Web的日曜大工。開発が身近になるKDDI×Firefox OSなSFCの授業に未来を見る

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すべてのモノがつながる世界へようこそ。

WoT」という言葉を知っていますか? 正式名称は「Web of Things」。すべてのモノがWebの技術によってつながる世界を指しています。

似たような概念として、「IoT」(Internet of Things)という概念も存在します。こちらは、モノがインターネットに接続してさまざまなモノや人につながるもの。モノがインターネットにつながる点に主眼を置くIoTに対し、HTMLをはじめとするWeb技術を活用し、モノやサーヴィスを介してヒトをつなぐ体験に主眼を置いた概念がWoTです。

このWoTの世界を実現するためのプラットフォームとして注目されているのが、Mozilla Corporationが開発するWeb OS、「Firefox OS」。

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12月23日(火)開催の「au Firefox OS Event」にて、KDDIからFirefox OS搭載のスマートフォンが発表される予定です。

現在、KDDIはFirefox OSを搭載した開発環境ボード「Open Web Board」およびPCブラウザ上で使えるアプリケーション開発ツール「Gluin」を企画開発。これらを使い、Firefox OSを使ったハッカソンやアイディアソンイヴェントを開催し、Firefox OSの可能性を広げようとしています。

WoTに関する活動のひとつとして、慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で「オープンデザイン実践」という授業が行なわれています。担当するのは筧康明准教授です。

そこで今回は、WoTの現在と未来を確認すべく、オープンデザイン実践の授業をレポート。そしてスペシャルゲストとして、プログラマー女優でお馴染みの池澤あやかさんをお呼びいたしました。

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え? なぜ池澤さんなのかって? だって池澤さんはSFCの卒業生。しかも筧研究室出身だからなのです!! これは心強い!

ということで、まずは池澤さんとともに、筧先生にご挨拶に伺い、今回の授業やFirefox OS、Open Web Boardなどについてお話をお聞きしました。

身近な人の生活をちょっと豊かにするものを作るのが授業のテーマ

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ギズモード編集部(以下ギズ):今日はよろしくお願いします。まず、なぜFirefox OSを使った授業を行なうことになったのでしょうか。

筧准教授(以下筧さん):以前からMozilla Japanとお付き合いがありまして。オープンソースな環境が生まれて、ものづくりがオープンな環境で行われるようになりました。これまでのものづくりとは変わってきているので、実際にオープンソースの環境を前提としたものづくりとはどういうものなのかを、実際に体験しようというのが最初の主旨です。ちょうど、Firefox OSやOpen Web Board、Gluinが開発されて、これを最初から使うことができたため、ちょうどいいタイミングだったんです。正直、Firefox OSもOpen Web Boardもまだ発展途上にあります。それがどのように発展していくのかも含めて、寄り添っていくような感じです。現時点では、マニュアルはもちろんサンプルもない。どんなことができるのかもわからない。そこから生徒も我々も一緒に考えていこうという授業です。

ギズ:授業自体が手探りという感じなんですね。

筧さん:そうですね。もっときちんと決めて授業をするほうが多いのですが、あえて余白を残しています

ギズ:今日の授業は中間発表ですが、どのような課題なのでしょうか。

筧さん:すでにスマート家電のように、スマートフォンから家電を動かしたり、家電で取得した情報を携帯端末で見ることはできるんです。でもそれは、メーカーさんがやってくれています。この授業では、身近な人の生活を見つめて、その人の生活に必要だと思われるもの、生活をちょっと豊かにするものを具現化してくださいとオーダーしています。

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池澤あやかさん(以下池澤さん):難しいお題ですね。

筧さん:自分が欲しいものと、自分の近くの人が欲しいものはちょっと違うんです。身近な人にプレゼントをすることで、今までにない新しいものができあがってほしいと思って、ずっとディスカッションをしています。

ギズ:もっとパーソナルな視点でものづくりをしてみようということなんですね。

筧さん:個人で、自分で使いたいものやプレゼントしたいものを作るとき、すごくアナログな、フィジカルなものを作りますよね。マフラーとかアクセサリーとか。でも、そこでインタラクティヴメディアやガジェットを作って、明日渡してあげるような。何百人を巻き込むやり方もあるんですが、隣の誰かに作ってあげる視点も持ちたいと思っています。

