一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 1

知ってた。知ってたけど、スターアライアンス派にとってはやっぱり悲しい結果…。

おっと、ネタバレはやめておきましょう。米GizmodoのAdam Clark Estes記者による航空機内Wi-Fi技術の解説と、北米航空会社のランキングをお届けします!

***

コメディアンのルイスC.K.は、飛行機の機内Wi-Fiについてこんな風にネタにしています。「速いんですよ。だからユーチューブを見てた。すごい、飛行機の上なのに!…と思った瞬間、使えなくなった。隣にいた乗客も『ふざけてる』ってね」…これ、まったくその通りです。

機内Wi-Fiは、ちゃんと使えればすばらしいものです。だから私は親愛なる読者のみなさんのために、ちょっとした調査をすることにしました。最新の情報を集めて、アメリカの主要航空会社による機内Wi-Fiサービスランキングを作ってみようと思ったのです。

気になるランキングを発表する前に、まずは機内Wi-Fiを可能にする技術についてお話させてくださいね。

機内Wi-Fiはどうやってつながる?

奇跡にも近い機内Wi-Fiの裏にある技術は、地上で無線インターネットを提供している技術とよく似ています。飛行機は、スマートフォンにデータ通信を提供する地上の基地局や衛星と同じものを使っている場合が多く、基地局と衛星のどちらか、もしくは両方を使って機内Wi-Fiを提供します。

飛行機から地上への「空対地」、ATG(air-to-ground)接続は、地上にある基地局が比較的近いので、表向きは通信速度も高速だとされていて、Gogoはこの方法を中心に使っています。Gogoは飛行機のシートに取りつけられた機内電話の老舗AirCellとつながりがある会社です。さらにGogoは、ATG-4と呼ばれる新しい技術もどんどん使い始めています。これは信号(電波)をうまくつかんで高速通信を提供するために、機体へ4つのアンテナを取りつけるという技術です。

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 2
image by Gogo

現在、Gogoはほとんどのアメリカの主要航空会社にサービスを提供しています。…とは言っても、ジェットブルーやサウスウウエスト航空などの航空会社は、違う技術による独自のWi-Fiシステムを使っています。

機内Wi-Fiを実現する装置

さきほども書いたとおり、機内Wi-Fiサービスには地上での通信と同じ機器を使うことができますが、飛行機の場合は、時速550マイル(時速約885km)で飛行しながら信号をつかむことが必要になってきます。

飛行機が成層圏を高速で移動しているので、アンテナは基地局や衛星との接続を常に維持しなければいけません。衛星は時速18,000マイル(時速約2万8968km)で地球の周りを回っているので、どこかのタイミングでアンテナは新しい基地局や衛星を見つける必要が出てきます。アンテナは、信号を受信しやすいように皿状で傾いたモーターを使って新しい通信相手を見つけます。こちら、Ku帯(12〜18GHzの周波数帯)の電波を受信するパナソニック製の「eXConnect」というアンテナ。2枚のパネルがクールですね。

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 3
image by Panasonic

もちろん、大きなアンテナを飛行機の屋根に取りつけるのは、航空力学的にはあんまり嬉しくないこと。今のところ、アンテナは飛行機の上のレドームという場所に格納されることが多いようです。なるべく平らになるように作られているとはいえ、レドームによるでっぱりはどうしても余計に燃料を食ってしまいます。つまり、機内Wi-Fiを搭載した飛行機は、運航にかかる費用が少し高くなるということ。装置の他にも、コストが出てしまうんです。

ユナイテッド航空のボーイング787は、パナソニックのアンテナを矢印の場所に積んでいます。

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 4
image by United

たくさんの企業が航空力学上の問題を解決しようと取り組んでいます。動く部分が少なく、でっぱらないアンテナを機体に取りつけられれば、解決策になることは明らか。理想を言えば、まったく動かないアンテナが望ましいですが、その代わりに次世代システムでは、電波の飛ばし方を変えたり(ビームフォーミング技術)、空間フィルタリング技術を使ったりして、複数のアンテナでより強い信号を受けられるようになっています。最近の高性能な家庭用Wi-Fiルーターにもビームフォーミング技術は使われています。

さらに燃費をよくするために、アンテナをできるだけ薄くするというチャレンジも進められています。Gogoの最新かつ最高速のサービスでは、「Thinkom ThinAir Falcon Ku3030」という2つの革新的なKu帯用アンテナが使われています。4インチ(約10cm)以下の薄いアンテナなら、飛行機の上で大きなでっぱりになりません。そのデザインはなかなか未来的です。

