ウェアラブルにサヨナラ? Wi-Fiがセンサーになる未来

ウェアラブルにサヨナラ? Wi-Fiがセンサーになる未来 1

Apple Watchでにわかに盛り上がるウェアラブル。最新の研究は、もちろんその先を行っています。

心拍数をはかる時計、呼吸の状況を記録するネックレス、筋肉をモニタリングするパンツ(!?)などなど、これまで、カラダの状況を測定するためにはなんらかのウェアラブル端末が必要だと考えられていました。そんな常識がもうすぐ過去のものになるかもしれません。

Wi-Fiで心拍数測定

先日、マサチューセッツ工科大学(MIT)のFadel Adib氏が率いる研究チームが、触れずに身体の状態をモニタリングできるシステムを発表しました。「Vital-Radio」と名づけられたこのシステム、低出力の電波を使って心拍数呼吸のパターンを正確に測定できるというものです。信号の出力源の26フィート(約8メートル)の範囲内なら、最大3人まで同時に測定可能だというからすごい!

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仕組みは意外と単純。電波は光速で伝播するので、Wi-Fiハブが送信した電波が人に反射して返ってきたマイクロ秒単位の時間を測り、その正確な距離を計算します。呼吸の場合は胸郭の動き、心拍数の場合は皮膚の振動といった非常に小さな距離の変化を測定するそうです。

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この方法の一番の課題は、同じ空間にある他のものから測定したい人の反射だけを取り出すことでしたが、研究チームはユーザーやものの状況を個別に判別する方法を開発。課題を解決しました。

測定精度の検証には、米食品医薬品局(FDA)が認可する機器の測定結果と比較する方法がとられました。その結果、MITの新システムは開発中にも関わらず、呼吸の測定では99.3%、心拍数では98.5%の精度を記録しました。測定可能範囲内(8メートル)なら測定値はほぼ一定、前述の通り同時に3人まで測定可能というところもこのシステムの優れている点といえるでしょう。

研究チームは、眠っている乳幼児の呼吸や、高齢者の心拍数をモニタリングするというようなケースでも活用できるとしています。もし実用化されたら、わざわざウェアラブル端末を身につけなくても、システムが組み込まれた壁が直接スマホに運動の状況を送ってくる…なんてことも実現されるかもしれません。

「スマートほにゃらら」のその先

最近、世の中にはたくさんの「スマートほにゃらら」が出てきていますよね。スマートホーム、カメラ、ジュエリー、電球、エアコン…。これまでのスマートデバイスのコンセプトは、「今のままではつまらない。だからチップを入れよう。はい、スマートほにゃららのできあがり!」というものでした。

そんなスマートほにゃららが、私たちの生活をどのくらい便利にしてくれるのかという点は、今のところちょっと微妙じゃないでしょうか。もし家をスマートホームにしたいのなら、機器同士の通信のためすべてのものを入れ替える必要がありますし、家電ごみがいっぱい出てしまいます。もしかしたら、ビジネスを数年単位の機器交換に頼っている家電業界に対して、テクノロジーのあるべき姿を反映した商品を求めるのは難しいのかもしれません。

Vital-Radioのような技術は、そんなこれまでのスマートほにゃららとはちょっと違います。将来、パーソナルコンピューティングがウェアラブルではなくて空間で実現されるようになったら、Wi-Fiルーターのような既存のインフラが活用されるでしょう。使い捨てのチップを埋め込んだ新しいものを作るのではなく、今あるものをスマートにすることができるのです。

今のところ私たちには、センサーを壁に取り付けるか、腕に巻くかの選択肢しかありません。でもこの状況は革新的な技術できっと変わるはずです。設計者が物理的なモノの設計だけでなく、ネットワークの設計も担うようになる…そんな動きはどんどん広がっていくんじゃないでしょうか。

Top image by José Manuel Ríos Valiente on Flickr

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(conejo)