アップルが救う? おバカな「スマート」カーの現状

既存の車載システムは、たいてい残念。

この前新しい素敵な車に乗ったとき、その車の車載システムは本来の行き先から40マイル(約64km)も外れた場所に向かおうとしました。そして行き先を修正するのに、15分かかりました。さらにうっかり電話を発信しそうになりました。「スマート」な車の現状は出来の悪い通販コマーシャルみたいにひどいことになっていて、誰かが改善しなきゃいけません。

昨日、ウォールストリート・ジャーナルがアップル極秘の電気自動車開発プロジェクト「Titan」について報道しました。さらにロイターはTitanが自動走行車であり、ソフトウェアにフォーカスしたシステムだと伝えています。

アップルの車を運転するのが人間なのかSiriなのか、そもそも本当に発売されるのかもわかりませんが、はっきりしていることがひとつあります。それは、車載システムをなんとかまともなものにすべきってことです。従来、自動車メーカーがこの手のテクノロジーを開発してないわけじゃないんです。開発してはいるんですが、その中身がひどすぎるんです。

自動車メーカーは、タッチスクリーンや音声認識技術を車に搭載しようと急ぐあまり、それを使う人間のことを忘れてしまったように思えます。今車に載せられたその手のテクノロジーには一貫性がなく、使っていてイライラするばかりです。意味不明なアイコンやボタン、わかりにくく認識精度の低い音声認識、それぞれ独自の機能を持たされたノブやスライダーやダブルクリック、などなど。どれもすんなり使えるものではなく、使う側は結局無視するか、怒鳴りつけるかしかありません。

それでもどういうわけか、フォード車には車からドミノ・ピザをオーダーするアプリが載っていたりします。

1年ほど前のポストですが、プロダクトデザイナーのGeoff Teehanさんが車載UXの状況をまとめています。「デザイン産業の成長や成熟にもかかわらず、多くの自動車インターフェースは最近むしろ退化している」とTeehanさんは書いていて、ダッシュボードの機能が急増していることや、自動車メーカーが従わなくてはならない規制など、車のUXが特にプアである理由を列挙しています。

25万ドル(約2960万円)するマクラーレンのUI。

20万ドル(約2370万円)の新フェラーリのUIがこれ。

一方、ほとんどの大手自動車メーカーはスマートフォンにできることの中でもっとも興味深い部分を無視しています。それは車の健康診断です。Automaticのような小さなスタートアップ企業が、車のエンジンや車載コンピューターから情報を読み取るモジュールを作っています。そのモジュールはプラグアンドプレイでモバイルアプリに情報を渡し、アプリはユーザーがより安全に、ガソリン効率良く運転できるようにアドバイスしてくれます。つまりAutomaticとは、車専用のHealthKitとも言えて、アップルもHealthKitの対象に自動車を入れられる可能性を意識しているはずです。

車載システムをめぐってはユーザー体験とソフトウェア開発の間のどこかにあたる未解決問題が山積していて、それはまさにアップルの得意とする領域です。今すでにCarPlayがありますが、それはもっと表層的な、単に既存の車載コンピュータの上にiOSがかぶさってるだけのもので、結局は自動車メーカーが作ったダッシュボード機能に制限されています。

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アップルはこれまで、みんなにとって10年前にはまったく未知であった製品を何億台も開発し、製造してきました。その手並みがあまりに鮮やかだったので、iPhoneだって最初は奇異なものだったのを思い出すのも難しいほどです。アップルが得意とするこの種のデザインは、本質的に目に見えないものです。我々がデザインの存在に気づかないことこそ、アップルのデザインの素晴らしさです。

というわけで、アップルは自動車を開発しているらしく、それは自動走行車かもしれないし、そうでないかもしれません。Titanは世に出る前に捨てられて、ボツアイデアが眠る白い部屋の墓場に葬られてしまうかもしれません。この問題を解決するのはアップルでなくグーグルとか、テスラになる可能性もあります。ともあれ、誰かがそれをすべきなんです。

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(miho)