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 5
image by Gogo

将来的には、飛行機の外からアンテナが見えることはほとんどなくなるでしょう。Kymetaという企業は、機内Wi-Fi向けの可動部がまったくない、ありえないくらい薄いアンテナを開発しています。つまり、モーターもなく、ほぼ抵抗もないアンテナです。最終的な製品は1インチ(約2.5cm)以下の薄さで、USBケーブルでも電源が供給できるくらい効率がいいものになる予定です。このアンテナ、数年以内に商品化される予定です。これ、ピザサイズの板みたいに薄いですね。

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 6
image by Kymeta

機内Wi-Fiをさらに高速にするアンテナ

「高速」というのは機内Wi-Fiを表すのにはあまりふさわしくない言葉かもしれません。GogoのATG方式の通信速度は最高3.1Mbpsで、LTE対応スマートフォンと比べると10分の1くらい遅い。新たなATG-4技術なら、最高速度は9.8Mbpsになるそうです。だいぶましですね! でも、地上での平均的なブロードバンドの速度は11.1Mbpsなので、比べてしまうと、どうしても機内Wi-Fiの速度は見劣りします。

しかし、地上から衛星軌道までの「地対軌道」(ground-to-orbit)の接続は、将来的に機内Wi-Fiを高速化する方法になるでしょう。この方法を使うと、衛星と通信するために数千マイル余計に信号を飛ばさなければいけませんが、大幅に帯域幅を広くする、つまり速度を上げることができます。

Gogoの新サービスは2本のKu帯アンテナを衛星に接続させることで、機内Wi-Fiの速度を最高70Mbpsまでアップさせる計画です(このサービスについては、後ほど説明します)。Ku帯は衛星通信用に割り当てられたマイクロ波で、国際宇宙ステーション(ISS)でも使われているものです。ちなみにKu帯のKはドイツ語で短いという意味の「Kurz」、uは英語の「under」で、もともとのK帯(18〜26GHz)よりも低い周波数帯ということを表しています。

ちなみにKa帯というのもあります。このaは「above」で、K帯よりも上の26〜40GHzの周波数帯です。ジェットブルーは最近Viasat社とのパートナーシップにより、このKa帯で高速な機内Wi-Fiサービスを開始しました。

もちろんこれまでの機内Wi-Fiと比較して速い、という話ですが、ジェットブルーの機内Wi-Fiサービス「Fly-Fi」は、最初の検証で最高30Mbps平均15Mbpsの速度を叩き出しました。この速度は音楽ストリーミングや音声通話、YouTubeの再生には十分と言えるでしょう。

次世代の機内Wi-Fiサービスでは、この速度がさらに速くなります。先ほども出てきたGogoの2本のKu帯アンテナを用いた「2Ku」サービスがそのひとつ。飛行機に取りつけられる1本のアンテナは衛星からの信号を受信し、もう1本は飛行機から地上に信号を送信します。数ヶ月後にはGogoのこのサービスを試すことができそうです。なお、技術についてさらに詳しい情報はFlight Clubのこちらの記事がすばらしい説明をしてくれていますのでご参考まで。

では、どの航空会社が一番いい技術を使っているんでしょう? それは、場合によりけりです。ジェットブルーのFly-Fiは頭ひとつ抜けていますが、まだすべての機体に搭載されていません。その間にも、Gogoの2Kuが着々と勢力を拡大しています。

機内Wi-Fi、北米航空会社のランキング

つらい現実ですが、今のところ機内Wi-Fiサービスは最悪と言わざるをえません。まず、どの種類の機内Wi-Fiが使えるかを調べるためには、便名が必要です。そして、「すべてのフライトでWi-Fiが使える」とうたっている航空会社でも、それぞれの飛行機には違う装置が載せられています。さらに、その装置が壊れていたり…。搭乗前に航空会社のウェブサイトで機内Wi-Fiについて調べることはできますが、あとはとにかく祈るのみ、というのが現状です。

それを念頭に置いてもらって、ここから北米の主要航空会社9社機内Wi-Fiランキングです。ちなみにこのリストは国内線のものです。国際線となるとまた装置が違うので、ちょっと結果は変わってきますが、国内線で機内Wi-Fiサービスが良いところは、きっと国際線でもいいサービスを提供していると思われます。

このリストを作るにあたり、3点を考慮しました。それは、1. 機内Wi-Fiが使える可能性の高さ、2. Wi-Fiサービスを提供する設備、3. 信頼性・速度・価値です。

1位 ジェットブルー

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 7

ジェットブルーの機内Wi-Fiは、最も速いと思われます。ViaSat社の技術を使った機内Wi-Fiサービス「Fly-Fi」は、最高15Mbpsの速度が出ます。一方で、すべての飛行機で使えるという保証はありませんが。現在のところ、すべてのエアバスA321と8割のA320がFly-Fiの装置を搭載、残りの機体には今年中に配備されるとのこと。それまではジェットブルーの専用ウェブサイトで、Fly-Fiが使えるかどうか確認しましょう。

