「ザ・インタビュー」映画評まとめ:公開前の方がドラマだった

風刺映画おバカ映画として見るのが吉。

ハッカーからの脅迫とか、上映中止決定とか、それに対する大統領のダメ出しとか紆余曲折の末、ソニー・ピクチャーズは12月24日、北朝鮮の金正恩氏暗殺をテーマとした映画「ザ・インタビュー」をYouTubeで公開しました。映画そのものの出来が良いか悪いかはもう問題じゃない気もしますが、いろんなメディアでレビューを出してるんで、こちらでまとめてみます。(強調は訳者)

Wired

北朝鮮がこの映画のためにソニーをハックするなんてありえない。強いて言えば、平壌は不品行なメールでもクビにならなかったソニー役員の誰かに電話して、国民に食料を与えもせず、この映画の続編に資金を出すと言うだろう。

だからそう、私はこの映画を見た。だが特に言うべきことはあまりない。これはコメディで、それでいいんだ。何回か笑ったし、言い訳がましい半端な伏線もみんな拾った。もし映画館で見ていたら、出て行きはしなかっただろうが、途中で寝ていたかもしれない

Deadline

「ザ・インタビュー」には、集団で作る作品がおかしな方向に行ってしまったときの特徴がある。ジョークは落ちないし、シーンの切り替えは陳腐なストーリーの間にうっとうしく入ってくるし、楽しげなのは「自由の闘士」を演じる(ダイアナ・)バングくらいだ。賢人が「守るべきは高尚な民主主義でなく、低いところにぶら下がってる果物だ」と言ったとき、「ザ・インタビュー」が念頭にあったのだろう。

***

これはひどくバカな映画で、ここでいうバカとは、恥ずかしさも忘れるくらい大笑いできるという良い意味ではない。「ザ・インタビュー」は冷や汗でびっしょりになっていて、もし愛国心からこれを見る人がいれば敬意を表されるべきだ。

Rolling Stone

最終的に、「ザ・インタビュー」は下品な笑いと辛辣な風刺のツボを突いている。フランコとローゲンが全力で面白さを追求し、恐れを知らないからだ。それはアメリカのやり方だ。ローゲンとゴールドバーグが金の名前を人権破壊をねらう架空の独裁者に変えれば、我々は面倒を回避できただろうか? そうかもしれない。だが、バカな笑いのためにあらゆることに挑戦し、バカな独裁者にこだわった本能には戦うだけの価値があった。ジョークがわからないなら金なんてやってしまえ。

The Mary Sue

「ザ・インタビュー」はほとんど面白くも鋭くもなく、この10年ショッキングなコメディを見た人にとっては、そんなにショックなこともない。なので私は、ローゲンとゴールドバーグは何をしたかったんだろう、と思っている。

この映画は自由の象徴とか、言論の自由の事例とか言うこともできる。でもこの映画はあくまでこの映画でしかない。ローゲンとかフランコの大ファンでもなく、心からこの映画を支援したいわけでもない人が見た場合、今まで騒がれた分だけ、多分がっかりしそうだ。この映画を見る権利はみんなにあるかもしれないが、だからって見なくてはいけないということはない。この映画は、まれに面白く、だいたい子供だましのバディコメディで、触れ込みにあるほど挑発的なものでは全然ない

Variety

北朝鮮は安心していい。米国は、自称風刺映画「ザ・インタビュー」の中で、北朝鮮と同じくらい悪い国に見えている。この映画は共産主義者の食料不足と同じくらい面白く、同じくらいムダに長い。ソニーをハックしたGuardians of Peaceからのダメ出しなどの公開前の騒ぎに対し、このケーブルTV局のお気楽社員二人組が北朝鮮の独裁者金正恩暗殺を試みるという生焼け喜劇が、世界外交をひざまずかせることはないだろう。どちらかというと、下ネタ耐性の低い観客へのテロ攻撃のように感じる。スターであるジェームズ・フランコとセス・ローゲン(彼はエヴァン・ゴールドバーグと共同監督も務めている)のエクストリームなファンなら、このクリスマス映画を許すかもしれないが、そうでない人は気をつけた方がいい。映画の形をした拷問の夜が待っている。

Time

下品なギャグと体の一部への幼稚なこだわり、そして(訳注:あまりにネタバレなので削除)のオンパレード。その中で「ザ・インタビュー」は、彼ら独裁政権がハリウッド映画について非難するであろう思慮のない不節制を並べている。もしかしたらローゲンとゴールドバーグは、これを言いたかったのかもしれない。「ほら、これがあいつらの嫌いな僕らだよ。君たちこういうの、好きでしょ」と。

もし「ザ・インタビュー」を見れば好きになるかもしれないし、嫌いになるかもしれないし、そもそも怖がって見ないかもしれない。でももししっかりした政治的風刺を求めてこれを見ようとするなら、バカを見るだろう。

Wall Street Journal

(金正恩役の)ランドール・パークは、自信のないカラ元気の人物として彼を演じ、若き独裁者に面白みを出している。デーブにかわいい犬をプレゼントした金は「僕は僕でしかなくて、最善を尽くしてるんだ」と言う。そこで(デーブを演じる)フランコ氏は、彼が面白いんだと観客にきちんとわからせようとして大げさな表情を作るのだが、面白くない。そして脚本全体は、風刺映画、または少なくとも喜劇ではあるはずの映画を、酸っぱい道化にしてしまっている。実世界では「拷問とは何か」という議論が起きているが、映画に関しては議論の余地はない。「ザ・インタビュー」を見るのは、ほとんど最初から最後まで、拷問である。

IGN

これが今の時代もっとも鋭い政治風刺映画になる可能性は低いが、「ザ・インタビュー」はクレヴァーで、遠慮がなく、そして大事なのは笑えるパロディで、退屈なメディアと世界でもっとも危険な独裁者たちをコケにしている。ローゲンとゴールドバーグはリスキーなテーマに頭から取り組み、軽率で厚顔で下品なユーモアをほんの少しも引っ込めない。最終的にこのコメディは、観客を笑わせるという真の要望を満たしている。

Forbes

セレブリティインタビュワーのデーブ・スカイラーク(ジェームズ・フランコ)とそのプロデューサー(セス・ローゲン)がCIAに金正恩暗殺を依頼されるこの喜劇には、しっかりした笑いが多数ある。だがこの映画には、ジョン・スチュワートのやや残念なVIPインタビューに似ている部分が多い。それは、制作側が語ろうとしているストーリーを信用せず、すぐに最大公約数的ユーモアを挟んで話の腰を折ってしまうからだ。

その多くの責任は、ジェームズ・フランコ演じるおバカニュースマンにある。彼はそのキャラクターを、完全に実世界のカリカチュアとして演じている。この映画は「エース・ベンチュラ」と同じく「こういう人、実際いるよね」というものではないのだが、フランコはなるべく幅広く演じようとしていて、その結果本来あるべきリアリティが失われている。金正恩(ランドール・パークがコミカルに好演している)が、このコメディで一番奇妙なキャラクターにならないとしたら、それは問題だ。

…というわけで、ざっくり言うと、下ネタ満載のおバカ映画で、ただしツボにはまるかどうかは人それぞれ、鋭い風刺を期待しちゃダメという感じでしょうか。最近CIAの拷問が話題になったせいか「見るのが拷問」なんて酷評もチラチラありましたが、そこまで言われると逆に見てみたくなったりして。

Chris Mills - Gizmodo US[原文

(miho)