「搾取され裏切られた」モンスター社、Dr. DreのBeatsを提訴

「搾取され裏切られた」モンスター社、Dr. DreのBeatsを提訴 1

この裁判の行方、モノづくりに関わる世界中の人々にとって他人事ではありませんね。

1月初旬、街でもよく見かける「Beats by Dre」の製造元 Beats Electronics社をモンスター社が訴えました。同社の主張によると、Beatsを発明したのはモンスターであり、Beatsはその資産を持ち逃げしたということです。

モンスターがあのヘッドフォンをデザインしたことはずっと前から明白でした。でも、この問題の争点は、Dr. Dre氏が得たモンスターマネーに対して、同社が法的に何かしら主張できるのかという点なんですよね。どういうことか、少しずつ紐解いていきましょう。

Beats by Dreは、音響エレクトロニクスのエキスパートであるモンスターが設計したヘッドフォンを、毎年何百万台と売り上げていました。2012年、Beatsはこれまで一緒に歩んできたモンスターを締め出し、昨年夏にアップルが30億ドルで買収するまで自分たちだけで商売をやってきました(HTCがほんの短期間だけBeatsの株式を50%程度取得していましたが、Beatsは売却直後にかなり安く買い戻しています)。

単にビジネスの取引が上手くいかなかったのか、あるいは2社間における契約の暴力が存在していたのか。この事件はどちらでしょうね。

サンマテオにある州裁判所に堤出された訴状(記事文末に添付)では、Dr. Dre氏がBeatsの共同創設者Jimmy Iovine(ジミー・アイオヴァイン)氏と結託し、2012年に二社が袂を分かつ際にモンスターのCEO、Noel Lee氏を搾取して「裏切った」と強い主張がなされています。

ギズモードでも2年前に報じたとおり、この2社の分離は決して友好的なものではありませんでした。Dre氏とIovine氏は資産価値のあるブランドを持って立ち去りましたが、Lee氏は、能力こそあれ頼りになるヒット商品を持たない会社へ取り残されます。

モンスター(「モンスターケーブル」)はHDMIケーブルを作るのにとても優れていて、ミュージシャンにも重宝されていました。同社はBeatsにハードウェア・デザインを提供しましたが、最終的にプロダクト成功の決定打となった「ブランディング」部分ではなかったんですね。

下記に引用するSam Biddle記者の記事は少し長いですが、今まさに始まろうとしているリーガル戦争をパーフェクトに言い表しています。

どちらも勝者なることはありえない。モンスターはBeats Electronicsを生かしたままヘッドフォンを出荷することには合意する意思を固めているが、それと引き換えに「巨大な権利を放棄」することが大前提だ。JimmyとDreが率いるBeats側は、モンスターが開発した全ての恒久的所有権を保持するだろう。どのヘッドフォンも、どのヘッドバンドも、どのイヤーカップも、どのドライバーも、どのリモートコントロールも… もしBeats By Dre関連の金属パーツやプラスティックパーツがあれば、(CEOの)Noelも(息子の)KevinもJimmyとDreに屈しなければならない。モンスターはプロダクトの流通はもちろん、生産に対しても完全に責任を負っている。これは勉強代がかなり高くつく取引のターニングポイントだ。困難な仕事になる。

言い換えれば、モンスターはIovine氏とDre氏がクールなブランドつくりを行っている間に大変な仕事はすべて引き受けていた形になります。

法的な話をすると、今回の訴訟ではとくにHTCによる株式取得が不正行為であったという主張がなされており、訴状でも「株式取得を偽装」したと言及されています。会社の大部分の株をほんの一瞬だけHTCに売却することによって、Dre氏とIovine氏はモンスターが所有していた5%の株を強制的に売却させることができました。そしてその1年後、Dre氏とIovine氏はHTCからありえないディスカウント価格で株を買い戻したのです。

モンスターはもういません。しかしBeatsは、製造から流通に至るまでモンスターが培ってきた産業ナレッジはもちろん、モンスターによるデザインも所有したままです。

米ギズモードに宛てられた声明において、モンスターの顧問弁護士は今の状況を次のように描写しています。

「訴状でも申し上げたとおり、今回の提訴はコンシューマ・エレクトロニクス業界における企業の計画的な背信行為から発生しております。(中略)この提訴は、モンスターの知的財産だけでなく「Beats by Dre」製品を成功に導いたモンスターの目覚ましい専門性を不正に奪った一連の謀略および行為に関与した被告(Jimmy Iovine氏やDr. Dre氏を含む)に対し、申し立てを行うものです」

明らかにモンスターの切られ方は惨めですよね。しかし、Dre氏とIovine氏のビジネスは違法に動いていたのか。あるいは、商才に欠けたモンスターが自ら呼び込んだ結末だったのか。みなさんはどう思われましたか?

212 2015-01-06 Monster Complaint

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文

(Rumi)