米国、18世紀の法を元にアップルへiPhoneロック解除命令

2014.12.03 10:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


犯罪捜査のためとはいえ、どこまで許されるのか。

米国法務省は、犯罪捜査当局が暗号化されたスマートフォンをアンロックする行為を正当化しようとあらゆる手を尽くしています。彼らは1700年代にできた法律にもとづいて、アップルと少なくとももう1社に対し、ロック/暗号化された端末の解読に関して捜査当局への強力を要請しているんです。そして裁判所も、それを許容してしまっています。

その18世紀の法律とは「All Writs Act(全令状法)」なるもので、法廷が誰かに何かをさせるために必要なら、基本的にどんな令状でも命令でも出していいとするものです。カリフォルニア州オークランドで起きたケースでは、この全令状法を根拠として、アップルに対し暗号化されたiPhone 5sをアンロックするようはっきりと求めています。もうひとつのケースはニューヨーク・マンハッタンで起きていて、どのメーカーのどのスマートフォンかははっきり言及されてないんですが、やっぱり同じ全令状法を根拠にロックスクリーンをバイパスするようメーカーに求めています。

どちらのケースでも、連邦判事はメーカー側が命令に従うべきだとしています。ただ多少救いなのは、アンロックするといっても必ずしも全データへのアクセスは要請されていないことです。少なくともカリフォルニアのケースでは、アップルにはロックスクリーンコードを入力することが要求されただけで、中にある暗号化データの解読は命令されていません。

この全令状法が引っぱり出されるのはまれなことですが、今までまったくなかったわけでもありません。2005年には、ある連邦判事が政府による携帯電話データへのリアルタイムのアクセスを正当化する根拠として全令状法を認めることを拒否しています。上のカリフォルニアのケースでも、全令状法を根拠とすることは認められましたが、完全に捜査機関の言いなりというわけでもありません。治安判事のKandis Westmore氏は、連邦検察の要請に対しこう回答しています。

さらにiOS端末上のデータが暗号化されていた場合、アップルは暗号化データを捜査当局に提供することができるが、その解読を試みたり、捜査当局が暗号化データにアクセスしようとする試みを他の方法で可能にしたりすることは要求されない。

ニューヨークのケースではまだ詳細はわかっていませんが、市民的自由の専門家はArs Technicaに対し、これはデータが暗号化されているかどうかに関係なく悪い前例になると言っています。「これは、政府がラップトップメーカーに対し、ディスクの暗号化をアンロックするよう要請できるのかという問題に近いです」アメリカ自由人権協会(ACLU)のAlex Abdo氏は法定文書を入手したArs Technicaにこう言っています。「私は、これはとても複雑な問題だと思います。もしそれがイエスなら、政府はメーカーを自分の手先にできるのかという憲法に関わる問題になってきます。さらに言えば、政府は全令状法を元に(ユーザーの端末からデータを吸い上げるための)バックドアの埋め込みも強制できるのかということです。」

アップルなどのスマートフォンメーカーが暗号化手法を高度化するようになり、捜査機関はこれでは犯罪者が得をするだけだと憤っています。最近、法務省のナンバー2は新しい暗号化標準によって子供が死ぬと極言してもいます。

カリフォルニアのケースでは、アップルは暗号化データの解読までは命じられていないので、その点はやや評価できます。そもそも、そのiPhoneのOSがiOS 8であれば、アップル自身も解読はできないはずです(優秀なハッカーはできるかもしれませんが)。もちろん、警察が令状を持って捜索するのは法的にはまったく問題ありません。犯罪の捜査や抑止のためという大義名分はわかります。それでも、ユーザーデータを入手するために警察がなりふり構わなくなっているこの傾向は、どこか気持ち悪いものがありますね…。


Image via Getty
source:Ars Technica

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
(miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 【Amazon.co.jp限定】Anker Astro M3 13000mAh モバイルバッテリー 【ハイパワー5V/2A電源アダプタ付属】
  • Anker
  • Anker 40W 5ポート USB急速充電器
  • Anker
・関連メディア