホンダのUNI-CUBを使ったプロジェクトを担当することになって、コラボレーションの話になったんだ。日本でのプロジェクトだったから、舞台は「ここ」になった。原野さんが日本で最高のチームを集めてくれたんだよ。

ダン:このMVには、日本の女子高生がたくさん出演しているんだけど…。

ダミアン:そう! 彼女たちがすごくて、リハーサルのたびに「オネガイシマース」って言うのに驚いた(笑)。ダンスは振付師の air:manが担当してくれて、その動きがまたすごい。彼の振り付けに合わせて、彼女たちが「イチ! ニ! サン! シ!」とそろって動いていくんだよ。

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ティム:彼女たちと僕らとUNI-CUBと、メンバー全部がはいったダンスをロングショットで撮ったんだ。今までと比べてもかなり大きなプロジェクトになったと思う。

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「遊び」こそが大作を創る

ギズ:毎回、見ていて「わー!」ってびっくりする仕掛けをたくさん盛り込んでいるMV。これってダミアンが主体で制作していると聞きました。アイディアはどこから来るんでしょう?

ダミアン:僕らのやり方は効率的ではないと思う。普通は、撮影当日までにアイディアを固めて完璧な状態にすると思う。でも、それだと最初のアイディアを貫かないといけない。途中で「あ、もっといいのが浮かんだ」と思っても変更できないことが多い。

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今回のMVの図解。む、難しい…。

僕たちの進め方は、ものすごくざっくばらんなんだ。アイディアを出すのに20%、それを実際に作り出すのに80%の力を出す。いいアイディアが浮かんだら、それを実現するためのコラボレーターを探す。見つかると実際にあれこれ触ったり試したりしてみて、さらにアイディアを膨らませ進化させていくんだよ。たとえば楽器の場合、どの楽器を使ってメロディはこう…と考えても、実際に触ってみないとわからないだろ? 走りながら固めていく。これが僕らのやり方なんだ。

原野さんと出会うきっかけとなった2012年のカンヌ国際港国際において金賞を受賞した動画。コラボ企業はグーグル。

僕たちのMVは自分たちだけのアイディアで実現するわけではなく、各プロジェクトに参加した人たちとのコラボレーション作品ということになる(そのためOK Goは、制作協力する企業のことを「クライアント」とは呼ばずに「コラボレーター」と呼んでいるんです)。

リスキーではあるけれど、だからこそ面白いプロジェクトができる。「本当にできるのか?」 そう思えた時こそチャンスなんだ。ただ、撮影開始直前に、酔っぱらい運転の車が突っ込んできて周りが全部停電になったこともあって。さすがに「終わった」と思ったよ…。

こういう想定外のトラブルもありながらも、毎回なんとかMVを完成させているけれど、そのうち本当にダメだってなる日が来るかもしれないという怖さは常にある。僕たちはだいたいワンショットの映像を作っているし、それこそ大勢の人の協力があって出来上がるからね。

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アンディ:1つのアイディアですべてが完成するわけじゃない。いろいろなことが混ざり合って完成していくことが大事なんだよ。

ダミアン:とてもシンプルなアイディアが、走り続けるうちに複雑なことになっていくこともある。僕たちはツアーやレコーディングのスタジオで長い時間一緒にいるわけだけど、いつも騒いでいるから「君たち15歳?」なんて言われたこともある。

ティム:…13歳ね(笑)。

ダミアン:ね…(苦笑)。でも、みんなで騒いでいる瞬間がインスピレーションの源泉にだってなり得るんだ。

ティム:実際に僕らのコラボレーターは、音楽やエンターテイメント業界と全く関係ない人が多い。エンジニアや犬のトレーナー、科学者だったりね。こういった「違い」を遊ぶことで良い作品ができるんだと思うよ。実際今回は自動車メーカーだしね。

OK Go流「テクノロジーとの付き合い方」

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今回はUNI-CUBとドローンが印象的。

ギズ:毎回面白いテクノロジー満載なMVを作っているけれど、その秘訣は? 何かアプローチの方法はある?

