どうすんのさこれ。シカゴの穴

どうすんのさこれ。シカゴの穴 1

シカゴには、リーマン・ショックが残した穴がぽっかりと今も口を開けています。

場所は言われないとわからないんですが、上空から見るとGoogle Earthとかでは嫌でも目につきます。深さ23m。魂が吸い込まれそうな黒い穴です。

不動産バブル絶頂期、ここには米国一高いビル、世界で2番目に高い超高層ビル「スパイア(尖塔の意)」が建造される予定でした。

高さ610m、総工費10億ドル(1000億円超)、設計はあの1メートル1.5億円のワールドトレードセンター新駅で名高い建築家サンティアゴ・カラトラバ。完成すれば、ぐるぐる渦巻きながら空を目指す地底探検車のようなビルになるはずでした。ところが…

2007年に着工し地階の穴を掘った辺りで、サブプライム危機で各地の高層ビル建設が続々頓挫。2008年秋にはリーマン・ショックとなり計画はあえなく頓挫します。

巨額の損失の穴が一段落した今も、「現実の穴をどうするべ」という部分は未解決のままなのでした。

米国一高いビルから、ただの穴に

計画撤回は2010年ですが、2008年にはもう現場は静まり返って、もぬけの殻となっていました。

以来7年間は巨額の不良債権処理と所有権をめぐる訴訟費用が大変で、穴の将来を決めるどころじゃなかったみたい。所有権をめぐる訴訟はなんとか目処が立ちそうなんですが、「シカゴで一番有名な穴の今後は当分決まりそうもない」とシカゴマガジンは書いてますよ。

どうすんのさこれ。シカゴの穴 2
Marcin Wichary/CC

穴のある辺りは運転して通り過ぎても、ただの駐車場にしか見えません。真ん中にフェンスで囲われた穴がある以外は、雑草と砂利が広がる白っぽい空き地です。上から見ないと、中に穴があるのはわからない感じ。穴には鉄筋の基礎があって、下まで降りれる足場も残ってます。

どうすんのさこれ。シカゴの穴 3

どうすんのさこれ。シカゴの穴 4
2010年当時の土台。下はGoogle Earthから見た穴。Photo by Scott Olson/Getty Images

あんまり見て気持ちのいいものじゃないですけど、一体どうしたらいいんでしょうね。ただ埋めて何事もなかったことにするのか? シカゴ・スパイア級の高層ビルをまた建てるのか? それとも元の建設計画を復活させるのか?

地元のアイディア

破産宣告の手続きが今春幕引きになるのを機に、シカゴマガジンは高層ビルに代わるアイディアを地元の建築家に取材して記事にまとめてます。そこには「穴の中にデータセンターを作ればいい」というのから「円形劇場にすればいい」というものまで、いろんな面白アイディアが寄せられてます。

たとえばUrbanLabのMartin FelsenさんとSarah Dunnさんが提案したのは水泳プールならぬ「水泳ホール」(ホール=穴)。穴にミシガン湖の水を浄化して満たせば、猛暑の夏に市民がダイビングできる、という案です。周りは砂浜にして、真ん中に行くほど深くなるようにします。いきなり23mストンと落ちたらパニックですもんね。

どうすんのさこれ。シカゴの穴 5

どうすんのさこれ。シカゴの穴 6
Images by Martin Felsen and Sarah Dunn, of UrbanLab, courtesy of Chicago Magazine

VOAの建築家Michael Dayさんが提案したのは水力発電所です。湖水を浄化するところまでは水泳ホールと一緒ですが、ついでに発電もやろうよっていうところが違い。

どうすんのさこれ。シカゴの穴 7
Image by Michael Day, of VOA, courtesy of Chicago Magazine

「穴を鳥のサンクチュアリに」と言ってるのは、Hoerr SchaudtのランドスケープアーキテクトのPeter Schaudtさんです。穴の上に格子を張り巡らせて、渡り鳥や地元の鳥が孵化できる保護区にしちゃおうというアイディアですね。

どうすんのさこれ。シカゴの穴 8
Image by Hoerr Schaudt’s Peter Schaudt, courtesy of Chicago Magazine

もちろん1,000億円以上のお金が動いてプールとかサンクチュアリこしらえてたんじゃ採算とれないので、現実の問題解決というより、土台の穴に注意を喚起するのが狙いの記事です。

そんなわけでシカゴ・スパイアは当分、ミシガン湖のほとりに穴の姿のまま取り残されそうです。バブルで浮かれて不動産投機するとこうなるよという戒めにはなりますね。戒めが一番必要な人の耳に届いているかどうかはわからないけど。

image by Forgemind ArchiMedia/CC

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(satomi)