Apple Watch Edition試着、冷やかしにも寛容な理由

Apple Watch Edition試着、冷やかしにも寛容な理由 1

Watch Editionはブルジュ・ハリファみたいなもの。そのココロは?

Apple Watch Edition(以下、Watch Edition)て、最高218万円もします。ちょっと触ってみたいけど、買わないのに試着するのは申し訳ない感じがしますよね。でも米Gizmodoのケルシー記者がまさにそんな思いで試着に臨んだところ、アップルストアの人たちは「買わなくても全然OK!」という姿勢だったそうです。そこにはどんな背景があるのか…以下は同記者の体験と考察です。

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今朝、私はアップルストアでWatch Editionを30分間「試着」してきました。そう、最低でも1万ドル(日本では128万円)するあれです。私はそんなもの買えないし、まして実際試した1万5000ドル(日本では188万円)のモデルなんて絶対に手が届きません。でもアップルは、そんなこと気にしていないみたいです。

最初私は、そんな高価なものを買える人のフリをしてアップルストアに入っていくことにすごく抵抗がありました。Watch Editionは超お金持ちのために作られたデバイスで、そのフェイスはアップル独自開発の18Kイエローゴールドまたはローズゴールドで縁取られてます。手首の内側のクラスプだって、18Kです。庶民としては、恐怖すら感じるほどです。

Watch Edition試着のプロセスは、30分の枠の中に慎重に配分されています。まずストア内のカオスから離れ、専用のエリアに連れて行かれます。堂々と振る舞わなくてはと思いつつ、セレブ感のない自分は場違いなんじゃないかと内心すごくおどおどしてしまいました。でも実際ひと通り体験してみると、見た目なんて本当に関係なかったんです。

「試着」体験

そのとき私は、もう1万5000ドルも払えるフリをするのはやめて、Watch Editionを買うつもりがないという事実を正直に伝えようと考えました。そして実際ストアの人にそう言ったんですが、彼らは買わなくたって全然OKという感じだったんです。

私はApple Watchがたくさんガラスの下に収まってデモを流しているテーブルの近くで待つように言われました。その周りに群がっているのは、スタンダードなWatch(スチールでできた方)かWatch Sport(アルミの方)の試着予約をした人です。ストアの人たちがお客さんに言われたモデルをテーブルから取り出し、マイクロスウェードのタオルでスクリーンとケースを磨き、求められればいくらでもバンドを交換して試着させています。

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数分後、Editionを見せてくれる親切なガイド役の人がやってきて、ちょっと離れたエリアに作られた特別ステーションに連れて行ってくれました。そこでまず、iPadに接続したApple Watchを使って、いろんな機能についてのデモを見ました。つまり、いきなりWatch Editionを渡されはしないんです。脇にあるラップトップにはWatch Editionの各モデルが表示されていて、そこから試着したいものを選ぶように勧められました。私が選んだのは42mmの18Kイエローゴールドで、ブラックレザーのバンドとクラシックバックルが付いたもの、価格は1万5000ドル(日本では188万円)です。

そのとき、すぐ後ろに民間警備会社のロゴ入りポロシャツを着た人が立っているのに気づきました。彼は試着用のApple Watchを取りに行ったり、試着が終われば戻しに行ったりする役割で、私が試着するWatch Editionも持ってきてくれました。ガイド役の人がそれを皮張りの箱から取り出し、写真や動画も思う存分撮っていいと言ってくれます。そしてついに、彼は慎重にアップルウォッチを取り上げ、私の手首に着けてくれました。それも決まった手順のひとつのようです。

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最初は写真を撮りつつも、自分の手首にくっついた貴金属と電子回路の塊を見ているのにはヘンな感じがしました。でもガイド役の人は温かく見守ってくれたし、それでいて恩着せがましい感じはありませんでした。

それは多分、この試着体験には、Watch Editionの輝かしい姿を拝んでおぉーとかあぁーとか言う以外の中身があまりないからだと思われます。Apple Watchの使い方はユーザー個々人とかその周囲の友だちとかによってかなり違うので、その具体的な機能とか、実際iPhoneとどう連携するのかとかは試着してもよくわかりませんでした。ただし、店頭のApple Watchではデモがループで流れていて、実際操作することもできました。全部の機能が使えたわけではありませんでしたが、タプティックエンジンがハートビートを感じ取っているのにはすごくドキドキしました。

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試着体験はとにかくそれだけ。体験するだけです。これはアップルのオートクチュールであり、現時点ではApple Watchの本質とはあまり関係ありません。Watch Editionの重量感はわかりましたし、シリコンのバンドが自分の青白い肌の上でどう見えるかも確認できました。でもApple Watchの使用感は、まだわかりません。

買わなくてもいい理由

私はWatch Editionを数分間いじった後、手首から外しました。ガイドの人は辛抱強くて、予約の時間が15分残っているから別のモデルを試してみてはどうかと言ってくれました。ローズゴールドに白いスポーツバンドを付けたもので、価格は1万2000ドル~(日本では128万円)です。セキュリティの人が取りに行って、宝箱をもう一つ持ってきました。

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それを見終わる頃、私の30分の枠は終了しました。こんな風に、私でも誰でもアップルのお店に入っていって1万5000ドルのWatch Editionを試せるのには理由があるはずです。それは、Watch Editionが試着されることで、試着した本人がそれを買うかどうかにかかわらず、より安価なモデルが売れるからじゃないでしょうか。

これと似たものに、ブルジュ・ハリファがあります。それ自体は価格が高すぎて買えたもんじゃないですが、その周辺のもっと手頃な高層マンションの需要を強く喚起しました。実際ブルジュ・ハリファに住める人は非常に限られていますが、その眺めを買える人はもっとたくさんいます。同様に、Watch Editionを買える人はとても少ないですが、試着した人はアルミ製のWatch Sportを買って帰るかもしれません。またはインスタグラムとかブログで、ストアがいかに親切で敷居が低いかが大拡散されるかもしれません。

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そういう意味で、iPhoneのような既存製品がもう当たり前になった今、この「試着」からは今後のアップルの方向性が垣間見えてきます。腕時計を売るのは、電話を売るよりずっと難しいことです。誰もが必要としているわけではないし、ましてそれを買うために行列に並ぶ人はもっと少ないでしょう。アップルストアに行けば最高のラグジュアリー・テクノロジーに文字通り触れられるという状態を作ることで、アップルは彼ら史上もっともリスキーな製品を売ろうとしているんです。

それで結局、みんなApple Watchを買うんでしょうか? その答えを知るためには、ぜひ店頭に行って、体験してみてください。ドレスアップしていく必要は、ありませんから。

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(miho)