最先端GPSで南極の氷をリアルタイム観測

最先端GPSで南極の氷をリアルタイム観測 1

過去10年程、地球温暖化で南極の氷が溶けて海の水位が上がっているというのが国際的に問題になっていますよね。そして、今後2世紀近くにわたって氷の溶ける速度が速くなると予想されています。でも従来の観測方法で氷が溶ける速度をリサーチしようと試みる研究は、なかなかうまくいっていないようです。その問題を解決するため、ブリュッセル自由大学の Laboratorie de Glaciologie (氷河学研究所)が氷床をモノのインターネットにつなぎ、南極の氷をリアルタイムで観測できるようになりました。

従来の観測方法は、 氷床がゆっくりと海に沈み、分離する速度を衛星写真データによってモニタリングするというもの。この方法では、氷床が移動する様子のスナップショットしか手に入りませんでした。そこでブリュッセル自由大学の研究者たちは、より正確でタイムリーな観測を行うために、南極東側のドローニング・モンド・ランド地域にあるロア・ボードワン棚氷にGPSセンサーとフェーズ・センシティブ・レーダーを設置しました。これによってリアルタイムで氷床の動きを観測し、気候学者に週間ではなく日々の観測情報を伝えることができるようになりました。しかも、そのデータはこのプロジェクトの Twitter アカウント @TweetingIceShelf によってインターネット上に公開されています。

2014年12月はじめには、3つのGPSセンサーが棚氷の深さ15メートルのくぼみに設置されました。このくぼみは、棚氷の氷が下の方から溶けて表面下に大きな空洞が複数できたことによって岩盤から海へとすべり落ちた際にできたものです。GPSセンサーは1時間ごとに互いの相関的な位置を記録し、1日に2回衛星電話のデータリンクを使ってデータをアップロードしています。

最先端GPSで南極の氷をリアルタイム観測 2
南極の雪の中に埋められる前のフェーズ・センシティヴ・レーダー

また、研究チームは、 同じくぼみにフェーズ・センシティブ・レーダーを設置し、深さ150メートルの表面下にある空洞の大きさなど、棚氷内部の構造をより詳しくモニタリングしています。プロジェクトのウェブサイトでは次のように説明されています。

レーダーの信号は氷を通って送信され、海水に触れると反射します。2つ目のアンテナが、氷の不純物や密度の高い氷の層を通過することで弱められる反射した信号を受信します。フェーズ・センシティブ・レーダー(pRES)はこの氷の層の位置変化を検知することができます。そのため、棚氷の内部の動きを検知することができるようになります。それ以外に、棚氷との接触による変化や、氷が溶けているかどうか、どのくらい、そしていつ溶けたのかが正確に検知することができるようになります。

BELARE (Belgian Antarctic Research Project - ベルギー南極リサーチプロジェクト)と呼ばれるこのプロジェクトは、今年12月まで継続される見込みです。

image by Antarctic Station、UBL

source: Blogspot - UBL - Wiley

Andrew Tarantola - Gizmodo US[原文

(山田まり)