脱原発&火力発電ゼロまで可能…全米で再生エネルギー移行の新プラン

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日本だってできるはず?

風力発電および太陽光発電をはじめとする、いわゆる自然環境に優しい再生可能エネルギーへの移行プラン。日本国内のみならず、いま世界各国で真剣に議論が進んでいるようですね。そして、このほど米国では、2050年までに原子力発電所も火力発電所もすべて廃止する新プロジェクトが発表に!

このところ日本で賛否両論激しくわかれる脱原発のみならず、化石燃料を用いた火力発電所まで完全に停止させる究極の再生可能エネルギー移行プラン。そんなことが本当に可能なの? 思わず同プランを疑問視する声ばかりがあがりそうですけど、驚くべきことに、本当に新プロジェクトへの移行が完了すれば、発電コストも下がって、電気料金の値下げまで実現すると発表されていますよ~。

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このほど学術ジャーナルの「Energy & Environmental Science」には、全米50州で2050年までに再生可能エネルギーへと完全に移行する計画の詳細を説いた論文が掲載され、大きな話題をよんでいます。同論文を発表したのは、エンジニアのMark Z. Jacobson氏。スタンフォード大学のAtmosphere and Energy Programを率いて、地球環境に優しい米国のエネルギー計画ロードマップの策定に臨んできた同氏は、今回の論文で、科学的な根拠を示すとともに、政策面でも無理のないプランの提唱に努めたとされていますよ。

まずは、全体的な再生可能エネルギーへの移行ステップに目を向けてみましょう。2015年現在の米国内の電力供給体制ですが、実に9割以上は、原子力発電所ないしは化石燃料を用いた発電所からの供給に頼っています。風力発電や火力発電の占める割合は、全米で5%未満というのが現状となっていますね。

しかしながら、今後10年で再生可能エネルギーによる電力供給体制を全体の5割近くにまでもっていき、2050年には100%の電力供給を再生可能エネルギーのみでまかなう体制を実現! 同論文の発表プロジェクトは、単に原子力発電所と石油や石炭を用いた火力発電所を廃止するのみならず、天然ガスやバイオ燃料なども一切用いない、ほぼ風力発電と太陽光発電のみで全電力をまかなうビジョンが画期的とされていますよ。

もちろん、現在よりも大幅に再生可能エネルギーでの発電体制を増強するのもさることながら、成功のカギを握るのは、全体的な使用電力量の低下です。今後も電力を必要とする経済活動が衰えることはないものの、エネルギー効率を高めることで、2010年当時の全米の電力需要の7割以下まで、2050年の電力需要を落とすことが最重要目標に掲げられているんだとか。

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各地域の土地柄に応じて、どのような再生可能エネルギーへの移行プランが適しているかは異なります。そこで、今回発表されたプロジェクトでは、全米の各州ごとに独自の移行ロードマップを策定。科学的な理論では移行可能でも、さまざまな政治的な思惑で移行が妨げられてしまうことのないように、無理のない移行ステップが示されていることにも注目が集まっているようですね。

例えば、米国のカリフォルニア州を例にあげると、陸上の太陽光発電および風力発電に加えて、海上での風力発電や波力発電に頼ることのメリットが指摘されています。さらには、地熱発電も全体の5%を占める重要な電力供給源として導入を目指すべきだと提唱されていますよ。

また、これから完全に原子力発電や化石燃料による発電所を停止し、再生可能エネルギーへの100%移行体制を築くことで生まれる雇用機会にも注目。大胆な移行へと舵を切るためには、初期投資額こそバカにならないものの、全米で新たに390万人に対して、新電力供給システムの建造に携わる雇用機会が提供されると見積もられています。さらに、新電力供給システムの運用関連で、常時200万人の職員が必要になるとも発表されていますね。

そのほかの大きなメリットとしては、クリーンなエネルギーへの移行で、大気汚染にからむ健康上の問題を抱える人が減少することが紹介されていますよ。大気汚染が原因となる死亡例が年間で4万6000件は減少するとの見積もりまで出されているんだとか。なによりも、原子力燃料や化石燃料の調達コストがなくなり、エネルギー効率を高めて全体的な消費電力量が減らせることなどから、全米で1人あたりの電気代の負担が下がり、年間で平均260ドルのコスト削減を達成するとまでアピールされているのは驚きですよね。

いささかのような移行プロジェクトに思えてしまうのも事実かもしれません。しかしながら、同論文は、100%クリーンなエネルギーへと切り替えることは、技術的かつ経済的な観点からも十分に可能であると結論づけています。世界が本気で取り組めば、意外と早期にもっと地球環境に優しい電力供給体制が整ったりするのかもしれませんね……。

source: Energy & Environmental Science via Vox

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(湯木進悟)