笑うと世界が違って見える。脳研究で判明

2015.04.18 22:00
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表情は感情の結果ではない、原因だ。

…と唱えたのは19世紀アメリカの偉大な心理学者ウィリアムズ・ジェームズです。いいことがあると人は笑う。笑うことで喜びを感じる。いいことと喜びの間には笑顔という身体性のワンクッションがあって、これはリバースもできる、という考え方。

NYMagがこの考えを裏付ける最近の研究を紹介していて、へ~!となりましたよ。

まずビックリしたのが、シワ取りボトックス注射で顔の筋肉が硬くなった女性は、脳内の感情の動きまであまり活発じゃなくなる、という研究です。顔が自由に動かないと、感情の起伏まで狭まってしまうんだそうですよ? なんかわかるなあ…歯医者さんの局部麻酔で顔が動かない時って、本当に自信なくなりますもんね…。

次にビックリしたのが、英サセックス大学のHugo D.Critchley教授Yoko Nagai博士2012年に発表した論文。こちらでは、自分が笑顔のときは人の不機嫌な顔を見てもそんなに深刻には見えなくて、自分が不機嫌な顔のときは人の笑顔を見てもそんなにハッピーに見えないことがわかってます。人間は顔面フィルターを通して世界を眺めている!

ロンドンとマドリッドの研究班「Social Cognitive and Affective Neuroscience」が3月に発表した最新論文ではさらに踏み込んで、笑顔によって、人の表情を読み取る脳の視覚処理そのものが変わってることが実証されました。

人は誰かの顔を見た150秒ミリ秒後と170ミリ秒後の間に脳内の電子活動が活発になる山が2回きて、VPPとN170と呼ばれてます。表情をどう受け止めるかによって山(活性化)の出方は異なり、感情あらわな顔を見ると、無表情の顔を見るときよりも山は大きく振れます。そこでシティ大学ロンドンTina Forster博士率いる同研究班はここに注目し、被験者25人に笑顔か真顔の写真を見せてEEG(脳波検査法)で脳波を調べてみたのです。

すると…

自分が真顔の時には、真顔より笑顔を見た後の方が山は大きくなって、これはまあ予想通りの結果。面白いのは笑顔で、自分が笑顔の時は他人の無表情な顔を見ても笑顔を見てもまったく同じ神経活動を示したんです。つまり能面のような顔にも笑顔とまったく同じ反応を示した!

いや~ヘラヘラ笑ってると、むすっとした顔に耐性ができてブレがなくなるんですかね。研究班では「あなたが笑えば、世界が微笑み返してくれる」という言葉に根拠が示されたかたちだ、と言ってますよ。確かに、ストローは縦にくわえるより横にくわえて笑顔になった方が、映像は面白いものに見えるっていうもありましたからね。

もちろん笑顔がプラスなら、しかめっ面はマイナスのフィルターです。独ヴュルツブルク大学が2000年に行った調査では、被検者にしかめっ面をつくってもらってセレブの写真を見せると、あんまり有名に感じないこともわかってます。ますます面白い。


source: NY Mag

(satomi)

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