もし、グーグルがネットの履歴をあなたの子孫に売り渡せたら?

もし、グーグルがネットの履歴をあなたの子孫に売り渡せたら? 1

すべてが永遠に記録として残る時代。これからどういった未来に直面するのでしょうか? 米GizmodoのMatt Novak記者は、データとして残る我々のプライヴァシーはいずれ売買されるようになると思っています。下にあるように、彼は夫婦間でこの件に関して議論していたようですが、先日起きたソニーピクチャーズのハッキング事件を目の当たりにし、改めて考えたようです。なぜなら今回の事件は、社内メールだけでなく社員たちの個人情報などが漏えいしてしまったからです。些細な日常のやりとりが公の目にさらされた時、以下はMatt Novak記者の考えです。

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これから40年後、グーグルやFacebook、ビザカードは、Eメールや写真、購入履歴等を私たちの子孫に売り渡すようになるのでしょうか? ソニーのハッキング事件は、私たちの言動や行動のほぼすべてが記録として永遠に残ってしまうことを改めて思い出させました。そして私たちは、明日の歴史家たちがそれらすべてにアクセスできる未来を覚悟しなければいけないかも知れません。

インターネットを、刹那的で誰にも気付かれない、使い捨ての1と0で構成された場所だと思っている人は多いと思います。しかし、ソニーのハッキングで気付いたのは、私たちは、実は大量のデータを背後に残し、しかもそれらは永遠に存在することです。バカなことをした写真、嫌味なメール、稚拙な仕事のプレゼン等はソニーに限った事ではないのです。今回のハッキングはあくまで未来を示しているにすぎません。ほぼ完全なる透明性を持った歴史が記録される未来です。

世界中の政府がインターネットの情報を漁っているのは既に周知のとおりです。そして私たちは、グーグルやフェイスブック、アップル、ビザ、そしてアマゾンなどにすべての個人情報を託しています。ユーザたちは、これらの企業が個人情報をどう扱っているかを問い続けています。しかし、本当に問うべきなのは、もっと遠い未来にそれらのデータをどうするのかということなのかも知れません。

政府にしろ企業にしろ、彼らは私たちの膨大な情報を手にしています。それなら、フェイスブックがあなたの子供や孫に情報を売らないと言い切れるでしょうか? 私の妻は数年間この可能性を考えていましたが、これは正しいと思います。フェイスブックはユーザたちが泥酔してバカ騒ぎした写真をすべて持っていています。一方、グーグルは友人に送った他愛のないメッセージを一言漏らさず保管し、ビザとアップルは深夜に頼みすぎたファストフードの購入記録をすべて管理しています。もしあなたの子供や孫がそれらにアクセスできたなら、かなり精密なあなたの人生の記録がそこに完成するはずです。

Ancestry.comなどは、家系図、出生証明書や死亡診断書、国勢調査結果といった個人情報を売り物にしています。しかも最近彼らはDNAにも手を伸ばしはじめました。他の企業がそれを更に発展させ、特定の個人と繋がりのあるすべての人、発言や行動の全部、そして購入物を組み合わせ、一個人の完璧な歴史を紡ぎだせるようにすることも出来るのではないでしょうか?

一度話題を戻しますが、ソニーのハッキングは、ニュースになりうる沢山のネタを提供してくれました。私たちは、新しい映画の構想や口論、そしてリリースされた映画の無惨な結末(ソニーの重役ですら、アダムサンドラーのジャックとジルは失敗だったと思っているようです)を覗くことができたのです。しかし同時に、ただ仕事をこなしているだけにすぎない数千人もの人が被害に遭っているのです。恐らく誰もが、純粋にプライヴァシーの存在を信じて日常を生きてきたのでしょう。

それ故、芸能ジャーナリストたちですらハッキングされたデータを漁ることに躊躇を感じ始めています。これは巨大企業の内部の活動を克明に記したものです。どれだけ透明性を訴えるジャーナリストでも、邪悪な目的を持ったハッカーたちだけにとどまらず、自分たちの情報を託している企業の脆弱性に対していかに脆いを気付かされたのです。だから、ソニーでこういう事件が起こるなら、明日は我が身と思わざるを得ないのでしょう。

「リポーターなら誰でも、機密書類の山を見つける夢を見たことがあるものです。」とAndrew Wallenstein氏はVariety誌に記します。「だから、ソニーの件のように過去に例を見ない量のネタを目の前にしたら、飛びつくのが我々の本能です。でも今回は、そうやって反射的に行動するのは間違っている気がしてなりません。たとえそれが間違っていなくても」と。

ソニーのハッキングに関して最も知的な見解を耳にしたのは、このハッキングが誰にでも起こりうると思い出させてくれた私のボス、Brian Barrettからです。今回の件で本当に目を見張るのは、ハリウッドスターの愚痴を言う重役のメールではありません。世界中の人が、一般人の日常の裏にある静かな苦しみを垣間見ることができてしまうんです。

ソニーのデータの中で最も痛々しいのは、リタリンを購入しようとする医者です。更に、妊娠しようと必死な女性のメール。同僚の陰口を言い合う姿、クレジットカードのログイン情報、そして数千人分の社会保障番号が公に晒されているのです。無害で退屈、どうでもいいような日常のメールですら、公になった途端に醜悪で生々しい物に感じます。最悪のサイバーアタックにより具現化した、デジタルなBabadookの絵本です。

ソニーから流失した量の数千倍のメールが大学図書館の公共アーカイヴに保管されたり、オークションで売りさばかれる世界に住む覚悟が、私たちにはあるでしょうか? 好む好まざるに関わらず、いずれはそういう未来が来るでしょう。

今回のハッキングのような事件が起きると、私はいつも歴史的な前例を探します。ここまで膨大な量のプライヴェートなやり取りが、100年前、50年前、あるいは20年前に、どうすればリークしたのだろうか、と。結論から言えば、比較になる例を探すのは簡単ではありません。たとえば20年前のソニーを「ハッキング」しようとするなら、企業スパイや盗聴が必要になりますが、どれも粗雑な上、大規模なコストがかかるでしょう。

情報の取得を簡単にするため、私たちはコミュニケーションの行き来を中央に集中させすぎてしまいました。将来的に、一個人の人生を細かくマッピングするようなツールが無数に出てくるでしょう。そしてそれらが未来の歴史家たちに詳細まで分析される日が来ることを覚悟せねばなりません。唯一願うのは、せめてその時優しい目で判断してくれることです。…大して期待していませんが。

image by Shutterstock/Oleksiy Mark

Matt Novak - Gizmodo PALEOFUTURE[原文

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