アップルストアトークイヴェント:日本人女性2人で開発したヘルスアプリ「FitPort」ができるまで

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この記事はライフハッカー[日本版]の記事を編集したものです。

Hour of Code」という世界的な運動ってご存知でしょうか? これは「Code.org」という非営利団体によって行われているコンピュータ・サイエンスを広めるプロジェクト。プログラミングの基礎を学べるワークショップやチュートリアルを通じて、その普及に努めています。誰でもワークショップを開催するとこができ、あまねく「学生」にコンピューターを学ぶ機会を提供しています。

この活動には、アップルやマイクロソフト、フェイスブックなど多くのテック系企業が参加おり、年に1度、Computer Science Education Weekとして約1週間をこの活動にあてています。今年は12月8日〜14日がその活動期間に設定され、世界中でワークショップが開催されました。

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その一環としてアップルストアでは、キッズ向けのプログラミング教室や、最前線で活躍するディベロッパーのトークセッションが開かれました。今回は、7日に開催されたトークセッションを紹介します。登壇したのは、「FitPort」や「Timesheet」といったアプリを手がけてきた「Flask」のプログラマー小川秀子さんと、UIデザイナー堀内敬子さんです。

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(左)堀内さん (右)、小川さん

HealthKitが転機となったアプリ開発

Flaskが世界的に注目されるきかっけの1つとなったのが前述の「FitPort」。これはiOS 8の「HealthKit」を使ったフィットネスアプリです。驚きなのが、FitPortはアップルがこの機能を解禁するのと同日にリリースされたこと。「HealthKitを使ったアプリがもう出てきた!」と海外メディアで話題となり、日本でもテレビで取り上げられるほどだったそうです。

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とくにHealthKitの良さがより伝わるようにシンプル性を突き詰めたUIにこだわっており、開発にはStoryboardというツールを採用したそうです。これによってプログラマーとデザイナーとの連携がうまくいったとのこと。

Storyboardは、プログラムコードを書いてアプリ設計の変更をするのではなく、パーツの配置や画面遷移の切り替え指定などを視覚的に設定できるツール。プログラミングに精通していないデザイナーでも、UI設計の細やかな調整を重ねることができるんです。

2人におけるこれまでのアプリ開発の作業比率は「エンジニア7:デザイナー3」だったそう。ところが、Storyboard採用以降は「エンジニア4:デザイナー6」まで変わり、2人の連携がより強くなったといいます。

小川さんは作業工程について、「まずはStoryboardを含めて、私が3日でプロトタイプを作ります。基本のメイン画面と操作の流れが動くだけの状態にまで素早く持っていきます。私はここがプログラマーの腕の見せどころだと思っています(笑)。プロトタイプのタイミングではデザインもまだ固まっていませんが、Storyboardで線の太さや色の変更などを設定できるように『仕掛け』をしておいて、デザイナーである堀内に渡しています」と話します。

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実は、Flaskの背景は当初「白」でした。でも、リリース当日に「黒」へ変更。

そこからはプログラムとデザインを並行作業して、完成まで持っていきます。小川さんは「デザイナーの自由度が高まると、開発の最後の最後まで粘れるという良さがある」と言い、堀内さんも「Storyboardはこだわわりたいところを納得できるまでやれるので楽しい。Fitportの背景色変更もStoryboardがなくては実装できなかった」とツールの有用性を認めます。そして何より、「ギリギリまでできるのも、2人である私たちならではのこと」と述べているのが印象的でした。デザイナーとプログラマーという異なる技巧が、ツールによって上手く組み合わさることで、より素晴らしいプロダクトができるというわけ。

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小川さんがプログラミングを始めたのは社会人になってからだそう。それだけでなく、2人が出会うきっかけとなったのは堀内さんの「iPhoneアプリをつくりたい」というツイートだったそう。大人になるとどうしても何か行動を起こすのに腰が重くなってしまいがちですが、お2人の話を伺うと「自分も頑張ろう」と思えるような気がします。

source: Hour of code, Computer Science Education Week, Apple

(長谷川賢人:編集 嘉島唯)