ダミアン:とにかくあれこれ触ってみること。昔は音楽やテレビなどセグメントがきっちりしていたけど、インターネットの登場もあって、かつて仕切られていたエリアをまたいで表現できることも増えたし、限界のラインも拡張したと思う。

でも、限界ギリギリで挑戦する時に、単にリスキーでエッジィだからクールに見えている可能性だってあるわけだ。もちろん本質がかっこいい場合もある。その見極めで大事なのが、感情とテクノロジーの結びつきだろうね。

たとえば、数年前に作ったルームランナーが出てくるMVを見て「すげーな」って言ってもらえると嬉しいんだよ。画質とか作られた時期やスペック的な問題に関係なく、単純に感動して欲しい。新しいだけのテクノロジーだけでは、真新しさがなくなった時に退屈なものになるだろ? だから、テクノロジーよりも、もっと単純なエモーショナルな部分を狙っていると言ってもいいかも。

アンディ:テクノロジーが、アイディアを殺してしまうこともある。これは忘れちゃいけないことだね。

ダミアン:音楽だって動画だってある意味同じで、相手とコミュニケーションをとる気がないとダメ。テクノロジーによりすぎて、感情が抜けたらダメだよね。

音楽業界の衰退とOK Goの姿勢

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ギズ:ネットが普及するにつれてマネタイズするのって難しくなると思うのですが、OK Goはなんだかうまくいっているように見えます。

ダミアン:日本はまだいい方だと思うけど、世界的にみて音楽業界は衰えてきているのは間違いない。

ティム:ただ、売上げが落ちているというだけで、人々が音楽を聴かなくなったわけじゃない。音楽は、今もいろいろな人のもとに届いているのは間違いないんだよ。

ダミアン:そういう時代において、マネタイズは難しい問題。誰しもが考えている問題で、答えがあるなら自分が知りたいくらい。前に、アップルのプロモーション担当の人に「君たちは、インターネットをきちんとアート媒体として使った初めてのバンドだね」と言われたことがあるけど、あれは最高の褒め言葉だと思ったよ。ただ、このメディアを使い始めて10年くらいになるけれど、マネタイズするのは今でも難しい。

僕たちのファイナンシャルモデルはある意味危険だ。崖っぷちでルームランナーに乗っているようなもので、「後ろを見るな、下を見るな、とにかく走り続けろ、できるだけ速く走れ」の精神だから。ただ、10個リリースしたとして、そのすべてが黒字にならなくてもいい。1つでもマネタイズで成功すれば、残りの9個分も走り続けられる。まぁ、唯一ラッキーだと思えるのは、僕らは走るのが好きなんだよね。

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ティム:レコード売上げが伸びているけど、それはコレクターズアイテムとしてももちろんだけど、音楽をアクティビティとして楽しむというのもあると思う。

ダミアン:もちろん音質もあるよね。YouTubeでは聴こえなかったベースラインが、別の音源で聴いた時に発見できて驚くことはよくあるから。

OK Goから見た日本=ギリギリを攻めてる!

ギズ:フジロックにも今年参加して、その後も撮影含めたくさん来日したようですが、日本で印象に残っていることってありますか?

全員:トイレ!

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アンディ:日本のトイレ体験はもうすごい。洗面台に水とハンドソープがあるのは当たり前で、それにプラスしてドライヤーまでついてる。洗面台にドライヤーだよ。すごいでしょ。

ティム:とにかくどのトイレもすごいって。

ダミアン:原宿ガールを見たかったけど、うまく遭遇できなくて残念…。あとは、携帯アクセサリもとにかく豊富でユニークで驚いた。あと、キディランド行ってめっちゃくちゃ買い物したよ。レーザーカッターで作られたいろんなフィギュアとか、あとコップに座る女の子(コップのフチ子さん)とかね。

ティム:ファッションもすごいよね。ガッツがある。ギリギリの挑戦って感じ。

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インタビューの終わりに、iPhoneで360°の世界を楽しめるハコスコを体験してもらいました。そのリアクションは…「!!! …これ作った人の連絡先教えてくれる?」。この精神こそ、OK Goですよ。クールだと思ったものはすぐ聞く。何にでも興味を持つ。とにかく何でも触って遊んでみる、そこから何かが生まれるのです。

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おまけ:生着替えしてもらっちゃいました

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OK GoのDamian がギズTを着てくれました。えへ。 #gizmodo_japan #okgo #japan #fashion

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source: OK Go, ビクターエンタテイメント

(そうこ)