ASUS ZenWatch レビュー:「時計としてつけたい」と思えるスマートウォッチ

ASUS ZenWatch レビュー:「時計としてつけたい」と思えるスマートウォッチ 1

ようやく、しっくりくるものに出会えました。

ここ数年、便利でかっこいいスマートウォッチの出現を待っていました。しかし、出てくる機種はどこかぎこちなくて、クールじゃなくて、要するに「いかにもなスマートウォッチ」ばかりだった気がします。しかしASUSの「ZenWatch」はどうやら今までのとはちょっと違いそうです。

均整のとれた時計らしいフォルム、便利なリストバンド、それに長持ちするバッテリーなど、地味ながらも飾らない魅力がそこにはありました。

どんなスマートウォッチ?

多くのAndroid系ガジェットを世に送り出し、今回約2万4,000円でZenWatchを発表したASUSは、ご存知のように台湾のハードウェア企業です。

先に言っておきますが、ZenWatchは、通知を受け取ったり、歩数計になったり、天気予報を確認したりと便利なものには違いありませんが、スマートフォンの代替になるものではありません。スペックも他のスマートウォッチとあまり変わらず、CPUにはクアルコムのSnapdragon、ディスプレイは、有機ELディスプレイの一種で、サムスンがよく使うことで知られるAMOLEDを採用。違いがあるとすれば、それらをエレガントに仕上げたことでしょう。

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どんな人に向いている?

サムスン、LG、Motorolaなど、数々の企業がスマートウォッチを発表しました。でもそれらは押しなべて、SF映画に出てくるようなデザインばかりです。正直、時計としてつけるには目立ちすぎるというか、ちょっと抵抗がありましたが、ZenWatchのフォルムは時計以外の何物でもなく、ハードなガジェッターでない一般的な人でも違和感なく身につけられるでしょう。

使用してみた感想

以前、私は4,000円くらいのTimexの腕時計を愛用していました。初めてスマートウォッチをつけた時には、その「時間以外にもいろいろなことを教えてくれる」ことに未来を感じていたものです。しかしそういった感動はすぐに慣れてしまうのですね。たいてい、やっぱりTimexに戻ってしまうのです。

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どうしてなのだろう。ずっと考えていたのですが、この2週間ZenWatchを使ってみてその理由がわかった気がします。

Appleのデザイナー、ジョナサン・アイヴ氏が、Apple Watchにもそのデザインにこだわったように、やはり見た目に美しいことは重要な要素なのです。時計は、そのあるべきフォルムがほぼ完成されたオブジェクトだと言えると思います。そこから外れすぎているものは、やはり時計として使うには忍びないのです。

ZenWatchは、Motorolaの「Moto 360」より2mmほど薄い長方形。耐水性を備え、銅のボディをローズゴールドでメッキしてあります。

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その形はとても腕になじみやすく、邪魔な突起物などもなし。背面には充電用の接触部分と、再起動のための小さなボタンがひとつありますが、もちろん基本的な操作はタッチスクリーンで可能ですから、実際にこのボタンを使うことは多くないでしょう。

320x320のAMOLEDディスプレイは、LGの「G Watch R」やサムスンの「Gear Live」と同じですから、バッテリーの持ちに関しては心配なし。ただちょっと残念なのは、ディスプレイの微妙なカーブのせいで、MotorolaのMoto 360よりは、日差しの下での視認率がやや劣ること。とはいえ、見にくいと言うほどではありません。もちろん、ディスプレイの明度は自由に変更可能ですが、デフォルトでも十分と言えるでしょう。

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発色、明るさ、視認性はほぼパーフェクト。しかし惜しむらくは、ディスプレイ内の黒い縁取り。これはデッドスペース以外の何物でもなく、小さなスマートウォッチの画面にはちょっといただけない。この点に関しては、Moto 360がはるかに優れていると言えるでしょうね。

意地悪な人が、目を凝らして、穴が空くほど見つめれば、確かにピクセル抜けなどを発見するかもしれません。でもこれはスマートフォンではないですから。ゲームをしたり、テレビを見るわけでもないでしょうし。

時計にとっては、ディスプレイと同じくらい、リストバンドも重要な要素です。つけ外しにいちいち手間のかかるような時計は正直ゴメンですからね。その点で、ZenWatchはパーフェクトです。つける際には簡単にはめ込めるし、バックル部分のボタンをカチッと押せばすぐに外れます。この部分は他のスマートウォッチを寄せつけません。

そうそう、もう一つ大事なこと。リストバンドの色ですね。今回、ASUSはブラウンを用意してくれました。あとは… あ、ごめんなさい。ブラウンだけでした。もちろん、市販されている22ミリのリストバンドを用意できれば、取り替えることは可能です。ただやっぱり、色を選べたらもっと良かったな、という気持ちは捨て切れません。

