テレビは「ありのままで」

テレビは「ありのままで」 1

アクオモーション、アクオディミング、自動奥行き調整、黒レベル調節、クリアアクションシステム。これらは、現在発売されているテレビをより綺麗にみせるための機能名です。これらの機能のおかげで、画像は綺麗に見えるようになりましたが、実物とかけ離れてしまう例もちらほら。

綺麗にみせること」。サチュレーションレベル、彩度を上げ、コントラストは高めで、画像はシャープに。テレビ製造会社の思うがままに処理される映像。せっかく安くないHDTVを買ったんだから、はっきりくっきりと色彩豊かな映像を楽しみたいのは当たり前のことかもしれません。しかし、鮮やかだから「良い」ってわけじゃないんです。逆にこれらの機能が画像を悪くしてしまう場合もあるんですよ。

一番タチの悪い設定はモーション補正。製造会社によって様々な名前で呼ばれています。例えば、ソニーならモーションフロー™、ビジオならクリアアクションなどなど。一般的には「テレビドラマ効果」とも呼ばれています。

これはどんな機能かというと、フレームとフレームの間に偽物のフレームを作り、フレーム数を増やす事で映像の動きをスムーズにします。しかしこれが悪の根源なんです! テレビで放映されている番組のフレーム数は、訳があってそのフレーム数に設定されています。例えば、スポーツ番組は一般的にプレイヤーの動きを捕らえるため高いフレーム数が設定してあります。逆に、ドラマや映画はシネマ的イリュージョンを演出するために、比較的低いフレーム数が設定してあるのです。モーション補正は、こういったルールを無視してフレーム数を増やしてしまうため、安っぽい昼ドラマのようになってしまうのです。

モーション補正以外にも、今のテレビには視聴効果を補正し、より3Dに近くなるような機能が搭載されています。そのひとつに黒補正という機能があります。黒をより黒く映し出すことで、奥行きのある映像を。逆に、黒を明るく出すことで画像を大きく見せる効果があります。HDTVが世の中に出回り始めた頃は、HDTVの機能をフル活用して、綺麗な画像をより綺麗にすることが良しとされていましたが、時代は変わっていきます。より繊細な色を出せるようになった今では黒補正のような機能を使っても、いい効果を期待するのは難しいかもしれません。一昔前のHDTVが映していた「飛び出る」効果はコンテンツの視覚モードを変えるだけで、制作側の意図を時には無視した画像効果を映しだしていました。

下のGIF を見てみてください。ほとんどのテレビが売り物としている「鮮やかな色」と、それに付随するスマート機能。全ての視覚効果をONにした場合と、OFFにした場合のビフォーアンドアフターが良くわかります。どれだけ不要な機能が搭載されているのかも良くわかりますね。

何度もいいますが、これらの機能を使っても、映像が必ず良くなるという訳ではありません。ちょっとムードの違う映像ができるだけなのです。クリストファー・ノーランの黒を基調にしたバットマン映画をそのまま観るか、ソニーのブラビアで補正をかけて観るか。私はそのままで観たいですね。

せめてもの救いは、こういう補正のトレンドは失われつつあって、いろいろな補正をかけて人工的な画像を映し出すことができるテレビより、より自然に、ありのままの状態を映し出せるテレビが出て来ています。パナソニックのライフプラススクリーンディスプレイは、より多くの、そして繊細な色を映し出せるテレビです。他社もパナソニックに続いて、こういったテレビを作って欲しいものです。

綺麗な映像を出せるテレビのこれからの登場に期待してます、視覚効果じゃなくて。

ここまでいろいろ話してきましたが、視覚効果はリモコンOFFで解除することができるんですよ。また、外部ツールを使って調整することも可能です。Lifehackerのみなさんが作ったガイドを見てみましょう。Xbox Oneをお持ちのみなさんはラッキー。調整ツールがコンソールに搭載されているので、それを使ってより正確な画像がだせます。このツールはテレビの限界を表示し、一定の黒が圧縮されて一つのシェードになります。白にも同じ処理が行われ、調節が可能なところとそうでないところがすぐにわかります。

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あなたが観ている映画を撮影した人、色指定をしたカラーリスト、最終的にOKを出した監督、彼らは、黒くあるべき所は黒く、明るくあるべき所は明るく、サーチュレーションが低いところ、露出値の高いところ、プロ仕様のディスプレイで確かめながら正確に映画を作っています。

そんなこだわりの作品たち、ありのままの姿を映してくれるテレビであって欲しいものです。

Nicholas Stango - Gizmodo US [原文]

(Chiemi)