ギズ:日曜大工のデジタル版のような。

筧さん:そうです。フィジカルな日曜大工もやるし、Webもちょこっと作る。そこを掛けあわせられる人が、これからは求められると思うんです。僕の研究室の卒業生にもそういうスキルを持ちながら、会社に収まらずにフワフワと生きている人がいます(笑)。

池澤さん:確かに(笑)。

筧さん:実は、そういう人たちはIoTやWoT時代において、とても重要な位置を占めるんです。大企業のロジックのなかよりは、身近に起こるストーリーのなかで力を発揮するような。だから僕は池澤には期待しています(笑)。

ギズ:池澤さんは学生時代にWoT的なものを作ったりしていたんですか?

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池澤さん:自宅で金魚を飼っているんですけど、学生の時は金魚の水温を測ってその温度をTwitterでつぶやくデヴァイスを作りました。

筧さん:池澤は、金魚は好きだけど、飼うのが面倒くさいということで(笑)。最初はインターネット上から応援してくれる人が、何かアクションを起こすと自動的に餌をやってくれるものを作ろうとしていて。そうすれば楽になると。たとえば、「いいね!」ってボタンを押したら餌があげられる。そうすると金魚をみんなで飼っているような感覚になると思うんです。それってすごいおもしろいなと思っていて。ひとりで何かを完結するものではなく、みんなで環境を作る点が良くも悪くもおもしろかったんですよね。

池澤さん:結局は水温を測ってつぶやくだけで終わっちゃったんですけど(笑)。最近はうさぎを飼い始めたので、なにかネットにつなげられればおもしろいなと思っています。

ギズ:Firefox OSもOpen Web Boardも池澤さんが学生の頃にはなかったと思うんですが、印象はどうですか?

池澤さん:Open Web BoardはGUIで簡単に開発ができるのが大きな特徴だと思います。プログラミングの知識がなくても、シンプルなことならマウスで動かしていくだけでできるのがすごいなと。

筧さん:あと、Webとの親和性がとても高い。サーバがあって、ゲートウェイのような感じでOpen Web Boardがあって、そこにデヴァイスがぶらさがっていて…何台装置があってもWeb上ですべて制御できるイメージです。あとは、Webとデヴァイスが同じものとして扱えます。

池澤さん:私が筧研究室に所属しているときにも、IoTやWoT的なものは作ることができたんです。マイコンを有線LANにつないで、そこからTwitterにポストしたり、アラートが来るとLEDを光らせたりということはできた。でも、Firefox OSが搭載されたOpen Web Boardは、こんなに小さいのにWi-Fiに接続できる点はすごいことだと思います。

ーーこの後、久しぶりの再会ということで話が弾みましたが、お時間となってしまいました。久々に筧先生と会ったため少々緊張していた池澤さんでしたが、師弟の絆は未だ健在のようです。

学生の考えたテーマや作品を次の世代に生かしていくのが我々の役目

実はこの授業には、Mozilla Japanと、Open Web BoardおよびGluinの企画開発を担当するKDDIの方々も参加しています。そこで、Mozilla Japanの代表理事である瀧田佐登子さんとKDDIプロダクト企画1部端末1グループマネージャの長池輪さんにお話を伺いました。

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ギズ:どうしてSFCで授業を行なうことになったのでしょうか。

瀧田佐登子さん(以下瀧田さん):元々は2006年に我々がSFCでオープンソースの授業を行なったことが始まりです。授業を続けていくうちに、実践的なことをやりたいということになりまして、筧先生によるインタラクションのデザイン部分と、我々のオープンソース部分を合わせた形で、大学院と学部で授業ができないかと考えました。そこで、デザインとは違ったハードウェア連携を授業の中に盛り込んでいったのが経緯です。今年の授業は、ちょうど我々がFirefox OSを開発して、KDDIさんとスマートフォン開発の面でもコラボレーションを始めた時期でした。さらにOpen Web Boardも出される予定だったので、それを授業で学生に使ってもらいたいと思ったんです。IoTやWoTと絡めたときに、どういう可能性が広がっていくのかを、若い世代の人たちにクリエイトしてもらえればなと。そこで一緒に授業に入りませんかとKDDIさんをお誘いしました。

ギズ:KDDIさんとしては、今回Open Web BoardとGluinを提供しているわけですが、学生さんに期待していることはありますか?

