アップル、サプライヤーでの新人タダ働きを(やっと)全面禁止

2015.02.13 11:45
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

150212_applesupplier.jpg


今まで、工場の人材採用費用が給与から引かれてたんです。

アップルがついにサプライヤーでの「担保強制労働」を禁止しました。アップルに部品などを供給する工場では、従業員採用コストを採用後の給与から差し引いて実質タダ働きさせるやり方が横行してたんですが、今後はそれが認められないってことです。良いニュースですが、タダ働き禁止なんて当然でもあり、逆になんで今まで禁止してなかったの? という感じもします。

アップルが新製品生産に本腰を入れると、サプライヤーの工場では採用祭りが始まります。採用にはコストがかかるので、それを埋め合わせるために工場はただでさえ安い賃金からピンはねしていきます。しかも、採用活動に使われる外部のリクルーターがぼったくり気味なので、採用したての従業員にかなりの額がいきなり借金としてのしかかってきます。アップルは以前から工場に対して過剰なピンはね分を払い戻すよう圧力をかけてきたのですが、今回初めて、このやり方自体認めないという強い姿勢を打ち出したんです。

Bloombergがこの方針変更について伝えています。じつはこの方針、10月から有効とされてはいたんですが、今週アップルの年1回のサプライヤー監査があった中で発表されたんです。

新iPhoneまたはiPadが発表されたら需要に応えるために早急な対応が必要となるアップルの製品リズムでは、突発的な採用が必要とされる。サプライヤーはしばしば外部のリクルーターを使って従業員を探そうとしている。こうした従業員は工場の所在地とは別の国出身であり、雇用と引き換えに費用を請求されるが、それは1ヵ月の給与を超える場合もある

アップルのオペレーション担当シニアバイスプレジデント、ジェフ・ウィリアムズ氏によれば、「借金」を返済しきれない従業員は返すまでパスポートを工場に取り上げられることもざらにあるそうです。

2014年10月、アップルはサプライヤーに対し、2015年からアップルのラインに雇用される従業員から採用費用を請求してはならないと通達した。これによって、1ヵ月の純賃金から差し引いてよい費用はゼロになる。そして従来通り、担保労働を使ういかなるサプライヤーも、外国出身の契約従業員が支払った費用については全額払い戻さなければならない。

アップルとそのサプライヤーの工場における労働条件は、もう何年も批判され続けています。特に大手サプライヤーであるフォックスコンの工場では自殺者が相次いだため、従業員が「自殺しない」という誓約書に強制的に署名させられたというひどい話もありました。その後も工場労働者への扱いは完全に改善したわけではなく、BBCが去年12月に調査したところでも、インドネシアにあるアップルの部品製造業者工場の劣悪な環境が明らかになっています。

今回のアップルのサプライヤー監査では、企業がそのサプライヤーの従業員の扱いにまで配慮し、手を打つ責任があることが強調されています。「我々は、我々のサプライチェーンのすべての人が敬意と威厳を持って扱われるようになるまでやめない」とウィリアムズ氏は書いています。

それはすごく良いことで、つい「さすがアップル」と言いたくなるんですが、ちょっと待ってください。テック企業がこんな悪行を禁止したくらいで、褒め称えてていいんでしょうか? そもそも最初から禁止されていて然るべきじゃないでしょうか。アップルは、サプライヤーの工場8ヵ所ではこのような強制労働があったことを2013年時点で知っていたんです。それは2回も前の監査のことでした。

アップルは工場従業員のただ働きを禁止しただけじゃなく、「紛争鉱物」の製品への利用をやめようとしています。紛争鉱物とは、内戦地域で武装組織の資金源となっていたり、子供や犯罪者を使って採掘されたりしている鉱物のことです。これらを禁止するのも良いことだと思われますが、これまた本来ずっと前にやっているべきことで、逆にまだやってないテック企業はもっと批判されなきゃいけないはずです。

そう、これはアップルだけの問題じゃありません。海外のサプライヤーを使っているテック企業はみんな、今までのやり方を変えなきゃいけないんです。


source: Bloomberg

Kate Knibbs - Gizmodo US[原文
(miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • アップル帝国の正体
  • 後藤 直義,森川 潤|文藝春秋
  • ジョナサン・アイブ
  • リーアンダー・ケイニ―|日経BP社
・関連メディア