遺体は溶かす方がエコ、でも…な「液体火葬」って何?

遺体は溶かす方がエコ、でも…な「液体火葬」って何? 1

こういう機械でやるんですけど…繊細な方は食事中とかに読まないでくださいね。

いきなり恐縮ですが、人体って死んでしまったら、生きた細菌と死んだ細胞が詰まった袋です。放っておくとどんどん腐ってしまうので、その前に火葬や土葬したり、そのさらに前に「エンバーミング」という防腐処理をしたりします。最近では新しい手法として、アルカリ性の液体を使って溶かす「液体火葬」なるものがあります。その処理方法は「アルカリ加水分解」といわれるものです。

でも埋葬方法として液体火葬を選べるのは、まだ限られた人だけです。液体火葬は「水火葬」とか「バイオ火葬」などなどとも呼ばれていますが、米国だと50あるうちの8つの州でしか法的に認められていません。死体処理方法の中ではコストが屈指の低コストであり、環境負荷も低いのですが、ほとんどの人は利用できないんです。

なぜかって、やっぱり死にまつわる慣習は重いもので、変化はどうしてもゆっくりになりがちだからです。さらに、液体火葬のプロセスについての誤解もかなりあります。それは必ずしも、おばあちゃんを液体にして下水に流すということではないんです。

液体火葬の仕組み

通常の火葬と同じく、液体火葬の後に残るのは骨の残骸であり、それは細かい灰状のものになって骨壷に収められます。ただ、そこまでのプロセスが火葬とはかなり違うんです。

アルカリ加水分解とは、熱と圧力、そして水酸化カリウムや水酸化ナトリウムといったアルカリ性物質で通常の腐敗プロセスを高速化するものだと考えられます。遺体は80ガロン(約300リットル)くらいの水が入った鉄の容器に収められ、それが華氏300度(摂氏150度)くらいに高温化されます。これによって微生物や人間版狂牛病を起こすプリオンとかも破壊されます。1~2時間もすると、遺体のほとんどは液体化しています。残った骨の残骸は取り出され、灰になります。

遺体が自然に腐るのと同じことを超短時間でするだけなので、液体火葬は環境負荷が非常に低いんです。水はたくさん使いますが、発生する二酸化炭素は火葬の4分の1で、必要なエネルギーも8分の1にしかなりません。また欧米では一般的なエンバーミングをすると、毒性のある化学物質もたくさん使います。つまり液体火葬は非常にシンプルでエコで、しかもあとには伝統的な火葬と同じものが残るんです。

次なる死のトレンド

「液体火葬のプロセスについて、理解していない人が多いのです」と語るのは、メイヨー・クリニックのAnatomical Servicesのディレクター、Terry Regnier氏です。メイヨー・クリニックは2003年、初めてミネソタ州で液体火葬の合法化を実現しました。同クリニックでは、研究や教育のために寄付された遺体はすべてこの方法で処理しています。他に液体火葬が認められているのは、コロラド州、フロリダ州、イリノイ州、カンザス州、メーン州、メリーランド州、オレゴン州です。

数年前、オハイオ州のEdwards Funeral Serviceがアルカリ加水分解機を購入したときは賛否両論が巻き起こって、その使用は一時停止となりました。またカトリックの聖職者たちは、「遺体への敬意が見られない」と発言しています。液体火葬は最初、動物の死体処理のために開発されたということも印象を悪くしているのかもしれません。

最大の誤解は、遺体全部が下水に流れるというイメージです」とRegnier氏は言います。その誤解がなかったとしても、下水管に流されることへの抵抗感は理解できます。でもそれは、従来の遺体処理に関する無知から来るだけかもしれません。たとえばエンバーミングの過程では、血液や体液が下水に流されます。火葬すれば、燃えかすが煙突から流れ出ていきます。

液体火葬はイメージチェンジを図る必要がありますが、その多くは言葉使いの問題なのかもしれません。科学哲学者のPhil Olson氏は「おばあちゃんを火で燃やすなんて、暴力的な印象です」とThe Atlanticに語っています。「それに対し、グリーン火葬とはおばあちゃんを温かいお風呂に入れるということです」

Regnier氏いわく、液体火葬に興味をもつ人は増加していて、メイヨー・クリニックでも何百回と見学を受けているそうです。彼らのドナープログラムで遺体を寄付した家族も、数百家族のうち液体火葬を拒否した人は誰もいなかったそうです。とはいえ、科学の発展のために遺体を捧げる人とかその家族であれば、遺体の取り扱われ方についてムダに神経質になる人たちではなさそうです。Regnier氏自身ももちろん「自分にも自分の家族にも、この手法で処理されることに何のためらいもありません」と言っています。

火葬や土葬といった従来型の埋葬法には、大気汚染とか場所の確保、二酸化炭素排出といった課題があります。それらの課題を軽減できる液体火葬は、今後選ばれる方法になっていくのかもしれません。でもそうなるには、死に関する慣習とか、人間の考え方が変わる必要があります。でもたとえばエンバーミングでは、遺体の眼球部分がくぼまないように綿を詰めたり、口が開かないようにワイヤで縫ったり、初めて聞くとわりと抵抗のあることをしています。なので液体火葬に対する抵抗感も、そのうちだんだん薄れていくのかもしれません。

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Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(miho)