実は90年前から存在した、セルカ棒の歴史

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最近よく目にするようになったセルカ棒ことセルフィースティック。でも実際には何十年も前から、それこそ第二次世界大戦よりも昔から存在するんです! そのセルカ棒について、特許の歴史なぜ最近になって流行りだしたのかちょっと探ってみましょう。

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セルフィースティックの歴史

まずはセルカ棒の特許の歴史からひも解いていきましょう。

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Apparatus for supporting a camera and method for using the apparatus, filed in 2006 by Wayne G. Fromm.

こちらとトップ画像は2005年に申請された特許番号US7684694 B2、ウェイン・フロムさんによるセルカ棒的なもの。これに特許が与えられたのは2010年ですが、New York Magによればフロムさんは2000年代はじめに旅行していて思いついたそうです。巷に出回っているセルカ棒はこれの類似品っぽいものですが、フロムさんはそこから特許料をもらうこともできず「まるで子供をさらわれたよう」だと感じているんだとか。でもたとえ「類似品」であり、同じようなコンセプトを元にしたものであっても、それが特許を侵害していることになるとは限らないんだそう。

そして、このセルカ棒はフロムさんだけではなく、同時期に複数の人により特許申請が行われているんです。FacebookやInstagramなど、SNSの普及によりセルフィーを撮る人が増えたからでしょう。フロムさんが特許申請した3週間後には似たようなデヴァイスが特許申請されています。

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Retractable camera arm, filed by Michael Daoud, John R. Stump in 2006.

しかしもっと歴史を振り返ってみれば、20世紀はどの時代にも、セルカ棒的なものが存在していました。例えばこちらは、1988年の特許で、ポータブルなブームアーム。高い位置から撮影できるとともに、手元には内容を確認できるモニターもついています。

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Portable video camera/monitor support, filed in 1988 by Donald N. Horn, Bern Levy.

また、1995年にアメリカで出版された「使えない日本の発明品」という本には日本のセルカ棒が収録されています。

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Image: Imgur

デジカメなんか存在しなかった時代にも、セルカ棒は存在しました。数週間前にBBCが紹介しているのは、今から90年も前、1925年に撮影されたセルカ棒のようなものが写り込んだ写真(杖でカメラを支えて撮った写真らしい)です。

鳥瞰視点セルフィー

人々は、ただセルフィーを撮るだけには飽きたらず、自らのオシリを写すべルフィーや、ドローンを飛ばして上から撮影したり、ある意味では衛星写真も私達を含んだ光景が撮られるセルフィーと言えるかもしれません。そして、中には高層ビルの頂上や山のてっぺんなど、目のくらむような所からセルフィーを撮る人たちだって存在します。でもなぜこんなにも自らを、鳥のような視点から撮影したいのでしょうか。

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技術/デザイン評論家のリチャード・コインさんは、高層ビルの頂上に登ってセルフィーを撮る若者たちのことに関してこう語っています。

それは雄大さを現代的でダイナミックに表現したものだ―カスパー・ダーヴィト・フリードリヒなどの画家が描いた象徴的なロマン主義絵画の増幅された変化形なのだ。

その一方でコインさんは自身の著作「Technoromanticism: Digital Narrative, Holism, and the Romance of the Real」の中で、建築評論家のマイケル・ベネディクトさんからのこの言葉を引用しています。

機会と脱出を写した写真が爆弾のようにそこかしこに投下するのは、自由と充実した人間の人生そのものを捉えたもの、それが万華鏡のようになりめまいを起こさせる。このような状況下では、現実そのものの定義が不確かなものとなる。リテラシーの新たな形態と、適応への新たな手段が必要とされているのだ。

つまり、現代の我々は、過去数十年前にはできなかったような角度、奥行きを持ち、世界を見ることができるようになったということです。我々自身を自らが見る方法だってその形態が多様化してきています。15世紀の絵画の新しい見方/表現方法だってそうでしょうし、『Second Life』にアバターを持つことだってそうでしょう、北朝鮮のハッカーにだって同じことが言えます。

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自己の可視化方法が多様化する中で、一番手っ取り早く、お値段もお手頃なのがセルフィースティック/セルカ棒なわけです。近年現実世界とデジタル世界を繋ぐためのデバイスが多数開発されてきていました。ドローンやグーグル・グラスもまさにそれなのですが、セルカ棒の素晴らしいところは、ドローンやグーグル・グラスのような複雑さも技術も必要としない所。

だれが作ったのかなんてことは重要でなく、重要なのはこれが複雑な問題を非常に単純な方法で解決したところです。セルカ棒はただの棒きれと同じ「名無し」の物体であり、生み出されたのはそれそのものではなく、それまでそれなしでは撮り得なかった「写真」なんです。撮れた写真がどれだけバカバカしいか、それともカッコイイか、それはさておきそこに映るのはあなたの本物の人生の瞬間。

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とは言っても、傍目からはダサく見えるでしょうが、でも人生に正直なダサさです。セルカ棒に万歳。

lead image by Camera Steadying Device, filed in 2012 by Wayne G. Fromm.

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US [原文

(abcxyz)