長池輪さん(以下長池さん):これまでもさまざまなハッカソンやアイディアソンを開催してきましたが、学生さんや一般の開発者の方は、すごく自由な発想を持っていらっしゃいますし、アイディアもより身近で現実味があります。会社的なものの見方で考えると小さくまとまってしまうので、受講生の皆様との積極的な議論を通して発想を広げたいなと思っています。

ギズ:手応えはいかがでしょう。

長池さん:授業を通して受講生の皆様から、生の声というか、要望をたくさんいただいております。それはポジティヴなものだけではなくネガティヴなものを含めてですが。我々がコンセプトを仮定した当時と比べると、さまざまな色のコメントをいただきながら、考え方を少し修正しています。今は、少しずつコンセプトが固まっていっている状況です。

瀧田さん:我々の目的は、学生さんを育てることはもちろんですが、今の学生さんたちが考えるテーマ、作りあげたものを、次の世代にどう生かしていくのかということをちゃんと現実化していくことだと思っています。半年の授業ですが、カリキュラムが終わったらそこで終了ではなくて、ここが始まりなんです。6カ月という短い期間で作り上げられるものは限られてきます。そこで止まるのではなくて、その先の新しい世界をクリエイトしていくことが大事だと思っています。

ギズ:IoTとWoTを考えるとき、今回の授業はどちらに近いと考えられていますか?

長池さん:我々は明確にWoTと考えています。エンタープライズ的にはIoT市場はすごくホットですが、そこにWebをプラットフォームとしたサーヴィスやヒトとのインタラクションを織り交ぜた体験こそが、次の世代が取り組むべき分野だと考えています。特にコンシューマー向けのプロダクトを考える我々からすると、学生さんが考える身近なシナリオはすごく助けになります。

ギズ:Firefox OSやOpen Web Board、Gluinがあれば、簡単にWoTなものが作れるところを打ち出していければ、みんなが日曜大工的にやってくれるようになると思います。

長池さん:今のモバイル体験はどちらかというとAPIという形でシナリオが決まっていて、スマートフォンに閉じたアプリ作り、体験作りになっています。しかし、それではつまらない。周辺のハードウェアとの連携も含め、すべて簡単に手作りできてしまうプラットフォームはこれまで存在していないと思っていて。そういう意味で、このプラットフォームにおいて、パーソナライズとカスタマイズを追及していくのは非常にいいポイントだと信じています。

瀧田さん:ものづくりを考えるとき、やはり現実のものに引っ張られる傾向があると思います。スマートフォンは四角い感じですね。アプリケーションも、スマートフォンの四角い液晶の中に存在するもの感覚があって、そこから離れられないでいると、できあがるものが同じようなものになってしまうところがあります。それを取り除きたいときには、現実を考えないで、できるかできないかわからないものを考えていけるようになれればいいなと思います。

ギズ:どうもありがとうございました。

ーー学生たちの柔軟な発想が、WoTの世界を作り上げていく。そのきっかけとなるのが、オープンデザイン実践という授業なのです。

オープンデザイン実践の中間発表レポート

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先述のとおり、オープンデザイン実践の授業では、Open Web BoardおよびGluinを使って、「身近な人の生活をちょっと便利にする」アイディアを具現化していきます。この日は中間発表で、学生たちがそれぞれのコンセプトと現在制作中のプロトタイプを発表していきます。

それでは、みなさんの発表をどうぞ。池澤さんのメモも合わせてご紹介します。

●Post POST

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一人暮らしをする子どもとその親、単身赴任をしているお父さんとその家族、故郷で一人暮らしをしている高齢の親と上京している子どもというように、遠く離れた家族をつなぐコミュニケーションの手段として、ポストに注目。ポストから郵便物を抜き取ったときにインターネットを介して離れた場所にメールなどで通知する、いわゆる見守りデヴァイスです。それだけではなく、カラーセンサーを用いて、ポストに投函されたチラシと郵便物の仕分けができるようになっています。重要な郵便物を見落とすことがなくなる上、遠くの家族の状況もインターネット越しにわかり、いろいろな応用ができるアイディアです。

