40年目の到達点。ハイレゾ対応「ATH-MSR7」は原音を描き切るヘッドホン

2014.12.05 11:00
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クラシカルモダンなデザインにバツグンの描写力。一聴してわかります。これはいい音してるって。

1962年創業で今年52歳になるオーディオテクニカ。そしてヘッドホン部門の歴史はちょうど40年。そう、オーディオテクニカは1974年からヘッドホンを作り続けてきたメーカーでもあるのです。

皆々様のためのゼネラルオーディオアイテムから越前漆塗りの限定品まで、すべての価格帯で勝負してきた彼らが、改めて「ヘッドホンはどこまでも音質ありき」と送り出してきたのが40年目の到達点と言えるハイレゾ対応ポータブルヘッドホン「ATH-MSR7」です。

ハイレゾ対応ということは40kHz以上の音も再生できることを意味していますが、普通の人間の能力的には20kHzまでの音が聞き取るのが精一杯(若者にしか聴こえないと言われているモスキート音は17kHz前後)。

しかし、聴こえずとも、高周波の倍音が多い音ほど余韻が綺麗に、豊かに感じ取れるのです。実際にATH-MSR7の音は生音の響きが素晴らしい。これは癒やし効果も強いヘッドホンと言っていいでしょう。

世の中には数千円から10万円級のモデルまで色とりどりなヘッドホンがありますが、個人的には品質と価格のバランスがとれたボリュームゾーンとして1~3万円台クラスが一番いい。その中でもATH-MSR7万人に薦められる1台です。


昔のレコードをいま聴くと…こんなに音が入っていたんだ!と気がつきます


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…と心から驚けるので、皆さまぜひお試しを。

というのもLPレコード全盛期のころにセット売りされていたコンポのターンテーブルより、いまのターンテーブルのほうが高精度だし針の質も良くなっています。もちろんきちんとセッティングした高級品にはかないませんが、昔よりもバイナルに刻み込まれた音楽信号を手軽に取り出しやすくなったと言っていいでしょう。

過去40年の知見を投入しハイクオリティなサウンドを聴かせてくれるATH-MSR7で、過去耳にしたLPを聴いてみると、あまりにも新鮮な音に驚きます。このギターってこんなにクリアな音だったかな。ハイハットをこんなにも細かく刻んでいたんだ。ボーカルの裏にこんなにもたくさんのコーラスが詰め込まれていたとは!と鳥肌が止まりません。

高解像なヘッドホンだから、昔の機材で聞いたときよりも広帯域&広ダイナミックレンジなサウンドの良さをフルに引き出してくれます。



ATH-MSR7には新たに作られた45mm径のドライバーが使われていますが、ここには音域のバランスを調節して自然なサウンドにまとめあげる2つのアコースティックレジスターや、ボイスコイル&フランジの構造によって振動板の動きをスムースにさせるテクノロジーが使われています。音楽の出口となるヘッドホンの設計にはアナログ技術の集大成が求められるのですが、ATH-MSR7にはオーディオテクニカが培ってきた40年の知識と経験とそこからくる新しいアイディアがふんだんに盛り込まれているのです。

ところで面白いのは、視聴に使ったYMOのレコード「増殖」にはスネークマンショーのコントも収録されているのですが、息づかいが超リアル! 「警察だ!」「だ、だぁれえ」に鳥肌を立てることになるとは思いもしなかった…。


ハイレゾ音源のシステムで鳴らしてこそ
ATH-MSR7は目覚めます


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CDを超える、より良質な音楽表現を広く届けることを可能にしたハイレゾ音源は、デジカメでいうなら3,000万画素級のフルサイズセンサが描き出すような圧倒的な臨場感をもたらしてくれるもの。音の1つ1つが分離し、広大なサウンドステージのなかで前後左右に散りばめられた世界が繰り広げられます。

ハイレゾ音源を聴くのにもATH-MSR7はベストなヘッドホンです。分解能が高く、ピアニッシモ(とても弱く)とピアニッシッシモ(極めて弱く)の差も見えてくる。その楽曲を作り上げたアーティストが音符に込めた思いがまるで伝わってくるかのように、ニュアンスたっぷりに濃厚な音楽の世界を描いてくれます。

ドラムの音は深く、ボーカルはリアリティ高く、ギターのハーモニクスも豊か。バランスも秀逸で、特定の音域が前にせせり出すことがないから、どのジャンルも良質さを維持したまま演奏される…。このいい音が“見えて”いるんだという満足感の高さはそうそう味わえるものではありません。

しかし、ハイレゾ音源をそのまま鳴らせる最近あるスマートフォンをATH-MSR7の実力と照らし合わせるとアンプが明らかにパワー不足。低消費電力、長時間駆動を最もたる目的として作られたガジェットでは、ATH-MSR7の良さは一部分しか見えてこないのです。真の実力を引き出すには、ハイグレードなハイレゾプレイヤー、もしくはスマートフォン&ヘッドホンアンプといったシステムと組み合わせたいものです。


ベンチマークにもなりえる、長く使えるヘッドホン


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ATH-MSR7の音はスマート&ストレート。録音された音に対して誠実であり、忠実であることを強く意識した、原音再生系のモデルと言えます。

EDMに焦点を合わせた低音増強系と聞き比べると音が痩せていると思うかもしれませんが、本来のサウンドバランスはATH-MSR7が奏でているもののはず。現実にATH-MSR7の低音は少ないわけではなく、しっかりとした音圧を感じ取るに十分なパワーがあります。このサウンドバランスだからこそ、音量の低いささやきのような音まで、他の音にマスクされずにしっかりと描き切る実力を持っているモデルなのです。

全体のトーンは正確無比なモニタ寄り。そこに、聴き心地の良さ、響きの良さを持たせたチューニングがされているリスニング向きのモデルです。高解像な音源が出そろってきた2014年のリファレンスとなる音質と言っていいでしょう。

ただし音質の悪いトラックのざらつきも描いてしまうだけの分解能を誇ります。もしあなたのもっている音源が128kbpsなMP3であれば、元音源がCD由来だとしても320kbpsのMP3もしくはロスレスファイルでリッピングし直したほうがいいでしょうね。

なおカラーはブラック(ATH-MSR7 BK)とガンメタリック(ATH-MSR7 GM)の2色。さらに4,000台限定のレッド(ATH-MSR7LTD)から選べます。どのカラーも落ち着いたもので、スーツともマッチしそう。価格はAmazonで3万円弱(記事執筆時)。

このボリュームゾーンの価格帯で1台だけいいヘッドホンが欲しいというなら、悪いことはいいません。素性のいいこのATH-MSR7を選ぶべきです。

大型のインドア用に見えますが、実は折りたたみ可能で持ち運びしやすく、ケーブルも脱着型で1.2m×2本(1本はスマホ用リモコンつき)と3mのケーブルが付属。外では短いケーブル、自宅では長いケーブルと使い分けができます。

もしも他のモデルにステップアップしたくなったときも、フラット志向の強いATH-MSR7の音を知っておけば大丈夫。「ATH-MSR7より高域がキラキラしたものがいい」「ATH-MSR7よりボーカルが一歩前に出てくるカマボコバランスが欲しい」といったようにATH-MSR7の基準値として聞き比べたり、お店の人に相談しやすいというものですし。


image: Japan Photography
source: オーディオテクニカ

(武者良太)

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