人間の腕ほどのボルトが次々と落下するロンドンの最新ビル

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通称チーズおろし(Cheesegrater)と呼ばれる総ガラス張りのくさび形をしたこのビルは、224mというロンドン屈指の高さを誇ります。しかし残念なことに、いまそのビルに安全上の問題が浮上しているのです。

先日、このビルのオーナーは、ビルを支えている高強度鋼製ボルトが「水素ぜい化」により折れたことを明らかにしました。いつ折れたのかは明らかではありませんが、この問題はビル全体に及ぶ可能性があるかもしれないのです。

Leadenhallビル、いわゆるチーズおろしは昨年完成したばかりです。ロンドンの空の風景を変える高層ビル群の1つとして記憶に新しいでしょう。昨年11月、2本の人間の腕ほどある大きさの高強度鋼製ボルトが壊れ、地面に墜落しました。このビルは、今回墜落したのと同様のボルト約3,000本によって支えられています。英ガーディアン紙が報じたところによると、そのうち約数十本が現在取り替え作業中とのことです。

しかし、この対応には問題を感じざるを得ません。既に3ヶ月間で3本のボルトが破損しています。今回は少なくとも事前に繋がれていたため、落下を防ぐことができたのが不幸中の幸いです。

どうしてこのような事態になったのか。高強度鋼製ボルトは名前とは裏腹に、水素ぜい化によって低強度のものよりも脆くなってしまったと言えるでしょう。Grobal Construction Reviewはこの問題に対しこう説明しています。

この高強度鋼製ボルトの劣化の仕組みは、水素原子単体が鋼材に侵入すると結晶格子の中を移動し、最も負荷がかかっている部分に引き付けられます。そしてその部分で小さなヒビを発生させ、それが増えることでさらに水素原子が集まり、最終的には今回のような大きな損傷につながるのです。

長期的に建物全体に歪みが生じるようなものなら定期検査で発見できますが、それとは違い、こうした高強度ボルトは外観は完全に問題無く見えるのに、ある日ある時突然壊れます。また、ボルトは既に設置済みである上、検査しても小さなヒビがあるかを見分けるのがとても困難です。ゆえに、このビルのオーナーはとても厳しい状態にたたされていると言えるでしょう。

高強度ボルトによってこのビルの外観はなめらかでとても美しく見えますが、だからといってボルトの雨が降ってくるのは誰も望みませんよね。

Photo credit: Oli Scarff/Getty Images

source: Global Construction Review

Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(小山和之)