アスリート御用達の血液検査で「体内年齢54歳」(実際は31歳)って言われた件

アスリート御用達の血液検査で「体内年齢54歳」(実際は31歳)って言われた件 1

血液検査っていうと、健康診断のときにいくつかの項目で調べられて、コレステロールが高いなーとかそういうのがわかりますよね。でも従来の検査はあくまで病気の兆候を探すためのものであって、健康的かどうか、という視点ではありませんでした。

それとは違い、血液検査で体内年齢を教えてくれて、より長生きするために何を食べればいいかを具体的にリコメンドしてくれるサービスが米国で登場しました。米Gizmodoのメグ・ニール記者が実際試してレビューしていますので、以下どんなものかご覧ください。

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100ドル(約1万2000円)払って血液検査すると、自分に合った食生活改善方法を5つ教えてくれて、寿命を延ばせるサービスって、なかなか魅力的に見えます。でも実際試してみた結果、世に数多ある健康系アプリもそうですが、そのサービスがオススメしてくる内容を正しく受け止めるには使う側にもそれなりの理解力が必要だと感じました。

バイオテック企業のInsideTrackerが新サービスInnerAge(体内年齢)を開始しました。血液検査で寿命と関連の高い5つの項目について指標をチェックします。グルコース、ビタミンD、炎症反応、肝機能、テストステロンです。InnerAgeはそれらに基づいた成績表で「真の年齢」を教えてくれて、さらにそれぞれの指標を改善して「寿命を延ばす方法」も指南してくれます。

検査の結果、私の体内年齢は54歳で、実年齢の約2倍でした…。この推定の根拠は、グルコースがちょっと高くて、過去の研究では血糖値が高いと短命になる傾向があったことです。言い換えれば、ピザとクロワッサンに目がない分だけ、他の人より棺桶に近づいてるってことです。

InsideTrackerでは、体内年齢推定結果から、指標を改善して「年齢を逆戻りさせる」ために役立つ5つの食品をオススメしてくれます。私の場合、アボカド、白インゲン豆、カブの葉っぱ、カボチャ、ブラックベリーでした。

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なんだかシンプル過ぎる感じです。というか、余命予測は長い間多くの科学者が試みてはあまり成功せずにいる悩ましい課題なんです。でもInsideTrackerには医療界トップクラスのプロがたくさんいて、寿命や栄養関係の最新研究を反映したアルゴリズムを作っています。そのうえで既存の統計データとユーザーの検査結果を比較することで「体内年齢」を算定しているので、科学的根拠はちゃんとしています。

とはいえ、そのアルゴリズムをどこまで信用するかはユーザー次第です。私の例でいえば、グルコースが最適値より若干高いってことが、「54歳」という結果に至った唯一の根拠でした。これじゃなんだかマユツバです。でもこの結果を友だちに話したら、あっさりこう言われました。「ちゃんと受け止めたほうがいいんじゃない? アルゴリズムがちょっと間違ってたとしても、多分実際より10歳とか老けてるってことだよね。」

つまりこれがInnerAgeを利用する意義なんです。残念なデータを直視することで、ライフスタイルをもっと健康的にしようと決意できるなら、それは有用です。そしてInsideTrackerでは、お金をたくさん払えばもっと深い分析ができます。

500ドル(約5万9000円)払うと、鉄分とかカルシウムとかコレステロールとか、30項目について検査してくれます。12項目で150ドル(約1万8000円)というオプションもあります。どちらも栄養素についてより詳細な報告書を出してくれて、自分に合ったオススメをしてくれます。プロのアスリートがパフォーマンスを最大化するために行うような深い分析で、実際InsideTrackerはバスケやアメフト、野球のプロリーグ選手や五輪選手も利用しています。

つまりInsideTrackerは、プロ向けの血液検査を健康意識の高い一般の人向けに売りだしたってことです。この種の血液検査は、病院でも健康診断のときなんかに頼めばやってくれますし、23andmeみたいなDIYでできる遺伝子検査も一般的になりつつあります。InsideTrackerがユニークなのは、従来の検査が主に病気の発見を目的にしているのに対し、InsideTrackerは睡眠とか食生活といったライフスタイルで改善できる健康度を測定しようとしていることです。InsideTrackerは、ユーザーの自己健康管理をデータでサポートすることを目指しているんです。

