フェイスブックの小さな赤本:ザッカーバーグ的真実へ導く経典

フェイスブックの小さな赤本:ザッカーバーグ的真実へ導く経典 1

急成長する企業が大きな課題とどう向き合おうとしたか、行間からよく理解できるマニュアルです。

シリコンバレーにある多くの巨大企業がそうであるように、フェイスブック社にも従業員たちに刷り込まれている神話があります。教祖様の起源を後世に伝えていくため、同社はザッカーバーグ語録を一冊にまとめて社内のプリントショップで印刷し、新たな入信者たちに光をもたらしているもよう。

フェイスブックの小さな赤本:ザッカーバーグ的真実へ導く経典 2

この本の中身は、Ben BarryさんのWebサイトで少しだけ公開されています。Barryさんは、世界で最も強大なソーシャルメディア企業、つまりフェイスブックにおいて非デジタル思考を奨励しようとしていたクールなスタジオ「アナログ調査研究所(Analog Research Laboratory)」をかつて運営していたデザイナーさん。

フェイスブックという企業が成長するにつれて、僕たちは多くの困難に直面した。その一つは、我々のミッションや歴史、文化を新しい従業員たちに説明していくことだった。長年にわたり、今の会社を形成してきた多くの議論やディベートはフェイスブックグループやEmail、あるいは直接向き合いながら行われてきた。当時からいた従業員たちにはその文脈が浸透しているけれど、新しい従業員たちはそこになかなか辿りつけないんだ。たとえ、自分が何を探しているか分かっていてもね。そこで、こうした多くのストーリーや発想をひとつにまとめて全従業員に受け継ぐためにパッケージ化したかった。

「小さな赤本」は、中国共産主義の指導者・毛沢東語録の通称でもあります。組織のメンバーはその経典をいつも持ち歩き、その中の言葉を引用していました。ちなみに、いまは「新歓」マニュアルというタイトルに変わり、「何がなんでも意識統一せねばならんのだ!」という昔の切迫感が和らいでいます。

ザッカーバーグの教えは、迷言のような一節から示唆に富んだ名言にまで及びます。たとえばこんな感じ。

フェイスブックの小さな赤本:ザッカーバーグ的真実へ導く経典 3

「覚えていてくれ、人々は僕らが好きだからフェイスブックを使わないんだ」

「彼らは自分の友だちが好きだから使うんだ」

後者については、非常に分かりやすいですよね。フェイスブックのめちゃくちゃなプライバシーポリシーは好きじゃないけど、友だちがみんなフェイスブックにいて、そのともだちが好きだから使ってる。そんな心あたりのある人も多いのではないでしょうか。

もちろん、サービスの戦略上もアクティブユーザ数を増やすために「ともだち」の存在は不可欠です。人数的には10人程度が心地よく感じる人、より多くの人とつながりたい人など傾向はパターン化されると思いますが、大切なのはその相手との関係性。過去のCMを見る限り「知人」ではなく「ともだち」にフォーカスを置いていることから、「とりあえず知り合い」というシステマティックなカウントを増やすよりも、一定以上の精神的な交流が生まれる誰かとのつながりが重要であることが見てとれますね。

ぶっちゃけ最初の一文は意味不明に感じる人もいるかもしれませんが、当時、社内では「フェイスブックを使わない人はフェイスブックが嫌いだから」という強い意見があったのかもしれません。たとえば、先のプライバシーポリシーの問題で。けれど、使わない人を排除するのではなく「好かれている」という前提に立ったときにどういったメリットを提案できるのか、どうすればフェイスブックを使ってもらえるのか、思考を転換させようとしていた社内の様子が引用文の背景からうかがえます。あるいは、世界最強の巨人になったからこそ現状に甘んじないように、という意思表示にも見えます。

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他社のデザイン先行マニュアルと同じように、フェイスブックの小さな赤本は体裁を美しく整えています。たとえば職人さんが手で綴じたような見た目に仕上げ、デスク脇の本棚にいつも置きたくなるように工夫されています。「ちっきしょー、僕たちは世界をもっとオープンにしてつなげていくんだよ!」という思想がどのくらいクールなのかは読者のみなさんの判断に委ねますが、少なくともそうした「形見」をグループに入ったばかりのスタッフたちに伝えるミッションを背負った本であることには間違いありません。

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「もともと会社として設立されたわけではなかった」

「フェイスブックのエンジニアは、1人あたり100万人の利用者を担当している」

こうした発言の中に、みなさんはどんなドラマを感じ取りましたか?

source: The Office of Ben Barry via TNW

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文

(Rumi)