過去の作品に頼ればクリエイティブの未来はない、Netflixの流れに感じる不安

過去の作品に頼ればクリエイティブの未来はない、Netflixの流れに感じる不安 1

フルハウスの続編はどうなる。

Netflixが「フルハウス」の続編を制作するという噂は、全世界を駆け抜け、多くのファンが期待と不安をよせています。続編と言っても、長女DJとその親友キミーにフォーカスしたスピンオフもの。公式には「ただの噂だ」と否定されていますが、水面下で準備が着々と進んでいるという話が後をたたず。

この話が現実のものとならば、Netflixが手を出そうとしているのはフルハウスという一ドラマだけではありません。これは、テレビの黄金期を支えた90年代へのノスタルジアを刺激するものです。この流れに警鐘を鳴らすのが米GizmodoのKnibbs記者。黄金期への懐古、当時の熱を再加熱させるのは、アートとして良いものとは言えず、思い出を壊すことになると叫んでいます。

未知のモノを作るよりも、すでにある程度質が保証されているものをリメイクした方が安全だという映画業界の流れと同じく、テレビにもその波が来ています。それはアメリカに限らず、日本でも言えることでしょう。リメイクの理由は、必ずしもそれらの過去の作品が優れているからではなく、すでにファンがついているからという理由が主なもの。

Netflixはすでに、「ガジェット警部」や「The Magic Schoolbus」のリメイクに乗り出しており、ここにきてのフルハウスのニュースには何も驚くことはありません。フルハウス話で明らかになるのは、どれだけリメイクが儲かる可能性があるのかとうこと。Netflixに限らず、どれだけこのリメイクビジネスに競合他社も注目しているのかということ。

リメイクを手がけるのは、Netflixに限りません。例えば、FoxはXファイルの続編制作を発表しました、Showtimeはツイン・ピークスのリバイバルを行なっています。しかし、復活の根幹にあるのは、やはりNetflixの存在。Netflixが過去のテレビ番組を配信することで、これらのドラマは再び注目を浴び、新たにファンを獲得できます。だからこそ、続編制作の話も持ち上がるし盛り上がるというもの。言うなれば、Netflixという存在自体が、過去番組を復活させるのに大きな役割を果たしているのです。さすれば、自身が続編制作に名乗りを上げるのも当然の流れと言えましょう。

一方で、過去作品復活の熱は、今だけのトレンドなのかもしれません。リメイクは、すでに既存ファンがいるので安全と思われがちです。が、その反面、大ゴケすることも多々あるわけで。むしろ、コケる可能性の方が高いのかもしれません。2009年のThe Atlantcの記事で、元NBC社員がテレビ業界がリメイクをやるのは、映画業界がそれで成功しているからだと解説しています。コケるかどうかは賭けだ、しかし新しいことにチャレンジするよりも安全な賭けだろうというのが頭にあるわけです。フルハウスの続編がコケるとは限りません。もしかしたら、大当たりのドル箱作品になる可能性もあるわけで。

続編は、リメイクは悪だと言っているわけではありません。いいリメイク作品もあるでしょうし、リメイクされることで未完の作品が上手く幕を閉じることができるケースもあるでしょう。しかし、ただ心配だという話。Xファイルの続編で、もしクリス・カーター監督がめちゃくちゃしたらどうしよう、もしスカリーがえらく変わっていたらどうしよう、そういう不安があるわけです。そして、過去作品復活というトレンドは、テレビ業界にとって記憶のエコーに過ぎず、新たなクリエイティブではないという心配があるわけです。

製作陣のお手軽気分以上に復活作品における1番の不安、悪と言えるのは、ファンに対して新たなサービスを提供しようというのではなく、過去の遺物のフランチャイズ化ですまそうとしているということ。続編でも、しっかりとストーリーが練られていればいいのです。そこには、構想と創造があります。しかし、多くのリメイクは、懐かしがる大衆に骨を投げるようなもので、肉付けがされていません。そんな作品、再びヒットするはずがないでしょうに…。Knibbs記者は、そんなフランチャイズ化された中身のない作品として、「アレステッド・ディベロップメント(ブルース一家は大暴走!)」や 2008年のXファイル、「セックス・アンド・ザ・シティ」の映画2作目をあげています。オリジナル作品に失礼ですらあると。

中身のない続編には、その制作費用の内訳も原因でしょう。お金はコンテンツ制作よりも、話題となる出演者に流れてしまいます。例えば、フルハウスなら大金をオルセン姉妹に出してカメオ出演してもらえば、話題となり見る人も増える、さすれば制作側は失敗のリスクを減らすことができるわけです。でも、力をいれるのはそこかよ、とね。

優れたリメイク作品を作ることはできます。しかし、とても困難なこと。そこには既存ファンがいて、続編にはそれ相応の期待と厳しい目が向けられるのが宿命だからです。多くの失敗はあるが、成功することもある。良いリメイクが良い作品と成り得たのは、それなりに新しくユニークな方向転換をしたから、つまりクリエイティブがそこにあったからなのです。

映画業界のリメイクへの頼り方は強大です。しかし、今、そのトレンドがあまりにもテレビにも広まってきたのではないでしょうか。安易なフランチャイズ化に走り、過去を過去として眠らせ新たなチャレンジをする意志を削いでしまっては、これから先、何を期待すればいいのやら。

過去に成功を得た多くの作品は、そのストーリーが2度語られる必要はないのです。ましてや、金儲けのためだけに再び語られる必要なんて…。

image by Much Music

Kate Knibbs - Gizmodo US[原文

(そうこ)