米海軍が心配で夜もおちおち眠れないロシアのミサイルたち

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「米海軍はなんでファランクスとかSeaRAMとかレールガン電磁加速砲)みたいなケッタイな兵器持ってんの?」

―それはもちろんロシアがケッタイな兵器を持っているからです。

特に米海軍が恐れているのが、艦対艦ミサイル「P-270モスキート」と超音速対艦ミサイル「P-800オーニクス」で、この脅威に対抗するため、ヘリコプターをベースとする電子戦争システム「Advanced Offboard Electronic Warfare(AOEW)」の開発に着手したほどです。

どちらとも固体ロケット・ラムジェット統合推進システムの巡航ミサイル、どちらとも弾頭には重量550~710ポンド(250~322kg)の榴弾(HE)を搭載。あんまり自分の艦めがけて飛んできて欲しくないって意味では、どっちもどっちです。

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P-270モスキートはラドゥガ設計局が開発したもので、艦対艦ミサイルとして初配備されたのは1970年代です。大昔。ですが、その後、何十年にも渡って改良に改良を重ね、陸、空はもちろん、な~んと水中からでも発射できる何物かに進化を遂げました。全長たったの9.745mですが、弾頭には700ポンド(317kg)もの榴弾(HE)か、それじゃなければ核爆弾(TNT火薬120kt相当。広島の原爆は15kt)が積まれています。ラムジェットエンジンで届くのはわずか75マイル(120km)圏内ですが、高高度飛行ではマッハ3まで加速します。

P-270は一般的な艦船のレーダー見通し距離(12nm、約22.2km)を30秒足らずで飛行するため、"迎撃されることの無いミサイル"と呼ばれる事もあるが、実際にはP-270自身の見通し距離に艦船のレーダー見通し距離を足した距離で探知されてしまうため、それほど安全には飛行できない。そこで目標まで5-7kmまで接近すると高度を7mに下げ、目標の艦からの攻撃を回避するため10-15GのS字運動をしながら突入する。命中すると300kgの徹甲弾頭のみならず、弾体の運動エネルギー(理論上戦艦大和の主砲弾[重量1.46t、初速マッハ2.3]より大きい)、残存燃料による火災も目標に多大なダメージを与える。- ウィキペディアP-270より

P-800オーニクスはモスキートの後継で、性能は大体同じ。ちょっと小ぶりながら、恐ろしさは負けず劣らずです。設計したのはNPOマシノストローイェニェで、1980年代に初配備され、今もロシア軍に現役で使われています。モスキートより8.5m短い全長8.9m、弾頭も軽めの550ポンド(250kg)、最高速度も遅めのマッハ2.6。ですが、なんせ飛距離は2倍あって、モスキートにはない最新技術も沢山備えています。

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たとえば、慣性誘導のアクティブ/パッシブレーダー・シーカー(モスキートは能動型)のヘッドをもっているため、発射後は基本的に自立飛行です。しかも射程は300kmで、海上30フィート(9.1m)の超低空飛行が可能。電子戦争(EW)防衛網も敵の砲撃も目じゃないって話もあります(まだ現役で詳細は国家機密なので誰も確かめようがないけれど)。

(P-800は)高度2万メートルの高空をマッハ2.5で飛行し、目標の手前で降下、低空で突入した場合で射程は約300キロ、低空のみを飛行した場合で120キロとされるが、速度はマッハ1.6に低下する上に空力加熱によって探知される可能性が上がる。通常、3発1組で運用され、その場合には「リーダー機」のみがレーダーを作動させ他のミサイルに指示を下す。またレーダー警戒装置が搭載され、必要に応じて回避運動も行う。- ウィキペディアP-800より

ひ~。

しかもロシアが作ってる艦対艦ミサイルは、これが最新鋭というわけでもないんですね。先週ロシアの軍部は、モスキート、オーニクスをも凌駕する新型超音速巡航ミサイルの実験を完了したことを明らかにしました。

「土台から違う新型ミサイルで、超音速の可能性もある」とRBTHに語るのは、MilitaryRussia.ruのDmitry Kornev編集長です。「NPOマシノストローイェニェはこの分野でかなり活発に動いていることを忘れてではならない。ロシアとインド共同開発の超音速ロケット『ブラモス-II』のモックアップが展示会に出展されたのも記憶に新しい」

この最新ミサイルは国外には文字通り、なんの手がかりもありません。そこが一番の怖さでもあります。

Images by: Wikimedia

source: RBTH - Wiki 1, 2, ウィキペディア日本版 P-270, P-800 - Military Aerospace - Janes

Andrew Tarantola - Gizmodo US[原文

(satomi)