今テレポーテーションに最も近い3Dプリンター

痛そうなので、この方法でテレポートしたいとはまだ思いませんが。

3Dプリンターを、最も初期のテレポーターと見る人は少なくありません。しかし唯一の問題は、物体をAからBに移動させているわけではなく、同じものを複製しているにすぎない事です。そういう意味で、この「Scotty」はテレポーター(スター・トレック好きにはトランスポーター)にもう一歩近づいた物になるかも知れません。というのも、このプリンターは複製するだけでなく、オリジナルを破壊するのです。

ハッソ・プラットナー・インスティテュートで開発されたScottyは、実は市販のMakerBot Replicator 2台に3軸のミリングマシンカメラ、そしてプリンター同士がセキュアにやり取りする為の暗号化ハードウェアを取り付けた物です。

転送する物を送信側のプリンターに設置すると、プリンターは上部からカメラで写真を撮って分析し、データを受け取った受信側はそれに従って最初の薄いレイヤーを作ります。

ここからがこのプリンターのユニークなところで、送信側はその後、ミリングマシンでオリジナルを削っていきます。そして一番上の表面を削り終わるとまた写真を撮り、分析結果を受信側に送って新たなレイヤーの作成が始まります。これをオリジナルが完全に削られてなくなるまで繰り返す事で、結果として受信側に3Dプリントされたコピーのみが残り、テレポートが完了するのです。

今テレポーテーションに最も近い3Dプリンター 1

しかし、複製の復元度は決して高くありません。全体を3Dスキャンせず上から一枚一枚写真を撮っているので、完成したものはコピーを更にコピーしたような粗さが目立ちます。このようにScottyが実用に至るにはまだまだ改善が必要ですが、そこには大きな可能性があります。

Scottyの設計者達は、eBay等で商品を購入して、郵便が届くまで1週間も待てないような人達にこのセットアップが適していると考えています。購入した商品を売り手がスキャンして送信し、オリジナルは消滅させます。そしてデータは買い手の3Dプリンターに即座に届き、複製のみが手元に残るわけです。

今テレポーテーションに最も近い3Dプリンター 2

また、この方法ならば、3Dプリンターの台頭と共に発生した所有権や著作権の問題も回避できるかも知れません。音楽を無限に複製してシェアできるナップスターの登場は、音楽業界をパニックに陥れました。勿論、データをダウンロードしてiPhoneを3Dプリントできるわけではまだありませんが、技術の進歩と共にそれが現実となる日が来る事を危惧する声も多いのです。でもScottyのシステムであれば、そこは問題になりません。

SFのテレポーターを現実のものとする意味では、Scottyのコンセプトは正しい方向に見えます。FedExやUPSが身の危険を感じるまではまだまだ時間がありますが、このまま研究が進めば、複雑な運送状に記入するなんて事は過去の物になる日が来るかも知れませんね。

source: Stefanie Mueller - Scotty

Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文

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