2位 ヴァージン・アメリカ

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 8

2位に輝いたのはヴァージン・アメリカ。というのも、笑っちゃうくらい速いGogoのATG-4がすべての機体で使えるからです(ヴァージンの機体はエアバスA319とA320)。ヴァージンは今年中に、Gogoの最新機内Wi-Fiサービス「2Ku」を国際線の大西洋横断フライトに導入する予定です。ヴァージン・アメリカは現在のところ、壊れてさえなければ、すべての機体でWi-Fiが使える唯一の航空会社。Gogoによる機内Wi-Fiの価格は、1時間5ドル、1日16ドル、1ヶ月60ドル(もし1つの航空会社でしか使わないのなら、1ヶ月50ドル)です。この価格は、Gogoを採用している会社ならすべて同じです。

3位 デルタ航空

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 9

デルタはすべての機体にWi-Fi装置を載せているので、可用性という面ではヴァージンと接戦。しかし、旧式の装置を使っているため、品質と速度で劣ります。デルタは現在、GogoのATGを使っていますが、ATG-4にアップグレード中。ワイドボディのボーイングと、エアバスA319には高速な2Kuシステムが載せられていて、今年中に残りの機体にも展開される予定です。各フライトの機内Wi-Fiについては、デルタのウェブサイトでチェックしてみましょう。

4位 サウスウエスト航空

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 10

びっくり! かつて空飛ぶバスのように使われていた、遊び心あるサウスウエスト航空は、機内Wi-Fiでは遅れをとっています。サウスウエスト独自のWi-Fiシステムは、出発地のゲートから目的地のゲートまで、ほとんどずっと使える注目すべきものです。サウスウエストの機体はボーイング737のみで、おそらくRow44社製のKu帯の装置が約3分の1の機体に搭載されています。1日8ドル、通信速度は高速で、衛星を使っているため水上を飛んでいる間でも通信が途切れません。接続すると、無料TVも見られます。しかし、機内Wi-Fiがない機体に当たる確率も高く、機内Wi-Fiがある場合でもシートに電源がない機体があります。サウスウエストのWi-Fiファインダーで確認できます。

5位 アラスカ航空

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 11

ここから出てくる航空会社はGogoのさまざまなバージョンの技術を使っているので、いわば賭け。どのくらいの遅さかを伝えるのは難しいんですが、家のWi-Fiと比べたらその違いに気づくのは間違いなし。しかしアラスカ航空は、少なくともすべての機体で機内Wi-Fiが使えるものと思われます。(2015年の4月までにすべての機体でGogoによる機内Wi-Fiと機内エンターテイメントが使えるようになるとここに書いてあります。)さらにアラスカ航空はより高速なATG-4にアップグレード中だそうです。

6位 アメリカン航空

一番快適なのは? 北米主要エアライン機内Wi-Fiランキング 12

アメリカン航空(と合併したUSエアウェイズ)の機内Wi-Fiはなかなかすばらしいものです。ほとんどのフライトでGogoのサービスを提供しているそうですが、都市間を結ぶリージョナル・ジェットにはほとんど機内Wi-Fiが積まれていません。機内Wi-Fiが使えるかどうかは行程表から確認して、とアメリカン航空は言っていますが、めんどくさいし、見てみると案の定Wi-Fiマークがあんまり見当たらない…。はい、よくできました。

7位 USエアウェイズ

上に同じく、アメリカン航空とUSエアウェイズは合併したので、Gogoのサービスです。合併したくせに、USエアウェイズで買ったGogoの利用パスはアメリカン航空では使えないことに注意が必要です。現在使えるようにするために対応中だそう。

8位 ユナイテッド航空

ユナイテッドのWi-Fiにはまったくもって混乱させられます。ニューヨークのJFKからロサンゼルスとサンフランシスコへは、Gogoの旧式サービスが使えます。しかしその他フライトでは、ユナイテッド独自の機内Wi-Fiサービスが導入されていて、接続してからでないと価格がわかりません。運がよければ、ボーイング747かエアバスのワイドボディ機でKa帯の機内Wi-Fiが使えます(このサービスは速くて良さそうなんですが)。さらに、direcTVも何らかの形で関わっています。ということで、やっぱり大混乱なユナイテッドの機内Wi-Fiについては、ここで確認できます。

9位 エアカナダ

ひとことで言うと、エアカナダに機内Wi-Fiがあるかどうかは賭けです。もしあれば、そのWi-FiはGogoによるものです。あったとしても、機内Wi-Fiが新しいものなのか、それとも古くて遅いものなのかは、やっぱり賭けなんです。

image by Gogo, Panasonic, United, Kymeta

Illustration by Adam Clark Estes / Shutterstock

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文

(conejo)