ヘルキャット級のEV登場。テスラ、モデルS新型Dのすごさまとめ

2014.10.14 17:00
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「DはデュアルモーターのD」

イーロン・マスクが発表したTeslaモデルSの新型Dシリーズは、モーターを前後2つ搭載した4WDです。スーパーカー並みのパワーとスピードを備え、センサー搭載で自走に近い安全な車に進化を遂げました。

注目の技術をひとつひとつ見ていきましょう。



デュアルモーター


新型P85D/60D/85Dの中ではトップラインの「Tesla モデルS P85D」は、現行「モデルS P85」の前輪に電子モーターを搭載したヴァージョンです。これまでRWDオンリーだったSに4WDの仲間が加わりました。

新モーターは出力221 bhp、車全体だとトータルで691 bhp(700 ps)、スーパーカーにも匹敵するパワーです。

もっとすごいのがトルクです。こちらは最大トルク362 lb-ft(50 kg-m)から687 lb-ft(95 kg-m)にパワーアップしました。

追加搭載のモーターとハードの重みで、車体全体の重量は291 lbs(132 kg)増えて4,936 lbs(2,239 kg)に。

比較のため言うと、先日量産第1号車が9,000万円以上で落札されたダッジ・チャレンジャー最強ヘルキャット、あれで最大出力707 bhp(717 ps)、最大トルク650 lb-f(90 kg-m)、重量4,449 lbs(2,018 kg)です。ヘルキャット並みのタフネスを備えた電気自動車ってことですね。

爆速で、立ち上がり3.2秒で0-60 mph(時速96.6km)まで加速します(ヘルキャットは3.7秒)。なんせ電気自動車なので最高時速は155 mph(時速250km)しか出ませんから、燃料ガンガン爆発燃焼して204 mph(時速328km)まで上がるインターナル・コンバッション・エンジンのクルマにいずれ追い越されちゃいますけどね(米Giz読者からは「どこで追い越すんだよ!」というツッコミも出てますが)。


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赤がSモデル4WD版のエンジン部


電気モーターを前輪に加えるのは、トランスファー・ケースとAWD装備の寒冷地仕様車とはだいぶ違うアプローチです。寒冷地仕様車の場合、前輪と後輪をエンジンに繋ぐ部分にドライブシャフトが追加になるので、重量がかなり加わるし、仕組みも複雑になります。片方に送り込むパワーの配分にも限界があって、どれぐらい素早くパワー配分を変え、どれぐらい細かく運転制御できるか、という部分には限界が。

その点、電気自動車のドライブシステムはもっと細かく制御できるのがポイントです。Dのドライブシステムも互いに全く依存しないで駆動し、トルクも各車輪に合わせて理想の状態に瞬時にベクトル制御できます。ここまで原動力を制御できるのはエンジニアにとってはまさに夢。デモでマスクCEOは、ロードホールディング(タイヤの路面密着性)まで増すので、スキッドパンではフルG楽勝だったと話してましたよ。あのヘルキャットでも横加速度はたったの0.94 gなのに(MotorTrend調べ)。

全輪駆動はもちろん雪道や悪天候にも強いので、高級車市場の一翼を担うアメリカ北東部でもメルセデス、アウディ、BMWなどからシェアを奪える条件は揃ったことになります。


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長距離レーダー(緑)、画像認識カメラ(水色)、360度の超音波探知器、サテライト情報がオートパイロットとドライバーに常時提供される


オートパイロット


マスク氏は「テスラの完全自走車実現にはまだ5、6年かかる」と言ってます。自走車の公道走行は、カリフォルニア、ネバダで開発段階の試運転が認められているのを除けば、まだ法的には認められていませんし。モデルSの新型では事故回避のセンサーを多数装備しましたが、いずれもドライバーの判断を助ける補助機能という位置づけですね。

オートパイロットシステムは次の4つのコンポーネントから成ります。

長距離レーダー
前方を確認し、障害物、進行方向、ほかの車の相対速度を特定します。ヘッドライトの照射範囲より遠くまで見通すことができます。霧、雨などの見通しが悪い環境でも大丈夫。

画像認識カメラ
これも前方を確認し、信号、車線の線や印、歩行者を特定します。

360度の超音波探知器
周囲をぐるりと観察し、死角の車から、野良犬や猫の飛び出し、バックする車体の後ろで遊ぶ子どもまで特定します。前方の長距離レーダーにはない、やわらかい物体を識別する性能も備えているのが特徴で、たとえば自転車の人を轢きそうになるとオートパイロットで車体が停止します。

GPSデータ×リアルタイム交通情報
現在地ベースのデータも車に常時送られてきて、制限速度、渋滞情報、路面情報もわかります。


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「そんなに沢山情報送られても見てるヒマないよ!」と思いきや、モデルSのディスプレイは意外とシンプルだ。走行時の判断を助け、判断できないときはオートパイロットでサポートしてくれる。


オートパイロット機能が加わったことで、テスラもやっと欧州の新しい安全基準をクリアすることになりますね。障害物があれば、このすっきりしたディスプレイで察知できます。死角もチェックできるし、高速道路で車線変えたい時はウィンカー出すだけで、あとは安全なタイミングを見計らって車が勝手に車線変更してくれるんですよ。また、前の車が減速・停止してる時や、動物が急に飛び出してきたりした時も、勝手にブレーキを踏んでくれます。

マスク氏曰く、完全緊急停止も可能とのことです。ドライブシステム、ブレーキ、ステアリングが全部フライ・バイ・ワイヤ(…まあ、ステアリングは電気補助の機械駆動ですけどね)だから、従来の水圧式や機械駆動のシステムより素早く実行できて、必要なときに制御を交代できるというお話でした。

オートパイロット使用時には、一時停止の標識、信号、制限速度も読み取れる(制限速度はGPSデータでも読み取れますが)ので無違反の安全運転ができます。

「自動運転」ではないにしても、前方不注意の時や見通しが悪い時にこういうのがあると大助かりですね。高速道路でも周りの車を読む手間が減るのでリラックスできそうです。

今後数年でソフトウェアのアップデートを重ねてさらに性能改善を図り、オートパイロットのセンサー装備の全モデルに採用していくと語るマスクCEO。

パッと見た感じ同じなので「な~んだ」と思った人もいるかもしれませんけど、いやいや結構な中身です。性能と安全性を上げ、運転から人間を排する未来に大きく飛躍し、テスラもいよいよ次の進化のステージに到達ですね。


Wes Siler - IndefinitelyWild - Gizmodo US[原文
(satomi)
 

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