このARグラス、ジェームズ・ボンド級

このARグラス、ジェームズ・ボンド級 1

2つのジェームズ・ボンド映画で使用された水中を走るボンドカーを作り、ボンド映画のキャラクター「Q」 を地でいく人物として知られるRalph Osterhout 氏。暗視スコープを兵士が身につけられる大きさにまで小さくした人であり、90年代にアメリカで人気のあったおもちゃ Yak BakTalkBox F/XPowerPenzなどを開発した人としても知られています。そしてなんと今度はOsterhout氏の経営するOsterhout Design Group がグーグルグラスの競合となる製品を開発しました。

ODG Smart Glassesというこの製品、基本的にはクアルコムの高性能プロセッサ Snapdragon 805チップが搭載されたウェアラブルなAndroidタブレットです。タッチスクリーンの代わりに透明なスクリーンがついており、2メートルほど目の前に55インチの3D スクリーンが浮かんでいるのと同等の視覚効果が得られます。720P のマイクロディスプレイレンズが使用されており、このグラスはソニーの HMZ T-1 のように、自分専用の3Dシアターとして使うことができます。しかもコードレスです。また、5メガピクセルのカメラとたくさんのセンサーを使って、デベロッパーが思い描くありとあらゆるARアプリを楽しむことができるでしょう。

このARグラス、ジェームズ・ボンド級 2
現行のR-6。一般コンシューマ向けではありません。

この手の製品にありがちなように、まだソフトウェアはありません。見た目もちょっとダサいです。サンフランシスコにあるOsterhout Design Groupのオフィスでこの製品のデモを見てきましたが、その時見たものは装着して頭を回すとヨセミテのハーフドームの3Dパノラマ画像が見れたり、地図を見ているとドローンで空撮した山脈が見えるなど、マーカーにカメラを向け続けているとカクカクしたARのデモが見られるというような、本当に基本的なデモでした。よくありがちな状況認識などです。

このARグラス、ジェームズ・ボンド級 3

しかし、それでも興味を引かれたのは、そのデモが実際に出荷されるハードウェアで行われていたからです。グーグルグラスの競合と言われる製品を作っているMetaやAtheerといった企業とは異なり、Osterhout Design Groupは製品を商品化しています。同社は、重さ5.5オンス(約156g)、5,000ドルの高耐久性ODG R-6をアメリカ国防総省を含む顧客に既に数千個販売しています。また、1,000ドル以下の販売価格で一般コンシューマ向けに製品化できると述べています。

このARグラス、ジェームズ・ボンド級 4
ワイヤレスのリング型コントローラ。グラス本体にオプティカルトラックパッドもついている。

デモで試したグラスは、付け心地がすごく良いというわけではありませんでした。視界が狭く感じ、グラスは前の方がすこし重く、デモの最中には額に気持ち悪い温かさを感じていました。高耐久性ODG R-6の前面は全体が機器の放熱版として機能していますが、まさにその必要性を実感しました。

しかし同時に、このグラスは今まで試したどの製品よりもよく考えられた、本物らしい製品だと感じました。グラスのつるは折りたたみできるので、ケースにコンパクトに収まります。鼻パッドは調節が可能です。度付きレンズも、磁気アタッチメントのイヤホンも、本体にぴったりはまります。両方のつるに埋め込まれた650mAhバッテリは1日以上持つそうです。高度なARアプリを使用すれば、1時間程度でバッテリ切れになってしまいますが、そのためにスワップ可能なバッテリモジュール付きの高耐久性外付けバッテリパックも用意されています。全てがとてもガジェット的です。

このグラスを使う人たちは、24時間身につけたまま街を歩いたりするでしょうか、という質問に Osterhout Design Groupの最高執行責任者(COO)であるPete Jameson氏は首を横に振り、こう答えました。

このグラスは特定のタスクを達成するため、ある一定の時間だけ使うことを想定して購入されるでしょう。私たちはそう考えています。

ジェームズ・ボンドもオペレーション実行中にはこのグラスを使うかもしれませんが、その後バーでお酒を飲む時には身につけていかないでしょう。

このグラスの開発に同社はこれまで6年の歳月と6,000万ドルの費用を費やしています。興味深いことに、マイクロソフトが1億5千万ドルで特許を購入しています。

4年前のこの動画では、Osterhout氏がテクノロジーに関するビジョンを語っており、彼らが何をしようとしているのか、うかがい知ることができます。Magic Leap ではありませんが、それでもすごくクールです。

「リアルQ」こと Ralph Osterhout氏についてもっと知りたいという方は、英語ですが、1999年のWiredでの特集や2001年のNew Scientistでのインタビューもチェックしてみてください。

Sean Hollister - Gizmodo US[原文

(山田まり)