「我々は、みなさんには従来の科学・医療コミュニティで手に入る以上のものが必要だと考えています。」InsideTrackerの創業者で社長のGil Blander氏はこう語りました。彼はこのサービスを車の定期点検になぞらえていて、車と同じように数ヵ月ごとに血液検査することを推奨しています。

やり方はシンプルです。私の場合、Gizmodoのオフィスに出張看護師さんがやってきて、血液を小さな容器にいくつか採取し、数日後には結果が送られてきました。結果のチャートはきれいに色分けされていて、読みやすいです。赤いゾーンはすごく高過ぎか低過ぎ、オレンジは「標準」だけど理想ではない、緑は最適、という具合です。

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データを眺めて自分のライフスタイルを反省するのは、自虐的になりながら楽しくもありました。そして結果が正確だとすれば(これについてはまたあとで書きますが)、オススメ食品ガイドは便利です。漠然と「もっと野菜を食べましょう」みたいに言われるんじゃなく、ビタミンB12と鉄分レベルがすごく高い、みたいなことがわかるので、じゃあそういうサプリは飲まなくていいんだね、といったアクションにつなげられます。あとは「善玉コレステロール」が低いので、ナッツとかオリーブオイルをもっと摂らなきゃいけない、とか。

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シンプルだし、興味深いです。でもデータドリブンな健康アプリは、往々にしてミスリーディングで、危険ですらありえます。これのせいで病院に行く気をなくして、そのために病気を見逃してしまう人もいるかもしれません。結局、直接顔を合わせて全体の状態を確認してくれるお医者さんと比べて、アルゴリズムってどれだけ正確たりえるんでしょうか?

さらに、専門家も懸念している点ですが、自己分析しまくって「健康のために死んでもいい」みたいにになってしまうと、それがかえってストレスになります。また、栄養素に関するいろいろなガイドラインとか学説自体も大きな問題をはらんでいます。

InsideTrackerでは、このサービスが病院代わりにはならないとはっきり断っていますし、このサービスで異常な結果が出たら医師に伝えるべきです。ただしBlander氏は、「医師がもうけるのは患者が病気のときであって、健康なときではない」とも指摘しています。

今の医療システムでは、いろんな項目に関して血液検査をするとその分お金もかかりますし、効率が悪いです。だから医師は予防医療に重点を置いていて、危険な徴候を探して「病気がないか」という視点で検査します。Blander氏は、データドリブンな健康アプリや、政治が予防医療に注目し始めたことによって、この流れが変化しつつあると考えています。「基本的に、ふと世の中は病気ではなく健康にフォーカスしようとしているんです」と彼は言っていました。

でも、どんなアルゴリズムにも真似できない医師の重要な役割とは、人と人との対面での会話です。私自身、このことを身をもって感じました。

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というのは、私の検査結果では「炎症の指標」とされる白血球の数値が何じゃこりゃってくらい低くなっていました。InsideTrackerのWebサイトにある解説を読んでも不安は解消せず、狂ったように検索しまくって原因を調べてやっと、炎症は鼻風邪のときに起きることがわかりました。そういえば、血を抜かれているときまさに鼻風邪だったんです。お医者さんなら鼻風邪と白血球の関係がすぐにわかったはずですが、アルゴリズムはそこまで教えてくれないんです。

で、最初に書いた結論にたどりつきました。InsideTracker、または今あふれているあらゆる健康やフィットネスアプリは、正しく使えれば役立ちます。必要な理解力をもって使えば、食事や運動、睡眠といった選択に関する意識を高め、情報武装させてくれる新たな手段になります。悪いことではありません。余命予測は若さを取り戻すための魔法ではありませんが、自分を科学的に律するための道具にはなりえます。でも結局、寿命を伸ばすも縮めるも、与えられた情報を元に自分が何をするかってことなんですよね…。

All screenshots via InsideTracker

Meg Neal - Gizmodo US[原文

(miho)