私たちは光の速さを超えられる?

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光速を超えてゆけ!とか一生に一回くらい言ってみたいものです。

「スター・ウォーズ帝国の逆襲」やスター・トレックの惑星連邦などに先立ち、アイザック・アシモフは銀河帝国を生みだしました。彼の著書「ファウンデーション(銀河帝国興亡史)」に登場する銀河帝国は、2500万もの惑星で成り立っており、銀河を超えて飛びまわる宇宙船によって統治されています。

でも、その宇宙船は一体どうやって惑星間を移動していたんでしょう? それについてアシモフは次のように説明しています。

宇宙を移動する速さは光速での移動と大差ありません。つまり最も近い居住惑星に移動するのに何年もかかってしまうのです。超空間とは、時間や空間、物体やエネルギーとも異なる空間、想像を超えるような空間のことです。そこでは、瞬間的に銀河と同じ距離を移動することも可能になるのです。

んん? ちょっと何言ってるかよくわからないけど何かすごい。もしかしてアシモフは、光速を超えて移動するための秘密を知っていたのでは? なんて妄想がむくむく膨らみます。まあ設定上、ややこしい問題は何となく上手にぼかしとこうとしただけかもしれませんが…。

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光のスピードを超えることはできない

わたしたちの知る限り、光速を超えた移動や銀河帝国、銀河を超越した文明なんてのは現時点では不可能です。でもそれじゃあSF小説が成り立たないので、多次元空間とかワープとかサブスペースなんかの概念を作ってきたわけですね。

例えばスター・トレックに登場するエンタープライズ号とか、

スター・ウォーズのミレニアムファルコン号とか、

SFドラマ「宇宙家族ロビンソン」で一家がアルファ・セントリー星に向かって行ったり。

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速度の限界は光

でもなんで光の速さを超えられないのでしょうか? いわゆる「音の壁」は突破したけれど、「光の壁」はまだまだ難しい。ここでちょっと歴史を紐解いてみましょう。

科学者は、19世紀には誰が観察しても光の速さは1秒に299792458mだ!と気付いていました。光線を追いかけてどんなに速く動いたとしても、すさまじい速さで光は離れていくということ。頑張って光速の99%で進んでいる人からみても、ただぼーっと立っている人からみても、光の速度は同じようにみえるのです。

しかし、科学者の多くはそんなことをまったく信じていませんでした。アメリカの物理学者アルバート・マイケルソン(マイケルソン干渉計でおなじみ)は、地球が運動する向きによって光の速さがどう変化するのかを研究しました。が、有名なマイケルソン・モーリーの実験によって変化がないことが明らかになりました。地球の動く向きに関わらず光速は同じなんだと彼らは学んだのです。

アインシュタインと相対性

この不思議な事象にアインシュタインは果敢に取り組みます。そして彼が完成させたのが特殊相対性理論。誰がどんな速度で測定したとしても、光の速度は変わらないのだということです。この理論のおかげで、速度によって時間と空間は相対的に伸び縮みするのだということ、そして光の速度を超える物体は存在しないということが証明されたんですね。

この相対性理論が現代物理学の基礎となったため、光速を超えて移動する物体についてはあまり研究されてきませんでした。とはいえ、これはあくまで真空においての話。水やガラスなどを移動するときに、光の速度は遅くなります。その遅れた状態の光速を超えることは、できなくもないのです。水やガラスにおいて光速を超えて移動すると、物体から爆発的な光が発生します(音でいうソニックブームみたいな感じ)この光はチェレンコフ放射光と呼ばれ、核燃料プールが青く光るのもこの理由です。

ワープは可能なのか?

なんとかして光の速度を超えるための唯一の方法。それがワープかもしれません。これ(追記:「ワープ・ドライブ」)は物理学者ミゲル・アルクビエレが発表したもので、宇宙における速度の限界を超えるものではありません。油まみれのフライパンに水をためて、石鹸を一滴垂らしてみてください。油がフライパンの淵に広がるはずです。

アルクビエレのワープはそれとまったく同じことを宇宙でやるわけです。アルクビエレは適切な条件のもとでは、宇宙船の前で時空を縮め、後ろで伸ばすことができると説明しています。宇宙船の周りに小さな泡を作り、好きな速度で進めます。時空間が宇宙船の前で収縮するため、宇宙船は実際に光速を超えて移動する必要はありません。それどころか、宇宙船はワープバブルのなかでのんびり浮いてるようなものです。宇宙船に乗っている人は加速していることにすら気付かないかもしれません。

とはいえ、ひとつ問題があります。アルクビエレのワープは弱エネルギー条件を無視しないと実現できません。弱エネルギー条件とは、エネルギーはマイナスになり得ないという条件のこと。もちろん弱エネルギー条件が常に正しいと証明されているわけではありません。もしも弱エネルギー条件を破ることができれば、ワームホールやタイムマシンも可能になるんだそうです。これはわくわくしますね。ただ現段階でアルクビエレのワープはまったく不可能っていうわけでもないけど、できる!ってわけでもないようです。

一体どうやって人間は惑星にたどり着けばいいんでしょう。まだまだ光速を超えるまでの道のりは長そうです。

source: The Conversation

Robert Scherrer - Gizmodo US[原文

(Haruka Mukai)