グリーンピースが聖地に残した爪痕

2014.12.23 23:00
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目的の為に手段を選ばないのなら、非難している側と同じなのでは?

自然環境の為とはいえ、グリーンピースは時に強引な手段を講じる事でも知られています。しかし、先日環境保護を訴えるためにナスカの地上絵を踏み荒らしドローンでその全てを撮影したのは、いくらなんでも軽卒が過ぎたと言わざるをえません。もっとも、グリーンピースは度々無鉄砲ではあるのですが。

今回は特に酷い結果を招いてしまいましたが、彼らが失敗したのはこれが初めてではありません。実は稚拙で無神経な行動に関して、彼らはかなり長い歴史があります。貧しい国で失明等を防ぐためにビタミンAを付加した遺伝子組み換え稲の試験圃場の破壊に協力したり、折角ボランティア達が掃除した街を、その翌日にポスターだらけにしたりなど様々です。

今回の騒動をおさらいすると、国連気候変動リマ会議に出席する各国の代表達にメッセージを送るため、環境活動家達はナスカへ向かい、最も有名で考古学的に重要な物の一つ、地上絵の隣に「TIME FOR CHANGE! THE FUTURE IS RENEWABLE! GREENPEACE. (変革の時!未来は再生可能!グリーンピース)」という黄色いバナー広告を配置しました。


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メッセージはほぼ地上絵の真上にあると言ってよく、今は足跡で荒らされてしまいました。これは皮肉以外の何物でもないでしょう。未来は再生可能かも知れませんが、この繊細な古代の絵は再生しないからです。

「この行為は、我々の法律を一切無視して行われた」とペルー文化省次官のLuis Jaime Castillo氏は説明します。「軽はずみ、無神経、違法、無責任、そして明らかに計画的だ。真夜中に行われ、彼らは鳥を踏み荒らしていった。写真を見ればその深刻なダメージは明らかだ。あそこは許可無しには、ペルーの大統領だって入れない場所なのに!」

「深刻なダメージ」は大げさな表現ではありません。こちらが、グリーンピースが来る前の写真です。


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そしてこちらがその後。赤で囲まれた場所が、グリーンピースによって荒らされた部分です。


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度を超えた無神経さは勿論ですが、グリーンピースの行為が何より問題なのは、地上絵とその周囲のエコシステムのデリケートさにあります。ユネスコ世界遺産でもある地上絵は、紀元前400年から650年のナスカ文化の時代に描かれました。当時の人々は、クモや猿、魚、鳥等を、長くて浅い溝を掘る事で形作っていったのです。これらの絵が地形から目立つのは、表面の黒い砂利を取り除くと、その下の白い土が露出するからです。

グリーンピースの面々がその地面を歩くのは、ピエト・モンドリアンの絵の上を絵の具が乾く前に歩くようなものです。鳥の形自体はほぼ無傷なようですが、足跡が白い土を露出させてしまい、以前は綺麗だった遺跡が滅茶苦茶になってしまいました。また、彼らは地上絵の一部の上も歩いています。


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Patricio Murillo氏がブログで指摘しているように、研究者達は足跡を残さないよう、特別な靴を履いて地上絵の上を歩きます。しかし活動家達は明らかにただのスニーカーです。なぜそのような事すら事前に確かめておかなかったのでしょうか?

「地上絵は繊細なんです。白い土の上に黒い砂利がのってるだけに過ぎません。歩けば足跡は数百年、数千年残ります。しかも、彼らが踏んだ線は最も特徴的な部分です。」とCastillo氏は説明します。

グリーンピースは謝罪しましたが、ペルー政府は捜査を開始し、活動家が国外に出ないようにしています。政府によれば、遺跡の破壊は最高で懲役6年の罰が与えられます。こうなると、謝罪せざるをえないでしょう。


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グリーンピースが追及されるのはこれが初めてではありません。むしろこういう事は頻繁にあります。2006年、彼らはエレクトロニクスがいかに環境を汚染しているかというレポートを発表しましたが、企業に対する告発の内容は事実を大きくねじ曲げていました。ほぼ同時期に、核融合技術を意味も分からず批判してラッダイト運動呼ばわりされたり、現地の文化を無視してグリーンランドの人々にクジラやアザラシの肉を食べるなと啓発して反感を買い、石油が発見されるかも知れないという緊張の中、現地の人達がむしろ石油企業側に立つようになってしまった事もありました。

地上絵が荒らされた事もこれが初ではありませんが、よりバカバカしいのは今回でしょう。グリーンピース程大きな、それも地球の環境保護を訴える団体なら、アメリカ大陸有数の聖地を踏み荒らす前になぜ思い留まらなかったのでしょう?まぁともかく、彼らの思惑通り注目は集めました。といっても、求めていたものとは違う種類の注目、ですが。


source: io9
Images via AP

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
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