彗星着陸機フィラエ、太陽の光を待ちつつ休眠モードに入る

彗星着陸機フィラエ、太陽の光を待ちつつ休眠モードに入る 1
彗星に落下するフィラエ

おやすみ、フィラエ。このままサヨナラにならないといいけど。

彗星に到着した着陸機フィラエは休眠モードに入り、「搭載されている全ての機器とほとんどのシステムはシャットダウン」した状態になってしまいました。幸いにも、フィラエの電力が切れる前に採集された彗星のデータは地球に届いたようです。フィラエは太陽に接近すれば再起動するかもしれません。ESAのブログによると…

これから先は、フィラエを起動するのに十分な電力を生み出せるほどの太陽の日射がソーラーパネルに当たらない限り、コンタクトはとれなくなります。15日の夕方(現地時間)に、ソーラーパネルがもっと日射に当たるようにフィラエを回転させるコマンドを司令塔が送ったことで、日射が得られる可能性は高まりました。

地球から約4億km離れた氷と岩の塊に着陸したフィラエのいきさつをおさらいします。実は、着陸時に必要な部品が故障しており、着陸できたものの、2回もバウンド行き着いたところは崖の陰でした。そのため、フィラエのソーラーパネルは十分な日射を得られなかったので、最初の充電が切れた時点でジ・エンド。もともと計画していた2015年3月よりもだいぶ早く力尽きてしまったのでした。

しかし充電が切れる前、フィラエはかつてないほど早急に調査を行いました。最重要項目であるCOSAC(COmetary SAmpling and Composition experiment)は、彗星の地下25cmから採掘したサンプルを分析します。COSACで検出しようとしていのは有機分子、特に生命を構成するアミノ酸を探していました。アミノ酸には左型、右型があり互いの鏡像異性体となる、キラリティという性質があります。地球上にあるアミノ酸はほとんどすべてが左型であり、もし彗星で同じものを発見できれば、地球の生命の起源は、衝突してきた彗星によってもたらされたとする理論を裏付けることになります。COSACのデータをフィラエは送信したようです。

さらにフィラエに搭載された他の観測機器では、Ptolemyという装置が地球の水の起源が彗星にあるのかを確かめるため水素同位体のデータを集めていました。また彗星の表面上の温度や物理的な特性についてのデータを採取した機器もありました。彗星探査機ロゼッタ自体は彗星の追跡を続け、2015年8月まで搭載された観測機器からのデータを送信し続ける予定です。

太陽の日射により大きなソーラーパネルが当たるよう、土壇場でフィラエを操作したことで、活動を再開するのに十分な電力を得るという僅かな可能性は高まりました。そして彗星自体が太陽に近づくにつれ、その可能性はさらに大きくなります。

フィラエが早々に休眠モードに入りましたが、ESA(欧州宇宙機関)はそれを「大成功」と称し、なんだか楽天的な面持ちです。肝心のフィラエはというと、採取するのにほんの数時間しかなかったにも関わらずたくさんの新しいデータを届けたのです。

人類は10年前、時速約6万5,000kmで動く彗星を探査させるため、ロゼッタを40億マイル(64億km)の長旅に送り出しました。そして着陸に必要な機器の故障にも負けず、フィラエが彗星に着陸できたのです。完璧ではなかったにせよ人類はここまで成し遂げたんです。だから「大成功」には変わりませんが、復活してほしいですね。

image by ESA

source: ESA

Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(たもり)