最悪すぎるウィル・アイ・アムのPulsに勇気をもらいました

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スマートウォッチの波に乗って肉を挟む電池もち5時間の新製品が米デビューです。発売に先駆けて米GizmodoのAshley Feinberg記者がハンズオン。

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「スマートウォッチじゃなくてスマートカフって呼んでくれ。時計でSIMカードっておかしいだろ? Pulsは電話もかけれるんだよ」と人気ラッパーウィル・アイ・アム(Will.i.am)が両腕にはめて歩いてるPulsを、さっそく使ってみました!

最悪でした!

Pulsはファッション重視のスマートウォッチです。その意味ではGear Sなんかと同じです。唯一の違いはあのウィル・アイ・アムがプロデュースしたってところだけ。で、このウィルというのが、Pulsふたつはめて歩くのがカッコいいと思ってるようなやつなので、早い話が、「マッドマンがイエスマンの取り巻きにおだてられてデザインした」ような製品なのです。

「そこまで言わなくても…」―いやホント、欠点だらけです。仮に全部正常に機能したとしてもペーパーウェイト(文鎮)ぐらいしか使い道ないですよ。

これは昨年10月インタビューしたときのもの。本人もメール1本打つのにひと苦労

ウィル・アイ・アムはこれまでにもジョーク必定の製品を量産してきました。i.am+foto.soshoのiPhoneケースはケースだけで300ドル(約35,000円)だったし、未来のクルマIAMAUTO@700,000ドル(約8300万円)は、蓋を開けてみれば改造しすぎて原型の片鱗もなくなった1958年式VWビートルでした。今回のPulsの@400ドル(約47,600円)も絶好調です。

1週間ケータイの代わりに使えるかも、なんて思ってた自分は本当に馬鹿でした。楽しそう♪と喜び勇んでぶっとい磁気バンドのカフはめたら肉挟んでしまいました。エッと思ってみたら血が出てました

音声コマンド

こんなにチョロいと言っていた。嘘ばっかりや!

ウィル・アイ・アムが言っていた想定: 車で重要な会議に向かう途中。Pulsを口元にもっていって「Mr. Tompkinsに合併の件でメール」と言うだけで、 (音声秘書の)AneedAがメールを送信「忙しくて会えないことはわかったそうです」と教えてくれる。

現実: 音声秘書AneedAに「Thomas、Tommy、Bill TompkinsのうちどのTompkinsさんですか?」ときかれたので1.7インチ画面を見やる→キーがちっこいので打ち間違える→最初からやり直し→頭にきて手首ぶん殴る→70万ドルのフォルクスワーゲンが溝に落ちる。

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「ファッ○ユー」は音声認識で一発で送信完了

SMSメッセージ

ウィル・アイ・アムが言っていた想定: 手首がバイブしてドキッ。メッセージだ♫ 音楽聴いてる途中だったので、手首を何回かタップする。そのフューチャリスティックなファッションカフに通りすがりの人たちは驚嘆の眼差しを向ける。送信ボタンを押しながらウィンクを返す俺。これでもうメッセージ取りこぼしもないね。

現実: やっべー、メッセージだ。ひと目につかない路地裏に隠れてソロソロと袖をまくる。ちっこい画面を一定のリズムで叩きながら、背中を丸めて手首に怒鳴る自分。通りすがりの人たちは見てはならないものを見てしまったようにそっと目を背け、「あんな公道でマスター○ーションしてる人、ドラッグ中毒の人をジロジロ見てはいけませんよ」と子どもに言い聞かせる声がする。やっと送り終わったのは、10分後のことだった。

装着感

ウィル・アイ・アムが言っていた想定: 両手に1個ずつはめようぜ! こいつはフォンじゃない、ファッションステートメント、パンク・ロックなんだからさ。道を歩いてると手首が鳴って用事教えてくれる。もう背中丸めてコンピュータなんかやんなくていい。 ずっと前を向いて歩ける。やっと自分らしく生きられるね。

現実: 3分ぐらい手首に向かって話す自分。カフは熱い。熱すぎる。タッチで操作すると余計に熱くなるので、絶対触りたくない気分。汗ばんで、ぶ厚いプラスティックが肌が擦れて痛い。ちょっと開いて磁石のクラスプ調整してはめ直したらまた血が出た


…とまあ、一事が万事この調子なんすよ。

もちろん良いところもあります。音声コマンドで電話をかけるところなんかは本当によくできていて、相手にはっきり大きく聞こえるし、相手の声も(顔面めり込むぐらいPulsを近寄せれば)よく聞こえます。でもうれしい驚きといっても、それぐらいで。

通話も途中で切れるし。AneedAの音声アシストはWolfram Alphaがベースなんですけど、何を質問しても回答がイマイチなので、タッチか音声認識でダブルチェックが必要です。これだったら中途半端にない方が。

画面の反応も悪くて、仮に反応してもカクカクです。開きたいアプリがあっても、半分は間違って別のアプリが開いてしまいます。画面の感度が良すぎるせいもあるけど、反応悪いのでこっちがキレて打ち間違えてしまうのも半分ですね。Minuumのキーボードは全文字キーが揃ってるんだけど、あまりにも打ちづらいので1個打って候補先に希望のワードが出てくるのを祈るような気持ちで待つ毎日でした。

はめ心地も、いいところはひとつもありません。デカくてゴツくて、処刑台にガシっとやられるみたいです。すぐ熱くなるし、肉も挟まるし、なんといってもワンサイズなんで、ちょっと腕がゴツい人はもうはまりません。メタルで延長できることはできるけど。

バッテリーもちも笑っちゃうぐらい短くて、5時間もてばいい方です。なので、充電用コードも一緒に持ち歩かないといけません。なんだ、それでウィル・アイ・アムいつも2台はめてんのかーと、やっと納得がいきましたよ。

一応試してみたのはベータ版です。正式版リリースのときには、どこでも充電できる「パワージャケット」なる新兵器も発売になるそうなので、それを着て歩けば無問題です。いつもおんなじパワージャケットで残りの人生を送るのもアレですが、ウィル・アイ・アムは「みんな携帯は電源、電源って騒いでるんで、俺、だったらジャケット電源にすりゃいいんじゃね?って思ったんよ」とひとりで盛り上がってますよ。値段があのバカ高いiPhoneケースみたいだったら、それまでですが。

まーしかしウィル・アイ・アムのことだから凝りもせず、またすぐ次の狂ったビッグ・アイディアをピピンと思いついて何億円も注ぎ込んで世に出すんでしょう。なんという金の無駄使い。だけど、ここまで迷いがないと、感動すら覚えるというか、次を期待する自分もいたりして。困ったものです。

Ashley Feinberg - Gizmodo US[原文

(satomi)