フィルムの巨人コダック本社の今

高架下に野宿する人、解体されるビル、ガランとした駐車場。社外で全く通用しない13ヶ月のカレンダーを悠然と使い、R&D名目で兵器級ウランの原子炉を隠し持ち、小国のようだった企業城下町の面影はいずこ…。

フィルムとともに栄え、フィルムとともに廃れた「フィルムの巨人」コダック。その現在をNYタイムズがNY州ロチェスターの本社に取材しました。映像ではデジタル革命が直撃した爆心地の今を淡々と映し出しています。

本社キャンパスは約3,700万平米の広大な敷地で、前は「コダック・パーク」と呼ばれていました。今は異業種の企業も多く入っていることから、「イーストマン・ビジネスパーク」と名称を改めています。

ビジネスパーク代表を務めるマイケル・アルトさんは、ビルが次々解体されていった時の気持ちをこのように語っていますよ。

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「万感の思いが去来しました。解体したビルは40棟です。勤続34年で、自分が建設に関わったビルも沢山あった。正直、直視できない場面もありました」

ビジネスパークではまだ6,500人以上が働いています。が、1年前トップに就任したイーストマンコダックのジェフ・クラークCEOによると、「前と違って4分の3はコダック社員ではない」のだとか。

売れなくなったフィルムに代わって、工場はカメラと全く関係ない業種の加工・梱包に転用されています。映像で流れているのは、なんとサルサの瓶詰め現場! 「最初入ったときは薄気味悪かったけど、慣れた」と食品会社事業開発VPは笑ってますよ。

将来についてクラークCEOは、「コダックには特許が7,000件ある。インク、トナーも作ってるし、世界最速の商用インクジェットマシンも作っている。過去を懐かしむのもいいが、未来に進まないと。これから雇用創出を担うのは、ここのケーパビリティを活かしてくれる他社だと思う」と現実的な意見を述べてます。

かつて3万人が働いていたフィルム製造部門も、今は300人。最後に食品会社VPが語るこの言葉が強烈ですね…。

「食品はいいよ。なぜかわかるかい? 人は食わないと生きていけない。いくらデジタルテクノロジーだなんだ言ったって、こればかりは交代できんからね(笑)」

米Gizmodo読者からはこんな手厳しいコメントも…。

「最初にデジタルカメラを発明したのはコダックのエンジニア(Steve Sasson)だった。が、そんなものが出たらフィルムの売上に響くんで、『誰にも言うなよ』と会社に口止めされたんだ。目先のことしか考えない実例」

タイトルの「アフター・コダック・モーメント」の「コダック・モーメント」は「絶好のシャッターチャンス」の意。逃したモーメンタムは大きい…。

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「ハングリーな夏はつまらない。児童夏季無料給食があなたを応援します」

Michael Hession - Gizmodo US[原文

(satomi)