【池澤メモ】便利なんですけど、もう少しゆるくつながる方向がいいかも。1カ月くらいポストを開けなかった場合に通知されるとか。あと、方向性がチラシと郵便物の分別と見守りの2方向になっているので、どちらかに絞ったほうがいいような気がします。

●SHIO

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ヨット部の下級生が行なう「潮の流れの計測」をもっと便利に行なえるようにするためのもの。通常は海水に手を入れて潮の流れを確認しますが、プラスチックボトルにGPSセンサーを搭載し、潮の流れを計測してインターネット経由でスマートフォンに結果を表示します。Open Web Boardを使用すれば、インターネットに接続できるところならば情報取得が可能となり、今までよりも広範囲の潮の流れを計測できます。

【池澤メモ】計測器が日曜大工的でいいですね。ただ、GPSセンサーはアバウトな情報しか取れないと思うので、違うセンサー、たとえば加速度センサーのほうがあっているような気がします。

●Webアプリケーションが体温を取得するもの

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人間の健康、体調をWebアプリが取得してそれに合った内容を利用者に対してサジェストすることで、何かおもしろいことができるのではないかという観点で開発を進めています。プロトタイプでは、赤外線で温度を測る非接触型の温度センサーを使い、人間の体温を取得。その値をWebページに送り表示させます。そのとき、温度によって表示が変わったり、表示されるメッセージが変わります。

【池澤メモ】これはおもしろいですね。遠隔地で病院に通えない人が使う実用面での展開も考えられますし、体温が高い人しか見られないWebページという展開もできて、大きな可能性を感じました。

●遠方に住む人と人をつなぐ新しい通信メディア兼インテリア

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ターゲットは身近にいる遠距離恋愛中のカップル。「香り」をキーワードに、香りによるアンビエントなインジケーターを介してメッセージや愛を伝えるシステムを考えました。離れている男女のそれぞれの部屋に写真立てを置き、スマートフォンのアプリのボタンを押すと、写真立ての後ろからシャボン玉が出てきます。シャボン玉のなかには、相手の使っている香水やシャンプーの香りが含まれていて、シャボン玉が弾けるとその香りが広がります。今後はOpen Web Boardを使ってインターネット経由で操作できるようにしたいことと、これをどこに置くか、またアプリのボタンを押すタイミングなどについて深く考えてみたいとのことです。

【池澤メモ】相手のシャンプーや香水を買わなくてはいけないというところがちょっとハードルが高いと感じました。また、ボタンを押さないとコミュニケーションができないので、それよりも手を振るとかふとした日常の仕草でシャボン玉が出るようにすればいいのでは。または、卓上ランプと連動させて、自分が卓上ランプを消すと相手の卓上ランプも消えるとか。毎日する行動と連動したほうがいいと思います。

●Making Someone Happy

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ターゲットユーザは、同じ研究室の友人Sくん。彼はとても熱心で研究室にいることが多いのですが、部屋の温度調節のために窓を開けたりエアコンを付けたりする回数が多いそう。そこで、Sくんにとって快適な温度や湿度を可視化して普段の環境を意識させると同時に、不快な状況になる前に自動的にエアコンなどに働きかけて快適な環境を提供するのが目的です。温度湿度センサーで温度湿度を可視化し、LEDなどで通知するほか、Open Web Boardを使ってTwitterへの通知なども行ないたいとのこと。また、赤外線センサーを使いエアコンを制御できるようにもしたいんだそう。

【池澤メモ】エアコンを制御したり、Twitterに接続するというアイディアでしたが、エアコンに集中したほうがいいのではと思いました。Sくんの動きにセンサーを連動させて何かさせるということに特化すると、もっとおもしろいものが作れるのではと感じました。

