コイン大の物体を簡単に「消せる」、透明マント的装置が発表

コイン大の物体を簡単に「消せる」、透明マント的装置が発表 1

光を拡散、速度を変化させる。

透明人間になれる魔法のマントなんて、可能になるなら光学迷彩くらいだと思われているかもしれませんが、別の方法もあるようです。上の画像は光に物体を迂回させることで見えなくする仕組みのコンセプト図で、今回ドイツの大学が発表する仕掛けもこの原理に則っています。

ただし光を曲げて物体を迂回させる仕組みは、従来はごくごく小さな物体でしかできませんでした。が、ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT)の研究チームによれば、彼らは従来よりずっと大きなもの、たとえばコインとか、家のカギ程度の物体を透明にできる装置を作ったんです。しかも装置のサイズは、持ち歩いてデモができる程度になっています。

光に物体を迂回させることの課題は、迂回の分だけ光が長い距離を移動しなきゃいけないことでした。光の速度を速められればいいんですが、空気中でそれをするのは難しいことです。そこで、KITのチームはまず光の速度を落とし、次に速める仕組みを作りました。シリコンベースの有機ポリマー、ジメチルポリシロキサンに二酸化チタンのナノ粒子塗料を塗った素材が、光を拡散して速度を落とします。するとその後は加速が可能になり、マントをかけた物体を迂回させられるというわけです。

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光を拡散する素材を通るとき、光の移動する道はランダムになる。普通の物体には影ができるが、「透明マント」(図の右側の筒)をかけた物体にはできない。(Image Credit:R. Schittny,KIT)

この装置で物体を隠すには、まずそれをアクリルペイントで覆われた金属の筒に入れると、ペイントが光を拡散して反射します。そしてその筒を、上記のシリコンのブロックに埋め込むんです。光がブロックを通るのにかかる時間と、筒を通るのにかかる時間を適切な比率にできれば、筒が見えなくなります。というか、少なくとも研究チームではそう言っています。

この装置はまだ金属の筒とかシリコンのブロックとかでできていて、人間がまとうマントからは程遠い形をしています。筒の大きさも、上の図によると直径が1ユーロ硬貨(10円玉と大体同じ)程度しかありません。でもいつかこれを元に、実際身に着けられるような素材やデバイスが生まれてくるかもしれません。

それに、カギくらいの大きさのものを消せるだけだって魔法みたいです。しかもこの魔法を見るのに必要なのは「それなりに明るい懐中電灯と、明るすぎない部屋」だけで、研究室の中でしか見られないものではないそうです。この装置のデモは5月13日に行われる予定ですが、どんなものになるのか見てみたいです!

Image by Wikimedia

source: EurekAlert!

Maddie Stone - Gizmodo US[原文

(miho)