火星移住計画「Mars One」は壮大な詐欺? 候補者が告発

火星移住計画「Mars One」は壮大な詐欺? 候補者が告発 1

宇宙飛行士の選考が10分間のSkype面接、だったり。

Mars One、それは2023年に人間を火星に移住させることを目指してオランダの非営利団体が立ち上げたプロジェクトです。発表当時話題にはなりましたが、地球への帰還が保証されない片道切符とあって、誰もが気軽に飛びつけるものではありませんでした。

それに火星に行くには、そのための宇宙船とか技術とか、サバイバル能力が異様に高い人とか、そういう人の訓練施設とか、それら全部をまかなうお金とか、とにかくいろんなものが必要で、本当に準備できるのか疑わしいとするもありました。Mars Oneもその後、最初の移住者の火星到着時期を2023年から2025年に後ろ倒ししています。

Mars Oneは今年2月、移住者募集に応じた人たちの選考を行なって、最終候補者100人を発表しました。が、その最終候補に選ばれたある研究者本人が、これは詐欺ではないかと証言しているんです。

ダブリン大学トリニティカレッジのSchool of Education准教授で、物理学と宇宙物理学の博士号を持つJoseph Roche氏が、MediumのMatterで、Mars Oneのあやしさを詳細にぶちまけています。中でも、その資金集め手法があまりにお粗末だと言ってます。Roche氏はこう書いています。

選考プロセスを1ラウンド通過するとポイントがもらえる(ただし単なる任意の数のポイントであって、ランキングとは関係ない)。そしてさらにポイントをもらおうとするなら、Mars Oneのグッズを買うか、寄付金を払うかしかない。(略)

2月には最終候補者に対し、報道機関に対応するための「Tips集」が送られてきた。そこにはこんなことが書かれていた。「インタビューに対して金銭をオファーされたら、ご自由に受け取ってください。その際、それによる利益のうち75%をMars Oneに寄付してくださるようお願いいたします。」

候補者が100人いるとはいえ、その人たちへのインタビューの謝礼が、果たして有人火星飛行の資金の足しになるものなんでしょうか。

さらに、その候補者選考プロセスもずさんです。Mars Oneでは、宇宙飛行士として火星に飛び、火星の厳しい環境で生き残れる人物を最低数人必要としているはずですが、今まで行なわれたテストはとてもそこまで厳格なものではありません。Roche氏によれば、当初は数日間にわたる対面での面接とかテストが予定されていたんですが、それがその後10分間のSkype面接に変わってしまったんです。その内容もきわめておざなりでした。

Roche氏はMars Oneの医療責任者Norbert Kraft氏と短いSkype面接を行なった。その中で彼は、Mars Oneが全応募者に渡している火星やミッションに関する資料から質問を出されただけで、厳格な心理学的・心理測定的テストなどはなかった。候補者たちはSkype面接の1ヵ月前に資料を渡されており、それを暗記していればよかった。

このSkype面接を経て最終候補100人に残ったRoche氏ではありますが、これまでMars Oneの中の人に直接会ったことが一度もないそうです。

しかも、Mars Oneが必要資金として試算していた60億ドル(約7,200億円)の大半を提供するはずのテレビ制作会社、Endemolも手を引いたことが発覚しました。Matterではこうまとめています。

というわけで、我々が理解した事実はこうだ。Mars Oneにはほとんど資金がない。Mars Oneは、将来の遠距離宇宙ミッションに必要な技術を作っている民間の航空宇宙事業者と何の契約もしていない。Mars Oneにはテレビ制作パートナーもいない。Mars Oneには、大手ブランドとの投資パートナーシップも公に知られる限りはない。Mars Oneには候補者が訓練する施設の計画もない。Mars Oneの候補者はひとりの人物によって、10分間のSkype面接で審査されている。

目標の2025年まであと10年ありますが、それも決して長くないし、主要な資金源が消えてしまったのは痛いですね。アドバイザーとしてプロジェクトに参加しているノーベル物理学賞受賞者のヘーラルト・トホーフト氏も、Mars Oneの目標は時間的にも資金的にも「ゼロがひとつ足りない」と言っています。というか、そもそも時間とお金があれば実現できるような実体があるのかも微妙に見えてきたんですが、大丈夫なんでしょうか?

source:Matter

Ashley Feinberg - Gizmodo US[原文

(miho)