●完全2人用だれでもスタバのお兄さんシステム

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コーヒーが大好きで、以前はスターバックスコーヒーでアルバイトをしていたこともある自分のこだわりをヒントに、ペーパーフィルターでコーヒーを淹れる際の動作を制御してくれる機械を自作。圧力センサーとLEDを4つ搭載し、蒸らし時間、お湯の量、回しがけの有無などをLEDで知らせてくれます。ドリッパーとコーヒー受けの間にはCDを重ねてくりぬいた器具を装着し、圧力センサーが正常に働くように工夫。将来的にはGluinをWebサーバとして使い、蒸らす時間、回しがけの有無をOpen Web Boardで記録と出力を両方行いたいとのこと。それが可能になれば、その人のコーヒーの淹れ方を再現することが可能になります。

【池澤メモ】プロトタイプの完成度が高かったので、あとは精度が高まればおもしろいものになると思います。またネットとの関係性も考えていくといいですね。それと、CDを繰り抜いて使うのはちょっとおすすめできないかも(笑)。

ーーまだ中間発表のため、完全にアイディアが具現化されていたわけではありませんが、学生たちが考えているWoTの方向性は見えてきたように思えます。

また、この授業ではMozilla Japanの瀧田代表やKDDIの方々も同席し、学生たちに質問をしたり、アイディアのヒントを投げかけていて、とても充実した授業という印象を受けました。

池澤さんと学生さんでオープンデザインについて考える

授業終了後、オープンデザイン実践の授業でコーヒーの淹れ方を制御する「完全2人用だれでもスタバのお兄さんシステム」を制作中の髙彦祐紀さんに、お話を伺うことができました。聞き手は池澤さんです。

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池澤さん:この授業では、Open Web Boardを使ってWebとモノとの連携がメインのテーマにあると思うのですが、「完全二人用だれでもスタバのお兄さんシステム」がWebにつながるメリットはどういうところにあるんですか?

髙彦さん:たとえば、芸能人の方が淹れるコーヒーって気になりませんか? 僕はコーヒーはコミュニケーションツールのひとつだと思っていて。「このコーヒー、芸能人の●●が淹れたコーヒーなんだよ」なんて会話が広がるかもしれないと思っているんです。そのために、Web上にさまざまな人のコーヒーの淹れ方をデータベース化して、誰もがダウンロードできるようになればいいなと思っています。

池澤さん:ドリップ式のコーヒーにはいろいろな淹れ方があるんですか?

髙彦さん:あります。豆の煎り具合とか挽き方にもよりますが、プロの方はそれぞれのこだわりで淹れているんですよ。ただひとつの正解があるわけではないというか。いろいろな淹れ方を試して、自分でおいしいと思った淹れ方を誰かと共有できるのは楽しい気がするんです。

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池澤さん:出力デヴァイスはどうするんですか?

髙彦さん:入力時は光でわかりやすくしているんですけど、出力には向いていないなと思っています。

池澤さん:入力デヴァイスと出力デヴァイスが一緒のほうがいいと思うんです。

髙彦さん:間違いないですね。でも光の軌跡ではわかりづらくないですか?

池澤さん:今いれてね!っていうタイミングで光るとか。

髙彦さん:回しがけの有無が、特に光では表現しにくいかなと思っていて。でも、LEDをドリッパーの周囲につけて、光がくるくるって回ればわかりやすいかもしれませんね。

池澤さん:回しがけしてるよって表わすくらいでもいいんじゃないですかね。

髙彦さん:赤は回しがけ、青は止めてという感じでLEDがあってもおもしろいですね。

池澤さん:いろいろ展開がありそうで楽しみですね。今日はありがとうございました。

髙彦さん:ありがとうございました。

ーーさすがに同じジャンルの勉強をしてきた者同士、話が弾んでいる様子。僕は完全文系の人間で、理系の知識はあまりありませんが、学生たちの柔軟なアイディアは聞いているだけでもワクワクするものが多かったように思います。

池澤あやか的オープンデザインとは

さて、SFCでの授業見学もそろそろ終わり。今日一日で、IoTやWoTを始めFirefox OS、Open Web Board、Gluinといったオープンソースなツールについて知ることができました。

久しぶりに母校を訪れた池澤さんは、どのように感じたのでしょうか?

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ギズ:今日はお疲れ様でした。オープンデザイン実践の授業を聞いて、どうでしたか?

