飛行機でトマトジュースが飲みたくなる理由

飛行機でトマトジュースが飲みたくなる理由 1

意外な感覚が影響。

この記事は、サンフランシスコに向かう飛行機の中で書いています。離陸して1時間弱が経ち、ドリンクカートが通路に出てきました。カートが近づいてくると、何を飲むのか決断を迫られます。飛行機のカップは小さいし、しかも「氷なしで」と素早く言わない限り氷入りになる分さらに正味の飲み物は減るので、この決断はすごく重要です。

私は普段トマトジュースなんて飲まないんですが、なんでか今もそれを飲みたくなっています。実はまだ子どものとき、1991年にアテネからトロントまで飛行機に乗って、その機内でトマトジュースを頼んだのをはっきり覚えています。10歳の子どもがトマトジュースを飲みたがるなんて、そして今も同じものを求めているなんて、どういうことなんでしょうか?

我々の五感は相互に影響していることが知られるようになって久しいです。たとえば、食べ物の見た目が味にも影響することはよく知られています。だいたい同じ色の食べ物を3種類も同じお皿にのせてしまうと、なんでか食欲をそそられず、食べても美味しくなくなります。また、味に対する嗅覚の影響は、風邪をひいて鼻づまりのときに食べ物の味がしなくなることで実感できます。さらに、サクサクとかつるつるとか、食感を多様にすることでも食欲を刺激することもできます。

では、飛行機の中で受け取る何らかの感覚が、味覚に影響を与えて、特定の味を欲するような刺激になっているということでしょうか? 最近の研究によると、その答えは機内の音にあるようです。

Kimberly S. Yan氏とRobin Dando氏が、5つの基本的な味覚、つまり甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の感じ方に対する大きな音の影響を測定しました。男女計48人が複数の濃度で5つの味のする液体を飲み、音がない環境・飛行機内と同じ80~85デシベル程度の音がする環境それぞれで味の感じ方を比較しました。

その結果何がわかったかというと…。

まず飛行機内の音は、塩、苦味、酸味には影響しないようでした。

でも大きな音を聞くことで、甘味はどんな濃度でも弱く感じられることがわかりました。そういえば、飛行機で飲む炭酸系の飲み物はどれもダイエット版(低糖とかノンシュガーとか)みたいに感じられるような気がします。

逆に大きな音によって、旨味はより強く感じられるようになることが判明しました。旨味は、グルタミン酸ソーダを含む食べ物や飲み物で感じられます。

つまり、飛行機で旨味の多いトマトジュースを飲みたくなるのは、飛行機だと旨味を強く感じ、甘味は弱く感じられるからなのかもしれません。

またこの発見は、機内食がいつも「まずい」と言われることの裏付けになるかもしれません。とはいえ、本当にパサパサのダンボールみたいなチキンなんかは機内だろうが地上だろうが美味しくないでしょうけどね。

ちなみに、飛行機だけじゃなくレストラン内の音も味に影響しているかもしれません。理論上、騒がしいレストランでは旨味の強い食べ物が美味しくなり、デザートとか甘いものはイマイチかもしれません。

もしくは、いつでもどこでもものすごい強力な耳栓を持っていれば、周りの音に関係なくいつも同じように食べ物を味わえるってことですね。

※ この記事は、PLoS Blogsに掲載された記事がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で米Gizmodoに再掲載されたものの翻訳です。

Image by haley. s under Creative Commons license.

source: Journal of Experimental Psychology

Peter Janiszewski - Gizmodo US[原文

(miho)