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もしあなたがAndroidのウェアラブル端末を利用したことがあるなら、そのよさも悪さもご存知でしょう。Androidでは主にGoogle Nowを通じて、地域の天気予報、交通情報、好きなスポーツの結果やオススメのアプリなどを通知してくれます。これはAndroidウェアラブルのとてもよい点だと思います。

ただ、写真を撮ったり、電話をかけたり、それに動画を見たり文字を打ったりはできません。スマートウォッチにそういったことを望んでいないのであれば、気にするようなことでもありませんが。

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セキュリティ面をケアしていることも、特筆に値するでしょう。iPhoneでいう「iPhoneを探す」機能もありますし、自分のスマートフォンが操作されたら時計が振動する機能もついていますから、不足のアプリをPlay Storeからダウンロードする必要もあまりないと思います。

さらに特徴的な機能として、フィットネス機能とリモートカメラ機能があります。ただフィットネス機能については、あまり過剰な期待をしないほうがいいでしょう。ZenWatchの心拍数センサーは正直使い物にならず、一度ジムに持っていきましたが、5分で外したほどです。単純に、歩数計として使うのがいいでしょうね。

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リモートカメラはとても面白い機能だと思います。時計のディスプレイがファインダーになり、スマートフォンから離れた場所でもフラッシュのOn/Offまで操作できるのは、友だちを驚かせるのには最適ではないでしょうか。でも友だちはこう言うかもしれませんね。「それの何が面白いんだ」って。

スマートウォッチの面白さってなんでしょうか。もちろん人それぞれでしょうが、僕の生活がスマートウォッチのおかげで変わったことは確かなんです。例えば、僕はこの時計からお気に入りのアーティストのニューアルバムを購入したし、明日の予定も教えてもらった。そうそう、チケットだけ買ってすっかり忘れていたショーのことを4ヶ月もあとに気づいて、大笑いしたこともありました。それってすごく些細なことです。でも、とても楽しいんです。それを時計に教えてもらうんですよ? まるで「未来に生きている」って感じがするじゃないですか。自己満足かもしれませんけどね。

でもそんな楽しい体験に水を差すようなこともあるにはあるのです。確かに、いろんな情報を伝えてくれるGoogle Nowはとても便利なのですが、お気に入りのアプリを押しのけてまで表示されると、ちょっとイラッとします。一度、タップするのが面倒なので、内蔵マイクに「リモートカメラを起動して」って話したら、周りの人たちはギョッとしてましたよ。

そういえば、夜中に腕時計に向かって「地図を表示して(スタートマップ!)」って言ったら、夜空に瞬く星座のことがわかる「スターマップ」っていうアプリがダウンロードされたこともありました。もちろんこれは、私が夜一人で外にいたため、十分大きな声を出さなかったことが原因ですよ。

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ZenWatchのいいところ

はっきり言ってイマイチな見た目の、Moto 360、G Watch R、Gear Live、それにソニーのSmartWatch 3と比べて、段違いにいいデザインでしょう。時計としてまったく違和感がなく、スマートウォッチの便利さも享受できるという意味でとても優れていると言えます。ジム以外ではね。

ZenWatchの残念なところ

ブラウンは確かに定番です。でももう一度言いますが、やっぱり別の色も欲しかった。フレームのクールなシルバーと、リストバンドのブラウンがマッチしているとはちょっと思えないんですよ。まぁこれは完全に私の色の好みの問題ですけど。

あとは、Moto 360と比べてみるとよくわかりますが、やはりこのフレーム内のデッドスペースがどうしても気になりますね。もしこのスペースがなければ、ZenWatchは本当にエポックメイキングなスマートフォンになったことでしょう。

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ZenWatchは買いなの?

難しいところですが、もしAndroidスマートウォッチの購入予定があるのなら、ZenWatchがベストな選択でしょう。その次がG Watch R、Moto 360の順かな。少なくとも、他の3機種と比べて「まず時計ありき」でデザインされたのは、このZenWatchだけでしょうね。

G Watch Rのイケてないデザインと、Moto 360のバッテリーの持ちの悪さに悩んでいるなら、ZenWatchがオススメです。約2万4,000円は、Androidスマートウォッチの中でもGear Liveと並んでもっともお手頃ですし。

来年には、ZenWatchよりもっといいスマートウォッチがきっと出てくるでしょう。でもそれはあくまで来年のお話。今は今しかないんです。

そういえばすっかり忘れてました。私のTimex、どこにしまったっけな…

Darren Orf - Gizmodo US[原文

(渡邊徹則)