池澤さん:全体的にはおもしろかったと思いました。今回の授業は、身近な人にプレゼントするというコンセプトでしたが、大衆ではなく個人に向けたものを作る文脈の人と、Webを拡張するという文脈でやっていた人と両方いた感じがしましたね。「SHIO」は顕著で、ヨット部の下級生というピンポイントな人に向けて作った日曜大工的な雰囲気がしました。逆に、Webと体温を連携させるものは、割と汎用的な印象です。Webに体温というものを与えたら何が起こるのかということを想像させてくれますね。体温が高い人だけが参加できるSNSができたり(笑)。

ギズ:池澤さんがオープンデザイン実践の授業を受けたとして、どんなアイディアを出しますか?

池澤さん:急には思いつかないのですが、今まではネットにつながらなかったセンサーを使ってみたいですね。心拍センサーみたいなものをつなげたり。

ギズ:センサーを使えばデータを取ることは簡単ですが、そのデータをWeb上でどうやって活用するかみたいなことのほうが重要な感じがしますね。

池澤さん:現在は、センサーで取得した値をネットで共有できるようになりました。その“共有”という概念をどう捉えるかですね。

ギズ:髙彦さんのコーヒーの淹れ方を示すデヴァイスもそうですけど、センサーから得た値を元にデータベースを作っていくというのも新しい考え方ですよね。

池澤さん:仕草やふるまいをデータベース化するのは新しいですね。これまで所作のようなものはデータベース化することができませんでしたが、センサーとつながることで蓄積が可能になっていくのかなと思います。特に、Open Web Boadはネットとの親和性が高いので、実現しやすくなるのではないでしょうか。

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ギズ:Open Web Boardで採用されているFirefox OSに、池澤さんはどんなことを期待していますか?

池澤さん:今まで、スマートフォンのアプリのような企業や専門的な知識が必要なIoTやWoT的なデヴァイスが、個人で気軽に作れるところですね。Gluinという開発ツールを使えばGUIによるプログラムができるので、自分でコードを書かなくてもマウスで画面をくりくりいじっていれば、ネットとつながる何かを作れると思うんです。それはすごい大きな進歩だと思います。今後Firefox OSが発展してきたら、日曜大工的に1点もののアプリとか増えてくるのではないでしょうか。

ギズ:プログラムは一部の人しかできないというのが一般的な認識ですけど、その意識を変えてくれるのがFirefox OSかもしれませんね。

池澤さん:これまでも簡単にプログラムが組めるというツールはあったんですが、やはりまだハードルが高いものが多い。しかし、Firefox OSはGUIベースでできるので、敷居は下がっていると思うんです。まだ誰もができるわけではありませんが、ちょっとやる気があればできるレヴェルになってきているのかなと。まだサンプルコードも少ない段階なので、これから増えていくとこれとこれを組み合わせてこれができるというように、自分でいちからやらなくても、既存のコードを組み合わせることで何か新しいものが生まれやすくなると思います。あとは、Open Web Boardが小型なことも重要ですね。小さければ、いろいろなものに埋め込むことができるようになります。ぬいぐるみやアクセサリーに埋め込むことも簡単になりますよね。あとは、使う人が増えていくと引っかかるポイントがいろいろ出てくると思うんですが、そのときにわかりやすく教えてくれる人がいればいいなと思います。

ギズ:今日は長い間ありがとうございました。

池澤さん:ありがとうございました! これから筧研究室に遊びに行ってきます!!

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池澤さんの言葉にもある通り、Firefox OSというオープンなWeb OS、そしてそれを使った開発環境であるOpen Web BoardGluinが登場したことにより、Webと連携した新しいものづくりがグッと身近になる可能性が生まれました。あとは、今までにない斬新かつ楽しいアイディアとちょっとだけのやる気があれば、世界にひとつしかない自分だけの“モノ”が作れるようになるはずです。

そんな開かれた“Webの未来”の入り口となる、Firefox OS搭載のスマートフォンは、12月23日の「au Firefox OS Event」で発表される予定です。

いったいどんなスマートフォンなのか、どんなOSなのか、そしてどんな未来が待っているのか。その答えはもうすぐです。

source: Firefox OS, KDDI, au Firefox OS Event

(三浦一紀)