開発期間なんと6年!日本のモノ作りが生んだヘッドフォン「SE-MASTER1」

    開発期間なんと6年!日本のモノ作りが生んだヘッドフォン「SE-MASTER1」 1

    その作り込み、その音に感服しました。お値段25万円とも27万円とも言われる、選ばれし者だけが手にできる剣のようなアイテムですが、価値は、ある

    2005年に生まれたAKGのK701、2009年にリリースされたゼンハイザーのHD800。ここ10年、スピーカーのような広い音場で音楽が楽しめる開放型ヘッドフォンのリファレンスは海外勢が占めていました。

    モノ作り王国日本だというのにそれはなくない?という思いがあったからでしょうか。6年前のパイオニア時代から開発が始まり、オンキヨー&パイオニアイノベーションズとなったいま、やっとお披露目できたモデルが「SE-MASTER1」です。

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    とにかく音場の広さがハンパない。もちろんヘッドフォンゆえの頭内定位ではあるのですが、両手を広げても届かない場所に演者がいて、そこから楽器音がドンと飛んでくる感じ。主観ですがこのサウンドステージはHD800を超えています。

    お話を聞いてみたらボルトで複数のパーツを留めるところやヘッドバンドのスライダーなどの可動部のあちこちに制震材を組み込み、素材ごとに違う共振を極力抑え込んでいるとのこと。え、ちょっとまってください。スピーカーやカーオーディオじゃなくて、片手で持てるヘッドフォンのお話ですよね。構造パーツのちっちゃなちっちゃな共振が、ドライバーユニットが放つ音を阻害しちゃうってことですか!?

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    製造を受け持つのは、パイオニアのプロオーディオブランドTADの製造もしていた東北パイオニア。「これは工場の人泣かせですね」と言ったら「『ここまでこだわるんですか!?』と言われました(笑)」って。なお組み立てはラインではなく、1人の職人が最初から最後まで受け持ちます。現在のところ1日に数台しか作れない模様。これはもう山形県天童市産の工芸品といっていいでしょう。

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    普通のヘッドフォンをアタマに装着して、ハウジングを両手で押さえると音場は狭くなりますが音の密度は高まり、輪郭もハッキリとしてきますよね。イヤーパッド部の音漏れ、鼓膜とドライバーユニットの距離、ハウジング&外耳道の反響など様々な要因が重なってこのような現象が起きるのですが、同時に側圧も強くなります。

    ゆえにレコーディング現場で使われる純モニターヘッドフォンは側圧が強いモデルが多く長時間リスニングには不向き。そこで「SE-MASTER1」は側圧の強いテンションロッド・短で解像度重視、側圧を弱めたテンションロッド・長で解像度と音場の広さを両立、側圧はヘッドバンドまかせなテンションロッドなしで音場の広さを重視したセッティングを可能にしています。

    すなわちレコーディングスタジオの音場感、ライブハウスの音場感、コンサートホールの音場感がその日の気分と体調と再生する曲に合わせて1機で再現できるんですよね。

    再生周波数は5Hz~85kHzとこれまたズバ抜けています。犬笛の倍音だって鳴らせます。実力を出すにはバランスケーブルへの換装、バランス対応ヘッドフォンアンプが必要ですが、このモデルでしか味わえない音世界があるのは事実です。

    source:パイオニア

    (武者良太)